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36話 夜会開会

今日ちょっと長いです。



 今日はやっと例の夜会当日。僕は朝起きてからすぐにお嬢様の夜会の準備を始めた。女性の準備は時間がかかるからと言うわけじゃない。実際、僕はお嬢様の着替えなどを手伝うことが出来ない。だから、夜会で何かあった時のため(ダーシー嬢の嫌がらせ)に必要な新しいドレスにアクセサリー、医療道具やハンカチなどをぱっと見クラッチバッグ程度にしか見えない容量無限の魔法で作られたバックに詰め込んでいる。

 お嬢様は現在女子寮の方でメイド達に目がしこまれているところだろうか。僕はこの学園の生徒として夜会に出る事になってるためいつもの従者用の服ではなくちゃんとしたドレスコードを見に纏っている。鏡に写る僕はやはり慣れなくて違和感しかない。今からでも従者の制服を着ようと動き出した時部屋のベルが鳴った。


 「はい、どちら様でしょうか」


 ドアを開けると隣、アシェル様の従者のローマンさんがそこに立っていた。


 「…やぁ、ヴィルくん?」

 「はい、ローマンさんどうかなさいましたか?」


 何故かローマンさんは僕を見るなり目を見開き、驚いた様子で僕に話しかけてきた。


 「いや、前から顔がいいとは思っていたが正装だとここまでも映えるのか。なんか同じ従者として悔しいものがあるな」

 「へ?どういうことですか、それ。そんな事ないですよ。僕なんかがこんな格好したって誰も喜びませんよ。今から従者の格好しちゃダメなんですか?」

 「それはダメだな。一応お前はこの学園の生徒として招待されている。それも王族に。王族からの招待を蹴れるわけないだろ」


 夜会は第一王女の誕生日を祝うもの。なので、今回の夜会は王族主催ということになっている。


 「やっぱりですか。あまりにも違和感あり過ぎてもう着替えたいです。ん?てか、ローマンさんは何の用でこちらに?」

 「ああ、そうそう。夜会は爵位が低いものから入ることは知ってるよな?」

 「はい。勿論ですよ」

 「それでだ。俺ら従者勢は爵位が低い。なんなら爵位がない奴もいる。これで言ってる意味わかるよな?」

 

 僕ら従者は普段の夜会やパーティーでは控え室にいる。だが、今回は爵位の低い招待客。暗にローマンさんは僕らが1番最初に入場すると言っているのだ。


 「はい。では、もう会場へ向かった方が宜しいのでしょうか?」

 「ああ。だから一緒に行こうと思ってな」

 「なるほど。では、すぐにお嬢様を殿下のもとにお連れしなければなりませんね」

 

 そう言って僕は寮の部屋を出て、ローマンさんとお嬢様のいる女子寮へ向かった。


 



 

 僕は女子寮に入れない。だけど、使用人には使用人共有スペースがある。なので、僕は颯爽とその部屋に入り、うちのメイドに声をかけた。


 「あ、マリー!お嬢様をの準備は終わってるな?終わっていないならすぐに終わらせて表にお連れしろ。僕は表で待ってる」

 「はい!」

 

 数分経つと、女子寮の表に着飾ったお嬢様が侍女を連れてやってきた。


 「あ、ヴィル!って、」

 

 お嬢様は僕を見つけるや否や真っ赤な顔になり、立ち止まってしまった。


 「っお嬢様!」


 慌てて駆けつけると、お嬢様は『ゔっ、』と唸りながら僕に背を向けた。

 

 「お嬢様!大丈夫ですか?っ!熱でもあるんじゃ。失礼しますよ」


 すぐさまお嬢様の顔を自分の方に向けおでこを合わせる。すると、お嬢様の顔はさらに赤さを増していった。顔は赤くなっているが熱はないようで安心し顔を離した。


 「お、お嬢様?大丈夫ですか?」

 『マリー、ヴィルの顔が良過ぎて私壊れそうだわ』

 『ええ、お嬢様。元から良いとは思ってましたが、まさかここまでとは』

 『私が殿下と婚約破棄する前に誰かに取られちゃうわ!』

 『それは大丈夫ですよ。ヴィルは1番のお嬢様教ですから』

 

 心配しながら聞くと、お嬢様は僕に聞こえない声でマリーと会話を始めた。僕が困惑していると、お嬢様は、そうねと小声で呟いた。そして、次の瞬間急に元気になった。

 

 「さぁ、ヴィル行きましょう」

 「はい!」

 

 さっきのは何だったか分からないがお嬢様が元気になったのでいっかと思いながら、殿下の待つ王族専用のサロンへ送り届けた。





 


 お嬢様を送り届けた後ローマンさんと会場へ向かった。夜会の会場になっている講堂の前にはドレスコードに身を包んだ生徒たちが夜会の始まりを今か今かと待っていた。


 「ローマンさん、そろそろ入場ですね」

 「ああ。あっ、俺呼ばれたから行くな」

 「はい、後ほどまた会いましょう」

 「んじゃっ」


 ローマンさんは扉に向かって歩いていった。喋り相手がいなくて暇だなと思っていると、肩をトントンと叩かれた。パッと振り返るとそこにはアリスが立っていた。


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