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第1話

「ーーーここは…どこだ?」


 俺は辺りを見回す。


 俺の目の前には木、木、木・・・後ろを振り返ると先が見えないほど広がった草原、その中にぽつんぽつんと木が点在しているのが確認できる。


 どうやらここは森の入り口に位置する場所のようだ。



「って、冷静に状況を確認している場合じゃねえぇーー!!」


 やべぇ、まじでここどこだ!?

 さっきまで俺は間違いなく高校から帰宅するためにアスファルトの道を歩いていたはずだよな?!


「…ふぅ〜、どうやら俺は歩きながら寝ちゃったみたいだ!全く、俺も困ったやつだな(笑)ま、辛い学期末テストが終わって気が抜けちゃったんだろうな、そうなると、道路に俺は倒れて寝てんのか?早く起きないと病院に運ばれて大事になるな(笑)親にも心配かけたくないし、さっさと起きるとしますか!」


 そう言いながら俺は草の上に寝転がる。


 は〜、空気も澄んでいて気持ちいいし、ポカポカする。眠りにつくにはいい条件だ。

 少し日が眩しいが、制服を頭にかぶせれば何も問題ない。

 さっさと寝て夢から覚めないとな!


 そんなことを思いつつ、俺はこの心地よい草原の上で眠りについたーー




「ーーって、これ絶対夢じゃねぇよっ!おかしすぎるでしょ!土や草、空気の匂いもリアル過ぎるし、というか熱を感じられる時点で違うと思うよ、俺っ!」


 それに


「痛っ! 定番の頬をつねるやってみたけど、いてーよ! もうちょっと加減してつねれば良かった!めっちゃ痛い!」


 森と草原の真ん中にいる俺が声を上げると辺りに寂しく響いた。


「…ってことは、ここは夢じゃなく別の場所、いや、異世界なのか?…そんな小説をよく読んでたが、まさか自分がこんなことになるとは…せめていろいろ準備させて欲しかったよ…」


 今俺が持っているものといえば、学校カバン、その中に教科書やらノートやら文房具類と後は軽いお菓子、スマホくらいだ。


 もしかしたら、電波が通ってて電話が出来るかもと思いスマホを起動させた。


「…やっぱり電波通ってない、圏外になってるな」


 はぁ〜〜、まあそうだよな〜。


 …元の世界に帰るのは諦めるか。この状況を泣き喚いて打開出来るのならそうするけど、どうやってここに来たのかも分からない以上、無駄に騒いだり、帰ろうとするのは愚の骨頂だろうしな。それに、家族に会えないのは辛いけど、向こうの世界では勉強や部活で忙しかったし、何よりどちらにも面白みを感じなくなってた。友達と騒ぐのは楽しかったが、学校生活はそんな毎日をただ過ごすだけのような気がして退屈だった。

 もしかしたら神様が人生をただ消費しているそんな俺に人生を変えるチャンスをくれたのかもしれない。もしそうだとしたら、折角貰ったチャンスを無駄にすることは失礼だし、俺もデメリットが多いだろう。


「.よし!覚悟は決めた!この世界で面白可笑しく過ごしてやるぞっ!」


 俺は戻らない覚悟を決めた。


「じいちゃん、ばあちゃん、母さん、父さん、そして妹よ、俺はそっちには戻らない、まぁ戻る方法が分からないんだけど… 俺、この世界で楽しく過ごすために頑張るよ!」


 その言葉を胸に刻み、俺はこれからのことを考える。


「取り敢えず、人がいる場所に行かないと野たれ死んでしまうな… 草原の方向か森の方向、どっちに進むか」


 草原の方向はここから一番遠くを見ても、何もない。草原と木がてんさするという景色が続いているだけだ。

 …草原の方向は止めておこう。気が遠くなる。


「じゃあ、必然的に森だな。これだけ気が生い茂っているんだ。水は心配ないだろう。まあ、その分動物がいる可能性が高いけどな」


 くよくよ迷ってても仕方ないし、森に入るとするか!


