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序章・将軍上洛

将軍上洛の先駆けとして集められた浪士組。

しかし、そこには庄内藩士"清河八郎"のある策略があった。


文久2年(1862年)のこと、天然理心流道場<試衛館>では少数であるが門下達が稽古に励んでいた。


そんな中一人の剣客がもたらした情報は小さな道場の運命を善くも悪くも大きく変えた。


「近藤さん!!」


忙しく道場に入ってきた男、山南敬介は門下達の前で口早に事の説明した。


「庄内藩士の清河八郎という男が、将軍・徳川家茂公の上洛の際の前衛として浪士組というものの人員をかき集めているようです。なんでも、身分を問わないとか・・・」

山南の話を聞きながら、土方は思った。


―この男、山南という男はなかなか顔が広い。

もちろん剣の腕も相当なものであるが我々と違い学のあるこの男は情報通でその上信憑性がる。


「山南君、それは真か」

「ええ、清川という男・・・あまりいい噂は聞きませんが・・・」


前々から、何かお国のための役に立ちたいと強く思っていた近藤はこれに乗らない手はないと思った。


「ならば我々試衛館も将軍をお守りするために浪士組に名乗りをあげようではないか」

「いいのかい、近藤さん」


そこまで静かに話を聞いていた土方歳三が、口を挟んだ。


「何がだ?トシ」

「俺たちが全員浪士組に参加しちまったら、この試衛館はどうする」



「トシ。確かにここは大事だが、俺たちみたいな百姓の端くれがお国のためになることなんざぁ生涯にあると思うか?」


滅多に巡ってはこない朗報。

この機を逃してしまったら、一生この百姓のままであることは土方も重々承知であった。


もちろん、近藤さんのためならどこまでもついて行く気はあるが、あえて近藤に確認の言葉を投げかけた。


「本当にいいんだな?じゃあ参加する面々は近藤さん以外、源さん、山南さん、俺、平助、左之助、新八・・・」


土方がそこまで言って止まった。


「やだなぁ土方さん、私を忘れないで下さいよ!」


最年少でありながら、塾頭である総司が不貞腐れ(ふてくされ)ながら自分もついて行くという意を訴えた。



「ばぁか、忘れてたんじゃあねぇさ・・・あえておめぇの名前を呼ばなかったんだ」

「なんでですか!仲間外れはいやですよ!」


「そう噛み付いてくんじゃねえよ。お前はまだガキだ・・・連れてくわけにはいかねぇだろう?なあ、近藤さん」



吠える総司を抑えながら、思いを巡らす。

確かに、こいつぁ剣においては天才的だ・・・それはいい。むしろ、腕のたつ人間は多いに越したことはねぇ。


だがこいつは本気になると抑えが効かなくなっちまうからいけねぇ。




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