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2話 スラム街

短めです。


 僕がいたのはスラム街の路地裏だった様で、薄暗くて、臭い。

 体は赤ちゃんなので精神が体につられてしまったのか、どうしていいか分からず不安になっていると、泣けてきてしまった。

 

 「っふ、ふ、ふぎゃー!」


 泣いていると、スラムに住んでいるであろう大人たちが集まってきた。


 「っ!赤ん坊が捨てられてるぞ!誰だっこんな生まれたばかりの子供を捨てる親はっ!」

 「どうした?そんな声を荒げて、お前さんらしくないぞ?」

 「わっ、古株のジュード爺さんが怒ってる!」

 「どうかしたのかい?ジュードが声を荒げるなんて何年ぶりかねぇ?」

 「あ、エラ婆か。なんか分かんないけど急にジュード爺が怒り出したんだよ」

 「そうかい。ジュードや、何をそんなに怒っているんだい?」

 「ああ、エラ。泣き声が聞こえてこっちに来てみたら赤ん坊が捨てられてたんだ。ほら」


 ジュードと呼ばれるお爺さんが僕をひょいと持ち上げエラと呼ばれるお婆さんに見せた。


 「あらまぁ、まだ生まれてそんな経ってないんじゃないかい?これはまずいね。誰か乳が出る子を知らんか?」

 「エラ婆、それなら俺知ってるよ!貴族の子供を産んだとかで娼館を追い出されたって最近ここら辺にきたソフィって女が確か子供はまだ乳を飲んでるって言ってた!」

 「そうかい。ならルーそのソフィをここに連れてきておくれ」

 「ああ、分かった」

 

 ルーと呼ばれる青年が路地の奥の方へ走っていった。すると、残った大人たちが話し合いを始めた。


 「ジュード、エラ、この赤ん坊のお包みなかなか上等な布じゃないか?もしかして貴族の子供なんじゃ」

 「おい、この赤ん坊耳にピアスしてるぞ。これでも昔は貴族だったから分かるが、このピアス凄い魔力が込められてらぁ」

 「貴族の子供がなんでこんなスラムに…」 


 大人たちが話していると、さっきソフィさんを呼びに行ったルーが帰ってきた。


 「っはぁ、はぁ、はぁ、ソフィさん連れてきたっ!」

 「おお、ルーか。早かったな」

 「あの、赤ちゃんが捨てられていたって聞いてきたのですが…」

 「ああ。この子じゃ。このスラムはみんなで支え合いながら生きてるのが掟なのだが、流石に赤ん坊に固形物はやらんからな。母乳はソフィ。お前さんがやってくれないか?」

 「まぁ、なんて可哀想な子なの。まだこんなに小さいのに親に捨てられて。今日から私が貴方のお母さんの代わりに育ててあげるからね」


 そう言いながらソフィさんは僕をジュード爺から受け取り抱きしめた。

 あぁ、暖かい。

 僕はソフィさんの温もりに触れて安心してしまったのか眠りに着くのだった。

 

 それから僕は、捨てられた時のお包みにされていた刺繍文字からヴェルと名付けられた。そして、スラムの人達に育てられ、ソフィの赤ちゃんと一緒にすくすくと成長していった。

 

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