きまずい自己紹介
翌日の放課後、体育館に集合した1年生計7人が顧問と先輩を待つ。
その中には亮介・慶明・神林もいる。
女子バスケ部はすでに自己紹介が始まり、その中にはナナもいる。
中学時代県の選抜に選ばれていたナナははっきり言って有名人。
周りの先輩達も期待しているなどナナには特別に声を掛け、同級生からもさすがなどキャーキャーやっている。
うちの高校は女子バスケ部は強豪と言われる部類に入る。
その中でもこれだけの存在感があるのはさすがだと思う。
幼馴染としても鼻が高い。絶対言わないけど…
顧問「集まってるか?」
顧問と先輩達が体育館に集まってきた。
顧問「7人か。ぼちぼちだな。まず初めに自己紹介から。俺は男子バスケ部の顧問をしている立花だ。よろしく。じゃあ1年端から挨拶して。」
1年の挨拶が順次始まる。
俺はどうしても意識してしまう。杉原を。
杉原は俺の事などどうでもいいという風に他の1年の挨拶を見ている。
慶明「おい亮介。意識しすぎるなよ。」
無理だ。どうしても考えてしまう。
そんな中自己紹介は自分の番になった。
亮介「平松亮介です。宜しくお願いします。」
立花「なんだよ。それだけかよ。趣味とか、好きな芸能人とかないのか?」
亮介「特にないです。」
慶明「おい、亮介!」
立花「まぁいいか。じゃあ次!」
慶明「はい!工藤慶明です!中学の時は亮介と同じチームでバスケしてました。宜しくお願いします。」
杉原「こいつ俺の中学の後輩だったんですよ。」
杉原が口を開く。
立花「そうなのか!じゃあ、平松も同じって事か!」
杉原「まあ…」
この感じ…嫌だな…
神林「次自分の番ですね!神林誠です!好きな芸能人は女優は全て好きです!っていうか女性が好きです!」
立花「お前は正直すぎるな!」
俺のせいでギスギスしそうになった空気を一気に吹き飛ばしてくれた。
本日の部活は自己紹介と部の説明だけで終わった。
帰り道、
ナナ「亮介。大丈夫?」
心配そうに声を掛けてくれる。
亮介「大丈夫だよ。」
本当は大丈夫なはずもない。自分でも考えすぎているのがわかる。
ナナ「もうあれから何年も経ってるし、杉原先輩だってあのままじゃないよ!中学の前半までしか亮介の事知らないから亮介の成長見てビックリすると思うよ!」
明日から部活が始まる。どうなるんだろうな…