53話 同郷座談会
久しぶりにどんな内容だったか思い出すために読み直したんですけど、初っ端から意味がわからない設定すぎて自分が書いたのに爆笑してしまいました笑
王子を勝手に埋葬するとか、いくら見るに耐えない無惨な姿でもあり得なさすぎると反省してます。
早速、僕はロザンナ嬢を連れて食堂へ向かった。
食堂へ着くと、アリスが頬を膨らませ、椅子にだらっと座って待っていた。どうやら、ロザンナ嬢と話をしていた為に遅れてしまったので拗ねているのだろう。
「すみません、アリス。彼女と話をしていたら遅れてしまいました。ロザンナ嬢、彼女がさっき言っていた転生者のアリスです。アリス、こちらがロザンナ・アラバスター侯爵令嬢。彼女も転生者だということなのでお連れしました」
そう2人に紹介すると、アリスは唐突に現れた転生者に驚きを隠せない様子で、まさに唖然という様に口をポカーンと開けていた。一方、ロザンナ嬢はそこは侯爵令嬢らしくポーカーフェイスで自己紹介を始めた。
「紹介に預かりました、アラバスター侯爵家が娘ロザンナにございます。以後お見知り置きを」
そう言って完璧なカーテシーを披露してみせた。
自己紹介をされたアリスは、ロザンナ嬢が転生者ということに驚いていたが、さらに追加された侯爵令嬢という身分にもまた驚きを隠せずにいた。
「て、転生者のうえに、侯爵令嬢ですって!?ま、まさか侯爵令嬢が私たちと同じ転生者だったなんて!っは!取り乱してしまった。えーと、初めまして!アリスです。平民なので家名は有りませんが、同じ転生者として仲良くして下さい!」
そう言って、アリスはバッと手を出した。すると、ロザンナ嬢はビクッとしたが、すぐにアリスの手を握った。
「ええ、宜しく。ずっと1人だと思っていたから仲間が2人も出来て嬉しいわ」
ロザンナ嬢はアリスを見てから僕に目を移してそう言った。
「僕も仲間が増えて嬉しいですよ。アリスと2人でいると、いらぬ疑いをかけられてしまうので、前世の話をする時は一緒に会ってくれると有難いです」
そう言って苦笑すると、ロザンナ嬢は困った様に笑いながら、是非と言ってくれた。
それから僕らは、今後について話した。勿論、この世界が乙女ゲームの世界だという事もロザンナ嬢に話した。すると、ロザンナ嬢は知っていた様で、僕を除け者にしてアリスと2人で『魔法の国のアリス』の話で盛り上がってしまった。
ロザンナ嬢曰く、中世ヨーロッパ風の魔法の世界に転生したなという認識だったが、この国について習った時に出てきたこの国の重鎮達の名前や、その子息令嬢の名前を聞いてこの世界が乙女ゲーム『魔法の国のアリス』だと知ったんだとか。ゲームに自分の名前がなかった事から自分がモブだった事に気づき、モブとしてこの世界を楽しもうと思っていたが、いざ学園へ来てみれば、攻略者対象のみならず、悪役令嬢までもがゲームと性格が違って腰を抜かしたんだとか。
その話をしたとき、アリスが全部僕のせいだと打ち明けたおかげさまで、何故が褒められた。実は、彼女もアリスと同じくコアなファンで、お嬢様ことクラリス・クインシーが推しだったらしい。アリスもロザンナ嬢も前世で『魔法の国のアリス』をプレイしている時、お嬢様が不憫だと思っていたらしく破滅フラグを折る手伝いをしてくれるのを約束してくれた。お嬢様の話では、全員で何故かお嬢様を褒め称えるという完全なるヲタクの会話と化していた。
気がつくと、高い位置にあった太陽は沈み、空は赤く染まっていた。どうやら僕らはずいぶん話し込んでしまっていたらしい。
「もうこんな時間ですか。そろそろ戻らないとうちの侍女が心配してしまいますわ。何も連絡してないからもう既に探し始めてるかも。こんな時、電話があればって何度思ったことか。では、そろそろ私は帰ります。あ、先程ヴェルさんから聞いた花見の件ですが、来週の日曜日にどうでしょうか?」
ロザンナ嬢はそう言いながら立ち上がった。ちゃんと今回の目的を覚えていた様だ。
「来週末が見頃だったはずなので、その日にしましょう。3人だけではなんなので、来れる人が居るならお二人も誘って下さい。花見は人が多い方が楽しいですから。僕はお嬢様と坊ちゃんを連れて参りますね」
そう伝えると、2人は目を輝かせながら、僕の提案を快く受けてくれた。お嬢様だけでなく、坊ちゃんも呼ぶのは勿論、坊ちゃんとロザンナ嬢をくっ付ける為。坊ちゃんの恋を成熟させる為の準備も恙無く進めている。2人は僕にこんな思惑があるなんて、思いもやらないだろう。
「じゃあ、そろそろお開きにしましょう!私、予定あるので失礼しますね。また、前世の話しましょうね!」
アリスは元気よく扉の方に駆け出しながらそう言った。そして、手を振りながら颯爽と帰っていった。
「では、私もそろそろ帰りますわ」
ロザンナ嬢はアリスが言った方向を見ながら目を細めて言った。
「僕が勝手に連れてきてしまったので、寮まで送ります」
そう言うと、ロザンナ嬢はそれは迷惑になってしまうと言って断ってきた。
「お嬢様に連絡があるので、どっちにしろ女子寮の使用人スペースに行きますので、気になさらないで下さい」
「では、お願いしますわ」
ロザンナ嬢は申し訳なさそうにしていたが、ご令嬢を1人で帰してしまうのはよろしくないので、無理を言って一緒に行くことになった。
「今日はとても楽しかったわ。この世界に来てから1番会話が楽しかったかもしれないわ。アリスと知り合えて良かった。それに、何よりこの世界について語り合える仲間が出来て嬉しいわ」
そう言いながら、ロザンナ嬢は寮までの並木道を眺めていた。
「それは、良かったです。アリスと馬が合わなかったらどうしようかと思ってたんです。やっぱり、知ってる世界とはいえ、知り合いがいない世界に1人でいるのは簡単なことではないですからね」
「ええ、私もそう思うわ」
僕は女子寮に着くと、ロザンナ嬢と別れて使用人スペースへ向かった。




