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『七行詩集』

七行詩 561.~570.

作者: s.h.n

『七行詩』 作詞 s.h.n


561.


町に賑やかなベルが鳴り


誰もが誰かのために居る


高いツリーの先っぽは


お菓子でできているかもしれない


誰かに着せるマフラーは


優しさでできているかもしれない


お家に帰ろう もう少し町を歩いたら



562.


この身には 貴方以上の悩みもなければ


貴方以上の救いもない


手足の枷には その名が彫られているでしょう


魂が天に 祈りを捧げ


夢の中へ その姿を探しに出ても


私をこの地に繋ぎ止めるのは


貴方ゆえの痛みであるので



563.


故郷が 私の帰りを待つならば


敗北の知らせを持ち帰っても


迎え入れてくれるだろうか


再び 送り出してくれるだろうか


荷物を積めて 滑車に乗せ


そのロープで 自らの心も固く結び


旅の途中で落とさぬように 消さぬように



564.


幻に 心を浮かされていながら


いざその姿を前にすると


幻では、と 疑ってしまう


貴方は私の弱さを教え 傍へと這い上がるための


灯台の光にもなってくれる


いつか必ず 貴方のもとへ辿り着きましょう


そのために 貴方を見上げ続けたのだから



565.


私から離れて暮らした日々に


貴方は何を見たのでしょうか


かつては同じ 小さな部屋を


分け合い 過ごしたものです


山は雲を吐き 呼吸している


海は静かに 寄せている


貴方もまた 私の故郷の一つであるのに



566.


支配し 独占することでさえ


守られているように感じたのに


これで慎ましく身を隠せ と


押しつけるように 着せた布を


今度は私から剥ぎ取って


町の雑踏へと 突き放し


これで最後だと 扉を閉めた



567.


いつまでも 変わらぬ姿で居ることはできず


子は育ち 私は少しずつ老いていく


魂が 貴方の側を選ぶのは


小さな変化も 見届けて


より良い未来に より良い笑顔に


貴方が出会う瞬間を


見守り 祝福することを 強く望んでいるからです



568.


私のもとに 帰るつもりがないのなら


貴方が悩む必要など


きっと何処にもないでしょう


いつか自由を手にしたら


私を思い出してください


貴方の自由を 願ったのは 誰であったか


貴方の幸せを 願ったのは 誰であったか



569.


熱が出た日は 外で冷まして帰ろう


夜空に思い出を浮かべて


胸の中だけ 温まればいい


星はあの日も 二人を見下ろしていただろうか


今も二人を 覚えているだろうか


ベンチは今も 誰かと誰かを繋いでいる


明かりは今も 誰かと誰かを照らしている



570.


日が落ち 帰路に着く後ろ姿


見つけた僕は 追いかけた


きっともう来ない 瞬間がある


きっともう来ない 出会いがある


戸惑いに 慣れることもできぬ間に


戸惑いは 過ぎ去ってしまう


貴方は此処から 去ってしまう



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