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エミュリア女王記外伝その一~黒幕さん達の事情その一~

エミュリア誕生については把握したが、国王に友人が多かったため、誰がエミュリアを匿ったのかわからない黒幕さん・・・。情報は大事ですよ!

 私はどうしてもこの国の実権が欲しかった。

 マデレーナという国の実力は相当なものだ。周囲を威圧するだけではなく、制圧するのにさほど時間はかかるまい。


 私は自分が実権を持つ手始めに、秘密裏に欲が深い下衆な貴族を調べ上げ、当主の嗜好、嫌悪などを調べ上げた。どんな貴族というか人にも隙はある。そのすきを狙い入り込めば下衆な貴族を操ることは造作もないだろう、そう思っている。


 実際のところ、マデレーナという国の国王自身、女にだらしなかった。ある時美貌の子爵婦人に出会った国王はその虜となり、国王命令で周辺国の侵略の気配があるとの報告を使い、軍にいる夫の子爵を派遣させた。子爵婦人も国王に言い寄られまんざらでもないと思ったのだろう、国王を受け入れたのだった。国王は、現地で侵略の恐れなしと報告する子爵をその地に留め置くために、別の報告を元に命を下した。侵略に備えるための防衛線を作るためと称して、子爵を一年にわたり現地に留めるように画策した。子爵は現地から戻ることすらできず、逢瀬を重ねたことで国王の子供を妊娠した夫人が秘密裏に王女を出産したのち、ようやく子爵を軍務から開放するという始末だった。


 私はこんな国王のやり口について反吐が出そうだった。さらに子爵婦人に対しても腹が立った。私は被害者の子爵に手紙を書いた。いや、手紙を書いたのは厳密にいえば私ではない。私が示唆して手紙が書かれたのだが、受け取った子爵が信じるかは実際どちらでもよかった。手紙を受け取った子爵が相当悩んでいると聞いた私はわざわざ夜会に出てきていた子爵にこっそり忠告をしたところ、ほどなく子爵は夫人を離縁してしまった。そして自身はそれとはわからないように図ったのだが、敵対国の工作員に会わせ、ついには私が用意した敵対国へと亡命させることに成功した。


 この件は国王の価値を下げ、それまで堅実だった貴族の国王への支持は目に見えて下がり始めた。女にだらしない国王が、軍の重鎮の子爵の妻に手を出し、不確かな情報を元に子爵を僻地に追いやり、妻を寝取るなどというくだらない男だと貴族が知り、支持が保てるはずがないのだ。しかも軍の重要機密を知る地位にあった子爵が敵対国に亡命してしまった。このことは国王の相当な失態だ。

 ただ国王は誰かに赤子を託して秘密にしたらしいのだが、その赤子がどこに預けられたのか、私ですら探り出すことができなかった。仕方がなく、子爵が亡命した後、わたしは手の者を使って国王の行いの噂を市井にばらまくことにした。最初は国民全員は疑っていたが、徐々に効果が出始め、やがて国王が性懲りもなく、秘密裏に離縁された元子爵婦人を離宮に囲ったところをまた暴露すると、国民全員が知ることになった。


 国王の人気はなくなりはしなかったが、国王の評判は地に落ちた。周辺国からも蔑んだ視線を感じている。私は女で破滅しようとする国王に同情はしたが、同時に手ごたえを感じていた。国王のやったことは全く弁解する余地もない。女に対しての欲望を抑えられず、姑息な手で女を寝取るなど、下らない男だ。なぜそんな下らない男が国王などとでかい顔をしているのか。そしてなぜ下らない男をいまだに王として奉っているのか、理解に苦しむ。私のほうがよほど王としてふさわしいはずなのだ。自慢ではないが、私の領地の民は、困窮すらせず、穏やかに暮らし、利益を享受しているというのに。

 まったくあんな国王についていこうとする下らない貴族と平民には、いつか私が実権を握ったとき、鉄槌を食らわせてやろうと思う。


この抜けてる黒幕はこんなんで大丈夫なんだろうか・・・。黒幕ともいえないかもしれない・・・。ちなみにこの黒幕さんは本編第一章では出演しておりません。ただ、ある程度の地位にいる方です。でもこの人だけじゃないんだよなあ、黒幕になりたい人は。この時のエミュリアは赤子なので何もできないのが残念。

本編にブックマーク付けてくれました方々、ありがとうございます。短編ですが、本編を補完します読み物です。どうぞよろしくお願いいたします。

今更ですが、タイトルをつけ間違えていたので直しました。(4月29日編集しました)

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