「よし!しゅっぱーつ!」


「いや、俺ちょっと待て!さっきまでこの状況をどうするか考えてて気づかなかったが、もしかしたら異世界物小説ではお決まりのチートが俺にもあるんじゃね!?どうやったら分かるんだろう、取り敢えず自分の能力を知りたい!」


 そんなことを考えているといきなり目の前に何かが現れた


「うわっ! びっくりしたー! ん?やっぱり!この数値は俺の能力か!?能力に魔力って書いてある、やっぱりこの世界は魔法が存在するのか!!やった〜〜っ!」


 目の前には、自分の名前、歳、能力の名前とその数値などが表示されていた。


「魔法があることには驚いたけど、んー、数値を見ても何とも言えないな。まだ自分のしか知らないし、そんなことよりスキルだ!もしかしたらすごそうなのがあるかもっ!」


 そして、俺は自分のステータスと思われる表示を食い入るように眺める。


「…やった!何か一つスキル欄に表示されてるぞっ!えーっと、なになに…………えっ、何このスキル…」



 ____________________________

 レベル 1 名前:東道 文也 年齢:17歳

  種族:人族 性別:男

  職業:ーー


  体力 100

  魔力 200

  攻撃力 80

  防御力 60

  俊敏力 70

  賢さ 150

  幸運度 100


 ユニークスキル: 文房具魔法


  スキル:


 ポイント: 0


  所持金:0

 ____________________________



「え?…ちょっと待って、何?文房具?うん、文房具は大切だよね、それは分かるよ、魔法?え?え?ーー」


 ピカーーーーッ!


「えっえっ?ちょっと何!?うわっ!カバンがめちゃくちゃ光ってる!なんだ?!」


 ーー次の瞬間、カバンの中から何かが俺に向かって飛び出してきた。


 シューー、パーン


「うわっ!!なんだこれは!光に囲まれた!?くっ!」


 光は文也を包みこみ、そして徐々に光は消えていく。


「な、なんだったんだ、一体」


 光は完全に文也の周りから消えた


「…さっき、カバンから光が出てきたよな、ちょっと怖いけどカバンの中を確認しよう…」


 そろっそろっと、俺は警戒しながらカバンの中身を覗いた


 バッ


「…特に何もないな……あれ?カバンに入れてあった文房具がないぞ!?………まさか、さっきの光は…」



 …ステータスを見よう



 _________________________________

 レベル 1 名前:東道 文也 年齢:17歳

  種族:人族 性別:男

  職業:ーー


  体力 100

  魔力 200

  攻撃力 80

  防御力 60

  俊敏力 70

  賢さ 150

  幸運度 100


 ユニークスキル: 文房具魔法 (ノリ魔法Lv.1、ハサミ魔法Lv.1、SP魔法Lv.1、BP魔法Lv.1、コンパス魔法Lv.1、ジョウギ魔法Lv.1、カッター魔法Lv.1、ケシゴム魔法Lv.1、ホッチキス魔法Lv.1、フデバコ魔法Lv.1、ファイル魔法Lv.1、ノート魔法Lv.1)


  スキル:


 ポイント: 0


  所持金:0

 ____________________________



「…やっぱりか、って!全部が全部どんな魔法だよっ!!見たことも聞いたこともないわ!!しかも、いきなり魔法増えすぎだろっ!」


 どういう訳か、俺が持ってた文房具がそのまま魔法になったようだ。


 …なんのために使うんだよ…


 絶対戦闘とかで役に立たないじゃん!工作くらいしかできないよねっ!?


 …俺のチートが…


「ま、まぁいいけどねっ!ステータスに表示されてるポイントってたぶんスキルを取得するためのものだろうし、頑張ってポイント貯めて強くなってやるっ!」



 文也は自分のスキルに対する悲しみをぐっとこらえ、ポイントによるスキル取得という希望をみて気持ちを強くもった。


「まぁ、いろいろ悲しさと楽しさが混ざって複雑だけど、さっさと森に出発するとするかっ!」


 そうして文也は自らの新たな人生のスタートを微妙な形で切ることとなり、1人森の中を進んでいくのであった。




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