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7Daysメモリー 台本  作者: A5
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大橋海人(オオハシ カイト) 男 27歳

大橋海人(オオハシ カイト) 男 27歳

フリーランスの写真家

性格はさっぱりしていて男女関係なく交友関係は広いが女性が苦手でぶっきらぼうになる

よく行く移動式弁当屋さんで働いていた女性と合コンで出会う

①月曜日

最後は俺だな。名刺に書いてるとおり、名前は大橋海人。歳は27。仕事はフリーランスの写真家をしています。よろしく。……いや、合コンは初めてだよ、そもそもあまりそういうものに興味がな……むぐ(口を押さえられる)

……はあ(ため息)、まったく。ええと、じゃあまずは飲み物を頼むから教えてくれ。どうせ男はビールだろ?……ハイハイ。女の子たちはどうする?好きなの言えばいいよ。同じね、分かった……

(小声→)ねえ、君。苦手だろ、アルコール。……無理しなくていいから。

因みに悪いけど俺車で来てるからウーロン茶な。……合コンに車で来るなだと?急に呼びつけたのはお前らだろ?で、君はどうする?……分かった。……すみません、ビール4つとウーロン茶2つお願いします。

ふう……(座る)、え?ああいいよお礼なんて、車で来てるのは本当だし。飲めないなら無理せず言えよ、って…まあ言いにくいか。この雰囲気、別に嫌いじゃないけどまずはビールってのがちょっとな。

……ん?君もしかしてこの近くの駅前で弁当の移動販売してないか?ほら、薄い黄色の車の。

そうだよな、そうだと思った。俺、この辺りを拠点にしててさ。昼はよくそのキッチンカーの弁当を買うんだよ。もしかして君が作ってるのか?へえ、すごいな。美味いよあれ。種類も多いから飽きないし、今まで食ったやつは全部美味しかった。

え?今度味噌汁つけてくれるって?……ああ今日のお礼?いいのにそんなの。ま、でも、それはありがたく受け取ることにするよ。正直気になってたしな。


②火曜日

すみません、唐揚げ弁当ひとつ。……ああ、こんにちは、……覚えてたのか。

合コンでした約束なんて覚えてるやつのほうが少ないだろ。味噌汁ね、どうも。

別に大したことをしたわけじゃないんだけど。

え?一緒に食うのか?……いや俺は別に構わないけど……仕事は?

ああ、まあ確かに昼時は過ぎてるが……わかった、わかったからあんまり寄るな。

客が来たらすぐに戻るんだぞ、いいな。

じゃあ、いただきます。……なんか食べにくいな……(食べる)、ん、美味い。

あれ、ちょっと味付け変えたのか?。……やっぱりそうか、俺こっちの味付けの方が好みだな。前のもよかったがこっちのほうがさっぱりしてるような気が……なんだよにやにやして。

違う、よく食べてたからだ。だからなんとなくそう思っただけで別にすごくない。

思ったんだが……あの日の合コン、君も初めてだっただろ。

他の女の子とは雰囲気が違ったからな。あの二人は友人か?イケイケの営業マンと弁護士に夢中だったけど。……欠席したやつの代わりね、散々だな君も。

変だったかって?なにが?……ああ雰囲気違うって言ったの気にしてるのか。

そうじゃない、……なんて言ったらいいのか……俺も同じようなものだったし似た匂いを感じたんだ。飯は居酒屋で食うよりこういう弁当を食うほうが性に合ってるっていうか……

もういいだろ、ほら、客がきたし早くいけ。


③水曜日

……また一緒に食うのか、モノ好きだな……。人が食べてる顔が好きだって?……へえ、自分のちゃんとした店を持つのが夢なのか。まあ自分が作ったものを食ってもらえるのが嬉しいっていう気持ちは分かるけどな。

え?いや俺は作らないし、作ってくれるやつもいない。だからこうやって、毎日弁当を買ってるんだろ?

恋人?……そういう話はあまり他人にしたことないんだが。……わかったからあまり寄るなって。はあ……(ため息)、よく考えてみろ。俺のこの性格と職業だぞ?人当たりがいいわけでもないし、金を持ってるわけでもない。君のお友達が俺以外の二人に寄っていったのも当然だ。

この俺に、恋人なんていう存在がいると思うか?……好きなタイプ?……俺の?なんでそんなこと……ああわかったよ!……ったく、君のそういうところ嫌いじゃないから困るんだよな……なんでか断れないんだから勘弁してくれよ。

で、好きなタイプだっけ?……そうだな……よく笑う子と、よく食べる子かな。俺がそんなに感情が出る方ではないから、笑ってくれる子が近くにいるのは心地いいんだ。あと、俺も食べることが好きだから。

私は……って、え?君……?君がなに……?君がどうかって?……そ、れは……

う、うまく言えないが、……実をいうと、俺はあまり他人と飯を食うことは得意ではないんだ。

最初にここで一緒に食った日も言ったかもしれないが、見られてるような気がして食いにくいんだよ。だから食べることが好きなのに邪魔をされてる気がして……。

でも、君に対して嫌だと思ったことは……一度もないし、居心地は…悪くない。……これが返事でいいか?


