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Lv26 竜の平原(森)②




 ワカナは好調だったけど、アヤの様子はどうだろう。


「とう!」


 アヤは竜刀を振り回してモンスターを討伐していた。

 相変わらず素早いな。


 …ん?


「あ、ヨウくん。調子はどう?」


 アヤは俺に気付いて無邪気に手を振ってくる。


「ぼちぼちだ。それよりアヤ、刀がスライムを巻き込んでるけど大丈夫か?」


 アヤの装備する竜刀の剣先には、テイムしているスライムのスラゴンがへばりついている。見るからに邪魔そうだし、スラゴンもダメージを受けてそうだ。


「ふふ~よくぞ聞いてくれました」


 アヤは得意げに微笑みながら、スライムが絡みつく刀を前にかざす。


「ヨウくん、このクリアスライムの能力を覚えてる?」


「能力…ああ、どんな攻撃を受けても死なない不死スキルだっけ」


「そう。だから刀を刺してもスラゴンは平気なんだよ」


 なるほど…

 でもわざわざスラゴンを刀に刺す意味ってあるのか?


「次にこの竜刀のスキルは覚えてる?」


「ええっと…なんだっけ」


 作ってすぐ取引に出したから、どんな能力か忘れてしまった。


「これだよ~」


 アヤは竜刀・蜻蛉のスキル詳細を見せてくれる。


―――――――――

【スキル】

・蟲竜の鎌

[コンボ数に応じて攻撃力と切れ味が上がり続ける。コンボが途切れると数値は戻る]

―――――――――


 攻撃すればするほど威力が上がる蟲竜の鎌。思い出した、攻撃を当て続けないといけない上級者向けの能力だった。


 …まてよ。

 じゃあその竜刀にスラゴンを刺してるってことは。


「その状態でも攻撃判定があって、コンボが続いてるのか?」


「正解!」


 次にアヤは竜刀のステータスを見せてくれる。


―――――――――

【竜刀・蜻蛉】

攻撃力   60(+2400)

切れ味   60(+2400)

―――――――――


 うわ…すごい数値だ。

 しかもまだ上がり続けてるぞ。


「じっとしているだけで強くなるなんて…ものすごいな」


「でもこれ、ちょっと欠点があってね」


 そう言ってアヤは刀を構え、通りすがりのモンスターに攻撃を繰り出す。


“40連スラスラッシュ”


 それは刀を振ることで飛ぶ斬撃を発生させる技だ。

 最初の40連は、その時点でのコンボ数を表しているのだろう。それだけのコンボによって放たれた斬撃はモンスターを一撃で葬り去った。


 だが今の攻撃で、スラゴンは刀から離れてしまった。


「思いっきり刀を振って攻撃すると、スラゴンが刀から離れてコンボが途切れちゃうんだ。もっと上手に刀とスラゴンを扱えればいいんだけど」


 面白いコンボ技だが、やはり扱いは難しいようだ。


「それでも凄い技だな」


 コンボ数に応じて威力が上がる竜刀と、いくら攻撃しても死なない不死のスライム。二つのスキルが見事に噛み合っている。


 ワカナの魔法といい、二人は特質した特技を身につけていた。


 …でも俺はどうだ?


 レアアバターだというのに、これといった特技が一つもない。このままでは立つ瀬がないぞ…





 俺の長所は言うまでもないが竜人であることだ。

 だが所有しているユニークスキルは謎だらけ。それならば注目すべきはこの竜刀と、ハンナリさんが作ってくれた和装になる。


 竜刀・陽華のスキルは二つ。

 一つ目の“陽炎の刃”はガードを無効化する便利なスキルだが、ワカナやアヤのインパクトに比べれば正直言って地味だ。二つ目の“華竜の舞”については効果も発動条件も不明。

 そしてハンナリさん特製の和装・七花繚乱は色によってスキルが変わるらしいが、どの色でどんなスキルが発動するのか未だに一つも分かっていない。


 むむ…俺に出来ることは何かないか。


「難しい顔で悩んでるわね、ヨウカ」


 一人で悶々としていると、ワカナが声をかけてきた。


「まぁヨウカの気持ちは分からないでもないけどね。オンラインゲームで初めての協力プレイ、パーティーのお荷物になりたくなくて焦ってるんでしょ」


「うっ」


「それにレアアバターのプレッシャーが相まって躍起になってるのね」


 ワカナは的確に俺の心を見透かしてくる。

 これが年の功…とか言ったら怒るだろうな。


「初心者なんだから、そんな無理して格好つける必要なんてないって」


「ワカナ…」


「既にネカマとかいう最高に格好悪いことしてるし」


「…」


 この人は一言多い!

 でも…ワカナの言う通り、俺は焦りすぎていたようだ。二人みたいに肩の力を抜いた方が、面白いアイデアが生まれるかも。


「ヨウくんの竜刀ってどんなスキルなの?」


 そのやり取りを聞いていたアヤが寄ってくる。

 そういえば二人には俺の愛刀を見せてなかったな。


「ちょっと休憩がてら、ヨウカの持ってるスキルを考察してみましょうか」


 そう言って近くの休息所に向かうワカナ。

 またこの流れか…情けないけど、初心者なのだから仕方がない。

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