表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方作家萃 ~Phantasm Novel Union~  作者: PNU
第二回企画~リレー~<「スポーツ」の部>
18/20

東方野球録――第一幕<作者:ルシフェル>

~簡単ルール説明~


・1チーム6人

・スペルと能力の使用は1人1ゲームにつき1回とする

(スペル1回と能力1回、1試合の中で両方使用可能)

・2人以上で1つの技を繰り出す場合は技を繰り出した者全員、スペルの使用回数を使う

・バットはなんでもアリ(打てる物に限る)

・弾は通常の野球と同じ弾を使用する

・補欠はいても良い(恐らくいないだろうが)

・守備陣形は自由(あえてセカンドを守らず外野を増やすとかそんな感じ)

・監督はチームメンバーの中から選ぶ

・空を飛ぶのは禁止(能力を使用した場合を除く)

・だからと言って地面に潜らない(潜る奴いるか?)

・審判絶対主義

・負傷者が出た場合は適当にどっかから代わりの人を連れてきて下さい

・相手をピチュらせない事

ピチューン……


 そんな音が博麗神社から響き渡る。


「もうなんで勝てないのよ!」


「そんな何回も同じような戦法じゃ勝てないわよ……」


 一方の怒ってる妖精の名は、チルノ。

 湖に住む氷の妖精である彼女だが、いつも自分が一番強いと言い張っており今日も誰かに勝負を挑んだようである。


 そしてその挑まれた巫女服の少女、博麗霊夢はもはや呆れていた。

 先ほどの会話からもわかるようにチルノに勝負を挑まれ勝ったのだが弾幕勝負はもう何回も挑まれており、もはや飽き飽きしているのである。

 ため息の1つもつきたくなってくる状況である。


「もう一回!」


「嫌よ、もうめんどくださいもの」


「う~、じゃあ他のことで勝負よ!」


「他のことって……私たちに弾幕以外のことなんてできないでしょ……」


 チルノはしつこく霊夢を勝負に誘う。

 もちろんめんどくさがりの彼女はそんなことを了承するはずもなく、神社に帰ろうとする。

 ましてや弾幕勝負以外対決方法がない幻想郷ではそんなことなどできないはずである。


 だが――――


「あら、それなら野球で勝負なんてどうかしら?」


 そう、境界を操る大妖怪八雲 紫がそれを言うまでは……
















「で、こうなるのね……」


 先ほどまで博麗神社にいた霊夢だが今はだった広い空き地に来ていた。

 村から離れているため夜には妖怪が蔓延る場所だが、ここにいるメンバー(・・・)ならば関係ないであろう。


「楽しくなりそうだからいいじゃない」


 そう意地悪そうに微笑むのは野球を提案した八雲 紫だ。

 彼女の気まぐれでこうなったのだが、紫はどこ吹く風だ。


 そして霊夢の周りには他にもいる。


「よっし、勝負だからには真剣にやるぜ!」


 と気合を入れているのは霧雨魔理沙。

 白黒の服を着た普通の魔法使いである。


「たまには体を動かすのも悪くないねぇ」


 霊夢の隣でつぶやいたのは伊吹 萃香。

 見た目幼女だがこれでも立派な鬼である。


 他にも近くには紫の式である八雲藍に、その八雲藍の式である橙もいる。


「本当にめんどくださいのよ……ちょっとやってみたい気持ちもあったけど」


 霊夢はぶつぶつと言いながらも結局は参加する。

 天邪鬼な人間なのだろうか。


「お前、素直じゃないな……っと向こうも来たようだぜ」


 魔理沙の言葉で、その方向に目を向けると確かにそこには霊夢組と同じ人数である6人が立っている。

 いや正確には一部は立っているのではなく浮いているが、ともかくそこには6人の妖精たちがいた。


「集めてきたわよ。さあ、勝負よ!」


 そこにいるのはチルノ、サニー、ルナ、スター、大妖精、リリーホワイト。

 チルノは妖精仲間を集めたようで一部を除き、やる気が見て取れる。

 弾幕勝負では勝てない彼女らだが、今回の勝負は勝てるかもしれないということで気合いの入れようが違うのだ。


「ふふ、なら早速試合を始めましょうか」


 そしてついに彼女らの異能野球対戦が始まるのだった。
















「さあ、ついに始まりました。第一回幻想郷野球大会。実況は私、香霖堂から森近 霖之助です。そして解説は――」


「東風谷 早苗です。よろしくお願いします」


