31話 逃避
長らくお待たせしましたm(_ _)m
デートは僕が思っていたものとは違い気の抜ける様なものだった。お嬢様とフィンは仮にも婚約者同士という間柄にも関わらず、親しい感じを見せずある程度の距離をとり、甘い雰囲気などいざ知らず完全に接待の様な感じで会話をしていた。と言うよりも2人は僕にひたすら話しかけていた様な感じだった。
でも、僕が会計などの際に席を外すと、2人はついさっきまで業務的な会話しかしていなかったのに恋人同士の様に笑い合いながら会話をしていた。最初ら辺は僕が居るから恥ずかしがって話さないのかと思ったが、何度見知った人に話しかけられても平然としていたので違う事が疑えた。ある意味、ちゃんと仕事が出来ていると言われている様でほっとしたのだが、逆に僕の何がいけなかったのかひたすら考えさせられた。
そんなこんなでお嬢様とフィンのデートは呆気なく終わったのだった。というのが昨日の事を思い出して現実逃避している今日この頃。
いつものメンツである、お嬢様は勿論、フィン、アシェル様、エイダン様、アーサー様、メーリン様と共に昼食を取っていると突然知らない令嬢がやってきてお嬢様に「何故お前の様な者が殿下や、高位貴族令息の人と一緒にいる!?」と迫って来た。
知らないといえば語弊がある。実際隣のクラスに在籍している令嬢で、入学前に一通りの生徒の顔と名前を覚ているので知っているが、面識自体はない。
彼女はこの国で知らない人はいないと言うほど有名な(悪い意味で)ゴールトン公爵の娘ダーシー・ゴールトンだ。
ゴールトン公爵と言えば、元を辿れば王家の分家にあたる筋で長きに渡って公爵としての地位を築いて来た名門中の名門。しかし、現在の当主ディラン・ゴールトンはダーシー嬢の父親であり、自分を王家の真っ当な血筋だと勘違いしている頭の痛い男である。彼は今までに幾つもの反逆罪に取られる行為をして来た。その悪事も金にものを言わせ揉み消されているのだが、高位貴族の中では割と知られている話だ。
まぁ、そんな親に育てられたダーシーもまた頭が痛い令嬢なのだ。
入学から約3ヶ月。このメンバーで結構な頻度昼食を共にして来たが、まさかこのメンバーで食事をするのにも慣れたという頃になってやっと気がついてお嬢様に迫るなんて本当に頭が痛い令嬢だ。
「ちょっと!なんであんたみたいな下級貴族が殿下や他の殿方と食事を共にしているわけ!」
「初対面に不躾になんですか!」
「下級貴族が私に盾をつくな!」
「何ですって!」
「ちょっと2人とも落ち着いて!」
お嬢様とダーシー嬢の言い合いをファンがどうにか止めにかかる。お嬢様もダーシー嬢も一応公爵令嬢なので基本目上の人を取り押さえたり出来ない他の面々はあわあわしている。まぁ、本来2人と同じ位にいるアシェル様も止めにかかることは出来るのだが、ダーシー嬢の迫力にドン引きで動けないでいる。
正直に言うと、僕もその迫力にドン引きだし、仮にも同じ爵位でありフィンの婚約者であるお嬢様を下級貴族と罵るその神経と、今まで僕たちが食事を共にしているのを知らなかったという情報の疎さにドン引きである。
「ダーシー嬢、これはどう言うつもりだ?彼女は僕の婚約者だぞ」
フィンの頑張りでやっと黙らせたらしく、フィンはダーシー嬢に怒気を孕ませながら質問した。
「た、たまたま食堂の前を通った時下級貴族のこの女が殿下や他の殿方に囲まれて食事をしているのを見かけていても経ってもいられず」
「ダーシー嬢、爵位で人を判断するのは良くないし、彼女は君と同じ公爵令嬢だ。それに僕の婚約者だ。何か異存はあるか?」
「……ぃぃぇ。申し訳ありませんでした」
ダーシー嬢は殿下に小声で謝り、すごい顔でお嬢様を睨みながら帰って行った。
「す、凄かったな」
「ああ」
「凄い迫力だったね」
「いやっ、ほんとあれ女の子なわけ?」
唖然としながら各々の感想を述べているのは、上からアシェル様、エイダン様、メーリン様、アーサー様。
「大丈夫でございますか?お嬢様、お怪我はありませんか?」
「ええ、大丈夫よ」
「殿下も大丈夫ですか?使用人の身分で助けることが出来ず申し訳ございません。障害事件でしたら手をお貸しできたのですが」
「大丈夫だよヴェル。こんな事になっちゃったけど、まだご飯食べかけだよね?皆んな早く食べちゃおう」
その言葉で全員残っていた昼食を食べ始めた。ダーシー嬢が来る前とは真逆と言えるほど静かに。
お嬢様は大丈夫と言っていたが、今後同じ事があってはならないと僕は心に刻み、ダーシー嬢の事はよく注視ないとと、僕の中のブラックリストに載せるのだった。
遅くなって申し訳ありません!どんな話を書こうか全然決まらず、ずるずると書くのを先延ばしにしてしまいました。まだまだ、何を書くか具体的に決まっていないので、また遅くなると思いますが何卒よろしくお願いします!
全然思い付かない_:(´ཀ`」 ∠):




