43話 急な来訪者とその真実
僕は、その後数日間フィンの命令で自室に籠る事を余儀なくされた。
そして、今日も今日とてやることが無いので掃除をしている。と言っても、常に綺麗な部屋を目指していた為か汚れが見当たらない。それに、正直に言ってしまえば、昨日も掃除をしたから埃なんてあるわけが無い。
昨日も今日の様に掃除をしていた。だが、昨日は休日という事もあり、すぐにみんなに寝ていないことがバレて本当に僕が寝るまで見張られた。2日連続見張られて寝るなんて溜まったものじゃないので、今日はみんなにバレる前に切り上げようと思っていたが、切り上げる必要もなく掃除は終わりを迎えてしまった。
「…お嬢様」
そして、僕にとっての1番のダメージは、夜会の日以降お嬢様にお会い出来ていないことだ。なんせ、寮の自室に軟禁されている状態なので、どう頑張ってもお嬢様と会うことは出来ない。
結局、やる事が無く、お嬢様にお会い出来ない事で死にそうなので、気を紛らわす為にお嬢様宛に手紙を書くことにした。
1人で黙々と手紙を書いていると、外がなぜだか騒がしくなってきた。時計を見ても、まだ生徒が寮に戻ってくる様な時間ではない。はて?と思っているとドタバタと足音が近づいて来て、いきなりバンと音を立てて僕の部屋の扉が開いた。そして、入ってきた人はすぐに扉を閉め、鍵を掛けた。
僕が驚きで固まっていると、入ってきた人は思いっきり深呼吸をして、僕に向き合った。
「ヴィルの部屋、殿下の命令で鍵開いてるの知っててよかったぁ」
そう言ったのは、メーリン様だった。
「メ、メーリン様…」
「あ、ヴィル驚いて固まったちゃった?ゴメン!休み時間にいろんな生徒に追いかけられちゃって逃げ場がなくてね」
「追いかけられてたんですか?」
メーリン様は目を伏しめがちにそして、自嘲気味に笑った。
「いや、最近ヴィルがいないからか、みんな一緒に行動しないんだよね。それで、僕はいつも通りアーサーと一緒にいるんだけど、今日はアーサーが何かの用事があるみたいでいなかったんだ。そしたら、僕があまり高位貴族の威圧感とか無いからなのか、王家や高位貴族とパイプを持ちたいという輩が僕を追いかけてきてね」
「それは、お疲れ様です。今、お茶を出しますね。そこで座っていてください」
僕は、メーリン様を労る様に先程まで自分が座っていた椅子に座らせ、お茶を沸かし始めた。
「あ、ゴメン!ヴィルは寝ていないといけないのに」
僕はそう言って慌てるメーリン様を宥める様にお茶を渡した。
「問題ありませんよ。やる事が無くて暇していたので。しばらく話し相手になってください」
僕がそう言うと、メーリン様は安心した様に頷いた。
しばらく2人で話をしていると、メーリン様は疲れていたのか椅子に座りながら寝てしまった。
流石に、使用人として椅子に座って寝られるのは外聞が悪い。だからと言って、僕のベッドに寝かせるのも宜しくない。なので、僕は暇をしているから暇つぶしと称してメーリン様を自室に運ぶ事にした。
僕は同年代の男子と比べると、少し細いくらいだからちゃんと持ち上げる事が出来るか心配だったが、メーリン様は僕よりも細く華奢で、身長も女子生徒と変わらない位なので思いの外あっさり持ち上げられた。
しかし、そこである事に気がついた。メーリン様は男子とは思えない程軽く、手足も細い。そして、持ち上げた時の感覚。これは、男を持ち上げてる時の感覚じゃないと本能が訴えていた。
メーリン様はよく陰で女みたいだと言われ、怒っていたが、顔をよく見れば見るほど女性だと見間違えてしまいそうになる。
僕は、頭の中でひたすら『メーリン様は男』と唱えながらメーリン様の部屋へ行った。
この時間帯使用人くらいしかいないから誰ともすれ違う事はなくメーリン様の部屋にたどり着いた。
メーリン様の部屋の前に着くと、メーリン様の家、ミッドフォード侯爵家の使用人達が慌てた様子で駆け寄ってきた。
そして、家令と言われても頷ける様なTHE執事みたいな人にメーリン様を受け渡すと、使用人の皆さんに頭を下げられた。
「「「ありがとうございます」」」
「いえ、メーリン様、とても疲れていた様子だったので、しっかりベッドで寝かせて上げて下さい」
僕は素知らぬ顔で、そう言ってから自室に戻った。
そして、部屋に戻ると、また『メーリン様は男』と脳内で再生し、あれはなかった事にしようと開き直った事は言うまでもない。
まさかまさかの展開です笑
来週受験本番なので出せません!再来週楽しみにしていてください( ̄^ ̄)ゞ




