13-婚約破棄
「ソフィア、貴女との婚約を破棄させてもらう」
私の元婚約者のダニエル様は感情を押し殺したような口調でそう告げました。私はなるべく感情をこめないようにダニエル様を見つめながら、これまでのことを思い返します。
本来ならば、私とダニエル様は結婚するはずでした。ダニエル様は親に勧められた相手だったのですが、初めての顔合わせでお互いに好意を抱き、何度か出会ううちに結婚を意識するようになりました。そして、順調に交際は進み、ようやく婚約までたどり着いたのです。
とても順調でした、私の前に彼女が現れるまでは。
彼女ことミランダは、ダニエル様の幼いころからの友人です。初めは彼女もダニエル様と私の仲を応援していたそうです。ところが、いつのころからでしょうかダニエル様に私だけはやめるようにと言うようになったのです。
そして私の前に現れ、ダニエル様と別れろとしつこく付きまとうようになり、嫌がらせの手紙も送られてきました。
しかし、私はそれにもめげないで婚約の準備を進めました。嫌がらせはいつの間にかなくなり、安心したところでした。
そんな時に、ダニエル様に呼び出されたのです。私は結婚についてのお話かと思い期待してダニエル様のお宅へ向かったのですが、実は婚約破棄だったというわけなのです。
「君がそんな人だとは思わなかった。もうすこしミランダのことを信じるべきだった」
ダニエル様は悲しそうな表情で言いました。
「はぁ、きちんと殺しておくべきでしたね」
私は口元をレースの扇で隠しそっと呟きました。そして、じっとダニエル様の横にいるところどころに包帯を巻いた痛々しい姿のミランダを見つめました。勝ち誇ったようにこちらを見てくるのが不愉快です。
それにしても不思議です。実は私はこの世界を何度もやり直しているのです。今回で三回目なのですが、毎回ミランダがダニエル様を取ってしまうのです。初めは興味がないような感じなのですが、途中から人が変わったようにダニエル様にアピールするのです。全くわけが分かりません。
今回は前回の反省を生かして、嫌がらせを利用して崖から突き落としましたが、まさか生きているなんて。まあいいわ、今回はダメなようですけど、次回は私が勝ちますよ。ダニエル様と結婚するのは私なのです。
ほんとはループ系悪役令嬢vs転生系ヒロインが書きたかったんや。
なんか中途半端になってしまったけど、。恋愛ものはむつかしい。




