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業火な御馳走  作者: 赤八汐 恵愛
第1章 七尾奏音 色欲編
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絶望

奏音はしゃがみ込んで私の顎を持ち上げた。


「なんでかって?それは……あんたの父親に復讐するために決まってるじゃん。やだな~前にもちゃんと言ったでしょ?デートはデートだけど、ただのデートじゃないって、復讐デートってとこかな?正真は佐藤君と舞に復讐して、私はあんたの父親に復讐するの、ね!最高のデートでしょ」


 奏音は怖いほどに憎悪が籠った笑顔を浮かべてはしゃいでいる。悪魔のように笑っている。私は目の前に起こる出来事が信じられないでいた。視界が砂嵐のように乱れる。ホワイトノイズのような音が流れている。


「まぁ、そういう訳だから、、とりあえず、舞には死んでもらうね。あ、でも舞には学校では凄く良くしてもらったから、代わりと言ってはなんだけど、あそこにいる舞のお母さんみたいに、気持ち良くしてあげてから殺してあげるね。まぁ、殺すのは先生の仕事なんだけど」


「いや、それにしても凄い絶景だな。佐藤がここで起きていることを見たらどんな顔するんだろうな。きっと絶望してくれるんだろうな、ワクワクするぜ」


 宇土はとても清々しいほどに純粋な悪意に満ちた笑みを浮かべている。


「でも、残念だな……本当はリアルで見せてやりたかったにさ」


 母に群がっていた男どもがねっとりした笑みを浮かべながらこっちに向かってきた。男どもの足の間から見えた母親は白と赤の体液で覆われていて無惨な姿をしている。私も数時間後には母のようになっているのだろうかと思うと、身が悶えそうになる。


 私は目の前で母も殺され、親友にも裏切られ、先生は殺人鬼で、助けが来ない状態で絶望に絶望を重ねられて、壊れてしまった。


 男どもは椅子から乱暴に私を剝がして、私の身体を仰向けにする。身に着けていた服などを破いてはがしていく。そして、男たちの下部にある肉でできた剣を私の身体に刺していくのだった。


 痛い、痛い、痛い、……痛い。身体が裂けるように刺される。揉まれる。嚙まれる。舐められる。心一杯に不快感が満たされている。死ぬほど気持ちが悪い。あ、死にたい。


「舞、そんなに喘ぐなんて、相当気持ちいいみたいだね。良かった。死ぬ前に恩返し出来て本当に良かった。じゃあ、私たちはお邪魔しちゃ悪いから先に行くね」


 奏音と宇土は地獄に落ちていく私を嘲笑いながら教室から出ていった。


 これで私は死ぬのだろうか。あぁ~最後に十思ともう一度会いたいな。死ぬ前にもう一度、十思に会ってお別れとか言いたかったな。十思、心配しているだろうな。お父さんにもお母さんにも最後のお別れ言えなかったな。


 私は、それを最後に目を閉じて希望を捨てた。


 目を閉じると生臭く生暖かいねっとりとした棒が口の中に入れらた。息ができないほど奥に突き刺される。苦しい、でも、このまま死ねるのならば、それもいい気がした。


 次ぎ次ぎと上からも下からも突き刺される。胸も嚙みつかれてちぎれそうだ。速く死にたい。私が唯一希望を持つとしたら、今すぐに死ぬことだ。ホントは今すぐにも舌をかみちぎって死にたいが、竿が入っているのでそれもできない。ただただ、犯され続けるだけ。



佐藤十思

 地図に示された場所に着くと、そこには、木造でつくられた二階建ての校舎があった。俺と貴史さんは乗ってきた車から降りると無我夢中で校舎の中へ入って行った。中へ入ると血や肉が腐ったような匂いが立ち込めていて、暗闇が続いていた。


 悪寒が全身を包む。最悪の状況が脳裏によぎった。


「僕は、一階を探すから佐藤君は二階を見に行ってくれ!」


 貴史さんは携帯のライトで俺を照らし言う。俺は硬直している顔で静かに頷く。


 俺はポケットに入っている携帯を取り出してライトをつける。足元を照らしながら階段を上がる。血生臭い匂いが更に強くなる。それに精液みたいな匂いも混じっているような気がする。気持ちが悪い。俺は思わず匂いに耐えられず廊下の端に汚物を吐いた。


 手で口や鼻をふさぎながら進んで行き、一つ一つ教室を見て見るが、何の変哲もないない古びた教室が続くだけだった。


 最後に一番奥の教室にたどり着き、携帯のライトで中を照らす。薄っすらと人のようなものが照らされていた。急いで近づく。鼓動が破裂しそうなほど高鳴る。


 ライトでその人を照らすと、顔が紫色に腫れ、ねっとりした液体で全身覆われている女性、舞だった。


「舞!!!!!舞!おい!返事をしてくれよ!」


 俺は舞を力強く抱き寄せて叫んだ。だが舞は返事をしてくれない。


「舞!お願いだ!目を覚ましてくれ!返事をしてくれ!」


 俺は大声で何度も何度も叫ぶが返事をしてくれない。


「佐藤君大丈夫か!」


 廊下から貴史さんの焦った大声が近づいて来る。教室までたどり着くと俺はなさけないほど弱弱しい声を発して助けを求めた。


「貴史さん、舞が、舞が、、」


 娘の痛ましい姿を見ると高橋さんは崩れ落ちて悲痛な、声にもならない、叫び声を発した。まるで心が壊れてしまったかのような音だった。


「貴史さん……すみません……すみません。俺は、また、、また娘さんを守れなかったです。すみません」


 心が壊れた貴史さんに向かって細々と誤る。涙を舞の額に垂らしながら誤った。舞にも貴史さんにも誤った。俺の涙が舞の瞼に落ちた。瞼がピクピクと動く。そして舞の手が俺の頬に触れる。


「……十……思、来てくれたんだね……ありがとう……会いたかった」


「舞!舞!」


 俺は、泣きながら強く舞を抱き寄せた。


「貴史さん、貴史さん!舞が生きてました」


 俺は、そう貴史さんに言ったんだ、確かに言ったはずなのに。


「貴史さん?」

「佐藤君……あれは、奈美ではないよな……」

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