④木曜日

…驚いた。まさかあの日の名刺を律儀にまだ持ってた上、急に連絡してくるなんてな。

別に謝らなくていい、嫌じゃなかったから俺もこうして会ってるんだ。

それで?新しい弁当の開発に向けての食べ歩きはどうだった?……そうか、それならよかったな。休みの日まで仕事とは熱心なことだ。

俺?俺もいろんな店の写真を撮れたし満足しているよ。それに君の弁当を食うのが好きだし、新しいメニューが増えることはありがたい。

連れ回して申し訳ないだと?なんで今さらそんなことを気にしてるんだ。俺も食うことは好きだし、お前の美味しそうにしてる顔、嫌いじゃないし……。

え?いや、好きと嫌いじゃないは一緒の意味だしどっちでもいいだろ。

………はああ(息を大きく吐いて吸う)わかった。君の食ってるときの顔、好きだよ。

そこも気になるのか?食うときだけかどうかが?君は俺にそこまで言わせるのかよ。

ほんと参ったよ……俺そんなこと言うタイプじゃなかったんだけどな……。

言っただろ、よく笑う子とよく食べる子が好きだって。で、君はよく笑うし、よく食べる。

つまり?……ああ…つまり、(咳払い)…つまり、君のことが……


⑤金曜日

もう遅い。散々俺に恥ずかしい思いをさせておいて自分だけ逃げようたってそうはいかない。

食べ歩きデートは何回もしたな?もちろん好きでついていったが今度は俺のやりたいようにさせてもらう。何も変なことをしようだなんて言ってないだろ?

写真を撮られる機会なんて今までにもあったはずだしそれと同じだ。

なんで撮りたいのかって?あのな、俺は写真家だぞ?恋人を写真に撮りたいと思うことは当然のことだろう?

君は自然にしていたらいいんだ。いつもどおり弁当を作って、接客をして、飯を食って、笑ってくれればいい。いつもどおりが難しい?俺はいないものとして考えたらいいんだよ。気にするから変に意識をしておかしなことになるんだ。

……わかった、じゃあ俺も白状するよ。俺の専門は風景写真だ。人間を撮ることはあまり得意じゃない。でも撮りたいんだよ、なんでか分かるよな?

よし、じゃあ何枚か撮っていくから、自然に、な。後で君にも全部確認してもらうから、覚悟しておけよ?


⑥土曜日

1年間、海外に行こうと思ってる。

……そうだよな、知らないのは当然だ。黙って進めて悪かった。

写真のコンテストがあるんだ。簡単に言えば写真家がこぞって狙いに行く大きな賞だ。

これの最優秀賞をとった写真家にはスポンサーがついて、いよいよそれで食っていけるようになるんだ。そして俺はそれにチャレンジしたいとおもってる。

君に言わなかったのは、君なら俺についてくると言うだろうと思ったからだ。

そうだろ?……わかってる、だから内緒で進めた。

君にはずっと前に話してくれた、店を持つっていう夢があるんだろ。俺はその邪魔をしたくない。絶対に叶えて欲しいし、それはもう俺の夢でもあるんだ。

だから……もう一つの夢を叶えるために俺は行くよ。絶対にその賞を取って戻ってきたいんだ。

幸いにも君の写真はやまほど撮ったから寂しい思いはしなくて済みそうだ。

……冗談に決まってるだろ、俺だって寂しくないわけじゃない。

でも約束する。ずっと応援してるし、君を想ってる。だから、待ってて欲しい。

うんわかった……連絡するよ、メールも電話もする。……そんな寄るなよ…離れがたいだろ。ありがとう、行ってきます。




⑦日曜日

ああ、来たか。……とにかく座れよ。

店だしたんだって?おめでとう。……はは、変な顔してるな?そんなに気になるか?……まあそうだよな、あれから1年後、連絡もなしに海外から戻ってきたと思ったら重大な発表があるから俺の家に集合なんて言われたらな。

いいか?落ち着いて聞けよ?……前に写真のコンテストの話はしたな?そう、それで評価されたらスポンサーがつくっていうあれだ。で、それの結果が……最優秀賞だったんだよ!……はは、なんで君が泣いてるんだよ。嬉しくて?……馬鹿だな、俺より喜んでるじゃないか。

でさ、この賞をもらった作品、これなんだよ。そう、ずっと前から撮ってた君の写真。全部だよ。全部君だ。

俺が、俺の写真が認められたのは、君のおかげだよ。違う、大げさなんかじゃない。

自分でも分かるんだよ、俺の写真は変わった。風景ばかり撮っていた俺が、君のおかげで温かさを持った。本当にありがとう。

俺はさ、本当はこういう写真を撮りたかったんだよ。親父が早くに逝っちまって、母親が働きながら育ててくれたのを見てたから、強くて温かい人の表情を残したくて写真家になったのを思い出せた。これからは温かい家庭の写真を撮っていけると思う。……君となら。

これ……、はは、また泣いてる。……そんなにいいものではないんだけど、受け取ってもらえないかな。……そっか、よかった、ありがとう、もう一つの夢が叶ったよ。

俺、笑ってる子が好きだけど、君の嬉し涙ならいくらでも見たいかな。


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