「はい、お願いします」


 実況席に座っているのは男女のペアだ。

 男性の方は眼鏡が特徴の霖之助。

 女性の方は霊夢の巫女装束が赤と白に対し青と白が特徴の早苗だ。


 霖之助がここにいるのは香霖堂にあったバットを買った時、ついでに実況として連れてきたのだ。

 もちろん始めは乗り気ではなかったが、始まったらなんだかんだで真面目にやってくれるのだから良い人である。


 対して早苗がいるのは先ほど紹介したように解説役だ。

 もともと早苗は外の世界の人である。

 そのため野球を多少ながら知っているとのことで解説役に加わってもらった。

 と言っても今回の試合は普通の野球ルールとは違ってくる(・・・・・)ので役に立たない部分もあるが。


 ルールは前書きを参照にして欲しい。


「ルールなど確認しましたね? では試合を始めます」


 審判などを任されているのは四季映姫・ヤマザナドゥだ。

 持ち前の『白黒はっきりつける程度の能力』を存分に発揮することだろう。


「私たちが先に攻撃みたいね。一番は誰が行く?」


「じゃあ私から行くぜ」


「大丈夫? 相手はどんな戦法か……って言っても相手のピッチャーはチルノだから変化球なんてしてこなさそうだけど……」


「任しとけって」


 そう言って一番を引き受けたのは魔理沙だ。

 霊夢はそう言ったが一番手はこれからの機運をも操作するので、元気な魔理沙はうってつけかもしれない。


「むっ、相手は魔理沙ね。でも野球であたいに勝つなんて100万光年早いわよ!」


 野球なんて私らしたことないし、光年は距離の単位だしと魔理沙は色々ツッコミたかったが相手はチルノである。

 言ったところで仕方ないだろう。

 もしろそれより今は野球に集中である。


「とりゃっ!」


 チルノは力の限り前にボールを突き出すように投げた。

 素人同然なので投げ方などわからず変化球などできないがまずまずのスピードだ。


「うりゃっ!」


 魔理沙も相手の気合に負けじと大きく振りかぶりボールを打とうとする。


「ストライク!」


「くっ、意外と難しいな……」


 だがそう簡単にはいかない。

 上手くタイミングが合わずストライクを取られてしまう。

 バッターボックスに立ったときの体感スピードは思ってたより速く難しいものである。




「やっぱり難しいみたいですね」


「そうですね。素人ですし初めてですからね。斯くいう私もやったことないので難しさはわからないのですが」


 早苗は自分の実体験を苦笑いをしながらも実況していた。




「しかしこれだとしっくりこないな……そうだ!」


 そういうと魔理沙は一回タイムを取り、ベンチに戻る。

 同じチームメンバーも不思議に思ってると魔理沙が取り出した物を見て、あ~っと納得した。


「ばっちこいっ!」


 そう魔理沙が持っているのは愛用のバットだ。

 これも幻想郷ならではのルールで可能である。




「なんと魔理沙選手が持ってきたのは箒です! これには早苗さんどう思いますか?」


「どうって言われても……向こうの世界ではよく学校の教室の遊びでしてたことですが実際やるとなると難しいんじゃないですか? 打つ部分も細いですし……」


 早苗がそう思うのも当然である。

 これは誰がどう見てもさっきよりも難しいように感じる。




「そんなの変えても意味ないわよっ!」


 チルノもこれにはいちゃもんをつけながらも第2投を投げた。

 今回も直球ストレートである。


「ふっ!」


 だが魔理沙、今度はそんなヘマはしない。

 愛用のバットを使い、ボールに当てる。

 サードの守備であったサニーミルクは取ろうとするが、グローブの扱いに慣れてないのか転がってきたボール上手くキャッチすることができず手間取ってしまった。

 その間に魔理沙は二塁まで行った。

 ホームランとはいかないがサードゴロ、二塁ヒットである。

 一番手としはまずまずだろう。


「じゃあ次は私が行くわ」


 そう言ったのは監督でもある霊夢である。

 霊夢は普通のバットを持ちバッターボックスに立ち、堂々とした構えを取る。


「次こそアウト取るわよ!……えいっ!」


 そう言ったのは監督でもある霊夢である。

 霊夢は普通のバットを持ちバッターボックスに立ち、堂々とした構えを取る。


「次こそアウト取るわよ!……えいっ!」


