2話神様との出会い
不定期投稿ですけど、なるべく短い間隔で出来たらと思ってます
「………い」
「……なさい」
「起きなさい」
誰かが私を呼んでいる気がする。ここはどこだ?さっきまで自宅にいたはずなのに、今は真っ白な空間にいる。
目の前にはこの空間の主と思われる着物美人さんがいたが、今は取り敢えず無視でいいだろう。
それよりも、まず考えるべきは今の私の姿だ。身体が半分無いのだ。人間が身体の半分を無くして生きていることが有り得るだろうか?
いや、いきなり真っ白な空間にいることが有り得るなら身体が半分になって生きていることも有り得るか。
「有り得ないわよ!!」
着物美人さんからキレのあるツッコミをされたが、まだ無視でいいだろ。
察するに、ここは死後の世界かな?
足元に魔法陣が出て、身体を半分魔法陣から出し、激しい痛みと共に意識を失う、そして身体の半分だけでこの空間にいる。まず間違いなく死んでいるだろう。
「そろそろわたしの話を聞いて欲しいのだけれど…。」
着物美人さんが怒気を纏いながら言ってきた。もう無視は出来ない。美人に話しかけるのはコミュ障オタクには難易度が高いが覚悟を決めるしかない。
私は1度深呼吸をしてから着物美人さんに話しかけた。
「あの…、私に何かご用でしょうか?」
「……………。」
「あの……。」
「……じゃないわよ」
「えっ?」
「御用でしょうか? じゃないわよ!」
「貴方が召喚を受け入れたにも関わらず、意図的に失敗させて死亡したからその後始末と今後について説明しに来たのよ!」
「後始末と今後の説明ですか?」
まさか、関係者の記憶改竄と転生させてくれるとかかな
「まぁ、概ねその通りよ」
もしかして思考を読み取れるのか!
「神様だしね、そのくらいは当然できるわよ」
「それより、話を続けるわ」
「まず、貴方は死にました」
「死因は、召喚用魔法陣の結界外に意図的にはみ出して身体の半分だけ残ったことによるショック死よ」
「もう半分はどうなったんですか?」
「もう半分はある国の王城に召喚されたわ」
「今頃は王城中大騒ぎね、何せ勇者を召喚しようとしたら身体が半分の死体が呼ばれたんだから笑」
「(笑)は流石に酷いですね」
「でも悪いことしてしまいました」
「心配しなくても大丈夫よ」
「今からその国に転生してもらうから」
「転生…という事は、赤ん坊からスタートですか?」
「チート特典って貰えるんですか?」
「召喚と違って世界を揺るがすほどの俺TUEEEEは無いけどね」
「転生はいきなり強力なスキルや魔法はあげれないけど、神であるわたしと話せる分自由に組み合わせが選べるわよ」
「それに、最初から最強で成長の見込めない力より最初は弱くても自分好みに育てていく力の方が楽しいわよ」
「ふむぅ…」
オタクとしては俺TUEEEEも憧れるが、私としては自分好みに育てていく方が性に合っている。
それに、メリットとデメリットを上手く使えば色々と面白いことになりそうな予感がする。
「貴方…さっきから妙に感がいいわね」
「その通りよ。何事にも代償は必要なの、例外はないわ」
「俺TUEEEEでもですか?」
「えぇ、あれは世界を揺るがすほどの力を得る代わりに短命で、心休まる時が無く、世界を救っても次の世界の脅威になるわ」
「マジか……」
危なかった。確かに釣り合っているようだけど、私にはデメリットしかない。趣味に使える時間が無いじゃないか!
「確かに、貴方には合わないかもね」
「ところで、貴方の趣味って何なの?オタ活?あたしの世界に2次元の娯楽は魔術書や小説くらいしか無いわよ」
「それもすごく興味深いですけど、1番の趣味は食べることです。オタ活は2番目ですね」
「元の世界だと食べるにも色々縛りが厳しいんです。絶滅危惧種や保護指定動物とか食べたら捕まりますしね」
「わたしの世界にある全ての生き物は絶滅の心配は無いわよ、リスポーン概念を採用してるから」
「それに素材は世界の発展に繋がるから討伐を推奨してるしね」
素晴らしい世界だな。命の入れ替わりが激しい上に魔が満ちているからこそできることだ。
まだ見ぬ生き物のことを思うと好奇心とヨダレが止まらない。
「楽しそうなとこ悪いけど、このままだと産まれたと同時に魔に侵されて死ぬわよ」
「異世界もので主人公が強い力を持っていることが多いけど、それは魔に耐性をつけるためでもあるのよ」
「っ!?」
流石に驚いた、ずっと特別扱いだと思ってたから少しへこむ。
「もちろん特別扱いもしてるわよ」
「こちらの都合で世界を渡ってもらうんだし、すぐに死なれると困るのよ」
「だから貴方にはこれから欲しいスキルや魔法を考えてもらうわ」
「では、始めましょうか」
「よろしくお願いします」
次で転生の予定です
神様の姿はご想像にお任せします