絶望的な差
確かに受験後で体が訛っていた事もあった。
しかし、上級生…特杉原先輩には驚かされた。
ほとんど杉原先輩一人にやられたようなものだ。
68対92でうちのチームはボロ負け。そして負けたチームは体育館掃除、しかも1年だけ。という事で、現在掃除中。
村田「しっかし杉原先輩すごかったな…」
良助「…ああ。」
村田「実は俺中学違ったけどずっと憧れてたんだよ。やっぱ思った通りの人だな!」
憧れてた?あいつに?何も知らないって幸せだな~。
掃除も終わり帰りの準備をしていると
ナナ「おーい!今練習終わったとこ?一緒に帰ろうよ。」
と、おせっかいナナ登場。
良助「ああ、すぐ行く」
ナナ「じゃあ正門で待ってるよ。」
良助「ああ。」
走り去るナナ。
村田「お前最上さんとも知り合いなの?」
良助「幼馴染だよ。」
村田「最上さんかわいいよな~!幼馴染とか本当に羨ましいな!勉強もバスケもできてこの学校でももう有名人だからな!あ!いけね。俺帰らないと…じゃあな!」
良助「じゃあな」
ナナが勉強できんのも運動できんのも知ってるよ。容姿もいいからまぁ有名にもなるよな…
そんな事は知ってるよ。
ズキっと胸の奥が痛む。
なんだこの感覚。
正門前に行くとナナが俺を待っていた。
ナナ「お疲れ。あれ?義明は?」
良助「罰ゲームを回避してもう家じゃん?」
ナナ「どういう事?」
良助「とりあえず帰ったって事だよ。お前はこんな時間まで何してたんだ?」
ナナ「自主練!高校のバスケ部はやっぱ中学の時とは全然違うからもっと頑張らないと…」
杉原の顔がちらりとよぎる。
久しぶりに感じた手も足もでない感じ…
たった1年の間にこんなにも差が開くものなのか?
俺はあいつに勝てるようになるのか?勝てないとまた中学の時のような…
ナナ「ちょっと大丈夫?顔色悪いよ?」
ふっと我に返り
良助「ああ、わりぃ。」
ナナ「杉原先輩の事?あんまり思い詰めないでね。」
良助「…」
ナナ「…」
しばらく黙って歩いていると、突然ナナが
ナナ「そういえば!良助また昨日の夜ご飯、コンビニ弁当だったでしょ!」
ぎくっ。
ナナ「今日こそうちで食べなさいよ!」
とても断れる雰囲気ではない…
良助「はい…」