 チルノは次こそはバッターアウトを取ろうと先ほどよりも速い球を投げる。

 まだ速度が上がるのか、と霊夢は少し驚きながらもバットを――――


――――振らなかった。


「ボール!」


「なっ……」


 球はストライクではなくボールであった。




「おっとこれは、ボールですね。やはりコントロールを犠牲にしたからですかね?」


「そうですね。思いっきり投げれば球がぶれてしまうものですからね。それを見極めた霊夢さんはさすがということでしょうね」

 

 


「むきー! 次こそはストライク取るわよ!」


 ムキになりながらもチルノは再び球を投げる。


「っ!!」


 だがそんな我武者羅に投げている状態では相手に簡単に読まれてしまう。

 霊夢はそんな球を軽々と打ち、スリーベースヒットという初心者にしては大挙を成し遂げた。

 その間に魔理沙もガッツポーズしながらホームに戻ってくる。




「ついに博麗組は1点を取りましたね」


「そうですね。霊夢さん見事だと思います。これで流れもよくなるかもしれませんね」




 その後3番手、橙に回ったが惜しくも3ストライクでバッターチェンジとなる。

 上手く流れに乗れず残念な結果であったが、次の人物はその敵を取ろうと気合が漲っていた。


「藍しゃま、すみません……」


「橙、気にしてませんよ。次は私が出て挽回しますから」


 橙を励ましながら出てきたのは藍だ。

 凛とした姿でバッターボックスに立つ。


「ふふーん。今度は作戦を立ててるもんね。そう簡単には打たせないよっ!」


 相手を挑発しながらチルノは自信満々に球を投げる。

 だが……


「くっ、遅い……」


 その投げられた球は先ほどまでと比べ格段に遅い球だった。

 それは今までできるだけ速く投げてきたチルノにしてはありえないほどの遅さであった。

 その遅さにより藍はタイミングをミスり、そのままキャッチャーのミットに球が入っていく。


「次、次こそは!」


「えいっ!」


「なっ、速いっ」


 再びチルノから投げられたボールは先ほどのように遅い球とは違い今度は元々投げていた速さだ。

 だがそれなのに藍は打てず悔しがっている。




「えっと、これはどういうことでしょうか……霖之助さん、わかりました?」


「たぶん体感速度の違いじゃないでしょうか。1球目に投げた球がものすごく遅いため、次に投げたボールが今までとは違うくらい速く見えたのだと思いますよ」


「なるほど。そういうこともできるんですね」




「でも三振はしないですよ」


 そう重要なのは次である。

 遅い球は1球目でタイミングがすでにわかっており、ものすごく速く感じる球は遅い球の次に投げないと先ほどの戦法は使えない。

 どうチルノは対処してくるのか、と藍は警戒しながら投げるのを待っていた。


「これでシメだよ!」


 そういうと今まで通り速い球を投げてきた。


「(これならいける!)」


 そう確信した藍。

 だが、


「サニーミルク、今よ!」


「OK!」


「えっ……」


 球が唐突に消えた。

 球が見えない。

 だがキャッチャーがキャッチする音だけは聞こえ、そのまま藍は三振という判定になった。




「これは凄い! サニーミルクさんの能力、光を屈折させる程度の能力が炸裂!」


「さながらこれは消える魔球って言ったところでしょうか。これは誰も打てませんね」


 そうサニーミルクは持ち前の能力を使い、非科学的に某有名野球漫画の魔球を作ったのだった。

 これも幻想郷ならではである。




 その後は紫がヒットを打ち霊夢がホームに戻り追加1点。

 さらに追加点と思いきや、萃香がフライを上げてしまい3アウトチェンジになってしまう。

 ここで守備と攻撃が変わるのであった。




「次は私たちに番ね! 2点差なんてすぐ逆転してやるんだから!」


 妖精組の第一打者はチルノであった。

 先ほどまで投手であった彼女だが、打者としての実力はどうであろうか。


「1人目はチルノね……いきなり三振かましてあげるわよっ」


 対して博麗組の投手は霊夢である。

 監督でもある彼女だが、投手も任されたようだ。


 そして霊夢は1球目を――投げた。

 球はチルノよりも速く、コントロールもかなり良い。

 もしかしたら投手というのはかなり適役だったかもしれない。


「だぁっ!」


 チルノは大きく振りかぶる!

