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Lv13 ステータスの調整




 モンスターが出現しない竜の里入口まで避難して、俺は自分のステータス画面を開いた。


――――――――――――――――――――

名前  [ヨウカ]

性別  女

種族  竜人

職業  鍛冶【竜刀】Lv.2

    調合【竜薬】Lv.2

    

【ステータス】

Lv    20

体力   1000

魔力   50

筋力   15

持久力  10

速度   5

運    5

ステータスポイント(150)

――――――――――――――――――――


 まず問題になるのは、装備の重量だ。


 竜刀・陽華の重量は100。

 和装・七花繚乱の重量は50。


 つまりこれらの装備を軽々と使いこなすには、筋力が150必要ってことか。


「筋力は必ず重量の数値を超えなくてもいいんだよ。でもヨウくんみたいに全然足りないと、重戦士みたいな動きになっちゃうんだ」


「なるほど、強い武具を好き放題装備できるわけじゃないんだな」


「それと装備の調整はステータスだけじゃないよ。例えば私が巻いてるこのマフラー、これは装備の重量を軽くするスキルがついてるんだ。他にも筋力を上げる指輪とかを付けたりして、軽やかに動けるようみんな工夫してるの」


 アヤはスラゴンとじゃれ合いながら、装備の仕組みを細かく解説してくれる。


「装飾品に付いてるスキルも重要なのか」


 装備の組み合わせはかなり奥が深そうだな…ハンナリさんが悩むのも納得だ。


「…そういえば俺、レベルが上がってるんだよな。戦ってもないのになんで上がってるんだろう」


 久しぶりにステータスを見たら、俺のレベルが5から20に上がっている。まだ一体もモンスターを倒してないのに、なんで強くなってるんだ?


「それは竜刀を制作したからだよ」


 俺の疑問をアヤがすぐ回答してくれる。


「制作したから?」


「このFOOでは戦う以外でも、アイテムを制作することで経験値を獲得できるんだ。それもヨウくんは階級の高いアイテムを一気に制作したから、それだけレベルが上がったんだね」


「そうなのか…」


 アイテムを作るだけでもレベルが上がるのか…攻略サイトに目を通したとはいえ、見落としている知識も多そうだ。


 でもこれは嬉しい副産物だ。

 今のレベルが20で、ステータスポイントが150。このポイントを筋力に振れば、取りあえず装備の重量を超えられるぞ。


 …ん?


「貰えるポイント、少し多くないか?」


 俺はまた新たな疑問を発見した。


「レベルアップで得られるポイントって6だよな。これだと1レベルで10ポイント得てることになるぞ」


「…本当だ、初期のステータスを計算しても合うね」


 ステータスを覗くアヤも不思議がっている。


「もしかしたら、これもレアアバターの恩恵なのかもね。竜人だから基本ステータスが高いんだと思う」


「そうか…あり得るな。武器とスキルだけでも十分なのに、ステータスまで優遇してくれてるのか」


 ここまで至れり尽くせりだと、なんだか普通のアバターに申し訳なくなる。


「そうとなると、ポイントはどう割り振ったものか…」


 贅沢にポイントを使えるとはいえ、ステ振りは慎重に考えたい。ハンナリさんがこの防具に合う装飾品を検討しているから、相談しながら決めた方がいいかな。


「好きに割り振っていいと思うよ」


 アヤがあっさりと言い切る。


「やり直したくなっても、ヨウくんには“減の竜薬”があるんだから!」


「あー…そういうことか」


 最初はレベルを下げるだけの用途不明なアイテムだったけど、今ならその意味が分かるぞ。減の竜薬があればステータスを簡単にやり直すことが出来る。


「それにこのゲームのステータスは強さに直結しないから、綿密に調整する必要はないと思うよ」


「じゃあなんで世間は減の竜薬に対して大騒ぎしてたんだ?」


「今までにないアイテムだったし、攻略組は僅かな数値も無駄にしたくないんだよ」


「ふーん…」


 攻略組は厳しい世界なんだな。





 取りあえずステータスポイントを筋力に135ポイント割り振り、装備を身軽に使いこなせるよう調整した。余ったポイントは後でハンナリさんと相談しながらどうするか決めよう。


「はあ!」


 俺は手間取ることなくウルフを討伐する。

 やっぱり筋力があるのとないのとでは大違い、竜刀が信じられないほど軽くなった。相手が弱小モンスターだと物足りないくらいには余裕だ。


「やっぱりこの世界で体を動かすの、楽しいね~」


 アヤはとんでもない速度で竜刀を振り回している。

 速度特化は伊達じゃないな。


 それにしてもアヤには助けられてばかりだ。

 新しい疑問を次々と解決してくれるし、戦闘でも心強いし、何よりネカマである俺を認めてくれた。ただ…されてばかりで少し申し訳なくなる。


「ふう…今日はこのくらいでいいだろう」


 俺は竜刀を鞘に納めて一息つく。

 平原の空は紅く染まり、竜の里に明かりが灯り始めている。何だかんだ日が暮れるまで平原探索に没頭してしまった。おかげで戦闘のコツも少し掴めてきた。


「この平原…モンスターは弱いし、アイテムも大したものは見つからなかったな」


 やっぱり竜の里付近の草原じゃなく、もっと遠くの森や荒野に行かないと珍しいものはないのかな。


「まだゲームは始まったばかりだから、焦らずゆっくり探索していこうよ~」


 アヤは満足げに伸びをしている。

 …それもそうか。


「ああ、初めての冒険はこれくらいでいいだろう」


 レアアバターである俺の初めての冒険は、グダグダしつつも無難に終わった。


 ふぅ………楽しかった。

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