表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1話5分で読めるショートショート集 ~隙間時間に贈るなろうの物語~  作者: とあるワナビ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/20

12-普通

 いつから僕が普通という、とてもつまらないものに固執し始めたかというと、つい最近のこと。でも非凡な人生をあきらめたのは、自分が凡人だと自覚した時、つまり最初から、と答えるだろう。


 普通な人生。代替可能。何の変哲もない、オチもヤマもない物語。どこにでもあるような、代わり映えのしないもの。自分とは、そういうものだと思ってた。いや、思ってる。


 確かに、バラ色の人生、非凡な才能、非日常の訪れ、そんなものを渇望したことはない、とは言えない。そりゃ、誰だって自分だけが特別で、人と違ったことをやりたいと思うのは当り前だと思うんだ。ちがう?


 例えば、小説家になろうというサイト上に大量に存在する物語のように、一回死んで神様からチートと呼ばれるくらい素晴らしい能力を授かって、主人公が美男美女な仲間たちと魔王を倒して世界を救ったり、突然可憐な女の子が現れて一緒に悪の組織と闘ったりと、そういった物語には誰しも一度は憧れると思う。思わない? 私は思うけど。


 だからこそ、いないはずの幼馴染達と冒険ごっこをしたという妄想をしたことも有ったし、もう調べつくされてるこの世界に未知はないかと思いを馳せたことも何度かある。ムーだって定期購読していた。ただの痛い子扱いだったけど。その他にも、猫耳を生やした女の子が空から落ちてこないか、夜空を見上げたことだって、無いとは言えないさ。そのおかげで星座には詳しくなったけどね。


 でもさ、そんなお話みたいなことは全然なかった。残念だけど。暴走トラックにはねられ、神様から特別な能力をもらって転生することもなかったし、綺麗な女の子も出てこない。悪の組織なんてないし、美男美女な異世界人が来て、一緒に世界を救いませんかとスカウトされることなんてない。来るのはテレビ局か新聞屋の集金の人たちだけ、選ばれし者とか言って連れ去られることもない。長い長い夏休みの冒険なんてなかった。もちろん、夜空を見上げても満天の星空しか見えない。


 つまり、何が言いたいかというと。世界はそんなに甘くないってこと。世界に比べて人なんて、ちっぽけな存在だ。そこら辺の山にだって劣る、そんなちっぽけな存在に、なんの力があるというのだ。

  

 そんなわけで、幼少のころに平凡な人生が一番だと悟ってしまったわけで。まぁ、自分でもひねくれているとは思う。冒険なんかして、リスキーな人生を生きるより、普通に生きて、普通に結婚して、普通に死にたい。


 なので僕は普通に固執する。普通の人生を生きるため。それが一番だと考えていた。下手なことするよりも堅実に生きたい。


 でも、そんな薄っぺらい考えは、簡単に破られてしまうんだ。あの時、彼女に出会ってしまったことによって。


 





 ――って、ずっとずっとプロローグを続けてるんですけど。そろそろ僕の物語の第一話は始まらないのでしょうか。ねぇねぇ、聞いてます? あっ、できるならヒロインはエルフがいいです。あとやっぱりチートは必要でしょう、かっこいいのが…………

そろそろ始まらないと、終わってしまいます(僕の人生が)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