 

 だがチルノのバットは見事に空を切り、ストライクである。

 気合いや力を入れても当たらなければ意味がない。


 チルノはこれでさらにムキになるが、霊夢にあっさり抑えられバッターチェンジだ。

 何を取っても冷静さを欠けばいつも以上の力が発揮できなくなる。

 素人という理由もあるが、今回の事例はそれだろう。


 チルノのはまだ打ちたそうにしていたが、ルールなのでしぶしぶとベンチに戻っていった。

 素直な良い妖精()である。


「チルノちゃんどんまい……次回ってきたときに頑張ればいいよ」


 チルノを励まして出てきたのは大妖精、チルノ曰く大ちゃんだ。

 見た目からして非力そうで、野球に向いていなさそうである。

 だが油断はできない、そう思いながら霊夢は球を投げる。


 大妖精は大きく振りかぶら――


――なかった。


「!」


 大妖精は力がないことを知っており、バントをしたのだ。

 霊夢も相手の思わない行動に目を見張る。

 霊夢はしまったと、素早く行動を移すが大妖精はすでに一塁を踏んでいた。




「これは大妖精さんは上手いこと次に繋げましたね」


「そうですね。今まで誰もバントをしてなかったから尚更油断していたんでしょうね」




 次の打者はサニーミルクであったが3つストライクを取ってバッターチェンジとなった。

 これですでにツーアウトで妖精組の得点はいまだに0。

 1点は欲しいところであった。


 そしてサニーミルクの次に出てきたのはスターサファイアである。

 目の奥には燃えており、敵討ちや純粋に勝ちたいという気持ちの表れている。


「あなたでこの回は終わりにしてあげるわよっ」


 だが霊夢の気持ちも負けていない。

 霊夢もスターサファイアから三振を取って、霊夢たちの攻撃回にしたいようである。

 ストレートで相手を仕留めるつもりだ。


「えいっ」


 スターサファイアは可愛い声を出しながらした行為はバントだ。

 大妖精みたいに着実に塁を進める作戦なのだろうか。

 だがそのバントは上手くいかずファウルゾーンを越えてしまいファウルボールであった。


 これに霊夢は苦い顔であった。

 先ほどバントで上手く出し抜かれたからである。


 そして2球目。

 今度は多少しかできないがカーブ、ストレートだとバントで打たれるから変化球できたのだ。


 しかし霊夢は見た。

 スターサファイアが笑っていたことを。


 霊夢はそれで気づく。

 スターサファイアの能力は……


(不味い!)


 そう思うが投げてしまった今、後の祭りである。

 投げた球はスターサファイアがバットをまるでどこに来るかわかっていた(・・・・・・)かの如くそこをめがけ大きく振りかぶり見事打たれこの試合初のホームランを出されてしまったのであった。




「おっと、これは凄い。スターサファイア選手、今試合初のホームランです! しかしなぜホームランを打てたんでしょうか」


「たぶんスターサファイア選手は能力を使ったのではないでしょうか」


「というと?」


「1球目をバントにしたのは2球目を変化球にするためだと思います。霊夢選手の1球目はほとんどストレートで球スピードは早いため、力が弱い妖精にとってうちにくいものですから」


「でも2球目の変化球なんてどこに来るかわからないのでもっとうちにくいでしょうに」


「だからこそのスターサファイア選手ののではないですよ。彼女の能力は『動くものの気配を探る程度の 能力』、つまりレーダーの役割です。これでどこに来るか見分けたのでしょう」


 なるほどと、うなずくと目を再び霊夢たちを見た。




 スターサファイアの活躍により同点に持ち込んだが、次のルナチャイルドが三振をしてしまう。

 これにて1回は全て終わり2回に進むのだった。

どうも皆さんお久しぶりです

今回はリレー小説ということで東方野球録の第一走者をやらせてもらいました

上手く書けていたら幸いです

次は八雲糖類さんです

次も是非見てくださいね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