夜のお茶会~Night party~<作者:不知火>
「咲夜!今夜はパーティをするわよ!」
そんな一言で始まった紅魔館の一日
「はぁ?いきなり何ですか、アホですか?」
とてつもなく呆れた声で主を窘める咲夜
まさかの一言に怒るレミリア
「ア……アホって言ったわね! 主になんて口を聞くのよ!」
「あ、いえ、いきなり言われたものですから、口が滑りました」
深々と頭を下げ「すみません」と言った
溜め息を吐いて椅子の肘かけ腕を置いて頬杖をする
「咲夜、今から渡すメモに書いているものを準備しなさい、足りないものは買って来なさい、中国を走らせて構わないわ」
「畏まりました、お嬢様」
彼女はその言葉と同時に姿を消した
この話は紅魔館のある一日を描いたものである
―――――――夜のお茶会―――――――
レミリアの命令があったのち、咲夜は厨房に来ていた
彼女が咲夜に渡したメモにはこう書いている
ケーキ 一ホール
ティーカップ 七つ
茶葉 大量
――大まかすぎる気がするわ、特に最後の茶葉が
「仕方のない主だ」と内心で呟いて、ケーキの材料を探した
「あれと、これと、あとはこれも足りないわね」
足りない材料を即座に紙に書いて、中国――もとい美鈴に渡し走らせた
――後は帰ってくるのを待つだけかしらね
数十分後、美鈴は肩で息をしながら帰ってきた
「頼まれたものを買ってきましたよ……はぁ……疲れた……」
「ありがと、引き続き門番を頼んだわ」
「やっぱり休みはないんで――」
言い切る前に美鈴の頭にナイフが刺さる
「ぎゃぁぁぁ!」
「さっさと行きなさい」
「はい~!」
頭にナイフが刺さったまま門の方へ向かった
◇◆◇◆
その頃、アホと言われた主・レミリアはと言うと
フランと一緒に居た
「えぇ~、だって館内なら出歩いて良いって言ったのお姉さまだよ」
「頼むわ、今日の夜までは図書館と自分の部屋の中だけにして」
ものすごい嫌そうだが渋々と言った感じで首を縦に振った
フランはそのままパタパタと図書館の方へ歩いて行く
「む~、お姉さまの考えてる事が分らないわ」
むすっと頬を膨らませてぶつくさ呟くフラン
そんな彼女の前に一人の少女が現れる
「あんまり深く考えるだけ無駄よ、レミィの考えてることなんて大した事じゃないだろうから」
「そんなこと言ったって気になるよ~、パチュリーはどう思うの?」
「う~ん」と小さく唸りながら顎に手を当て考えた面持ちをするパチュリー、だがすぐに表情を戻した
「さぁ?悪いことではないと思うわ」
「ええ~それだけぇ~?面白くないなぁ~」
フランはそう言いながらパチュリーの後ろを追いかけて行った
◇◆◇◆
それから時間が経ち、日が落ちて外は月明かりに照らされた夜の世界となる
紅魔館のバルコニーには大きめのテーブルが置いてあり、それを囲むように椅子が置いてある
「準備は出来たかしら?」
「はい、ですがいきなりパーティなんてどうしたんですか?」
「そうね」と言って勿体ぶるように言った
「まぁ、気分よ、気分」
「はぁ……やっぱりアホですね……」
咲夜に完全に呆れられた
「あぁ~!またアホって言ったわね!……まぁいいわ、みんなを呼んで来て頂戴」
「畏まりました」
そう言って咲夜は姿消した
数分後にはみんな集まってきた
「お嬢様が呼んでいると聞いて」
「全く、静かに本も読めないわ」
「たまには館内を歩くのもいいじゃないですかパチュリー様」
「何々?何するの?弾幕ごっこ?」
「みんなをお呼びしました」
上から美鈴、パチュリー、小悪魔、フラン、咲夜である
レミリアは指示するように視線を動かす
咲夜以外の面々は適当に椅子に座った
「それで、何するつもりなの、レミィ?」
「ちょっとした『お茶会』よ、たまには良いかなと思ってね」
「そんなことで私は一日の半分を暇したの!?」
「できれば、この時間まで隠したかったのよ」
フランを落ち着かせるように彼女の肩に手を置くレミリア
「むぅ、仕方ない」
非常に嫌そうだが、口を閉じた
「フラン、ありがと、さぁ咲夜、準備を進めなさい」
レミリアの後ろで待機していた咲夜が一礼した後に、一瞬のうちにテーブルに切り分けられたケーキとティーカップを並べた
一瞬と言っても彼女が時間を止めて準備したために、そういう風に見えるだけだが
先程まで不機嫌な表情だったフランの顔が思いっきり輝いている
「それで、何でいきなりこんなことしようと思ったのよ?」
そう横からパチュリーの突っ込みが入ってきた
その問いに顔を真っ赤にしてレミリアは答えた
「日頃、お世話になってるお礼よ……」
一同で「はっ?」と少しのずれもなくそう言った
「だーかーらー!感謝の気持ちを込めての企画よ!いつも寝てるけど毎日、文句を言わずに外で立ってる美鈴、身の回りのお世話をしてくれる咲夜、いつも仲良くしてくれるパチュリー、フランはいつも暇そうにしてるからちょっとでも楽しめたら……って……」
羞恥でどんどん声が小さくなってくる、最後はもうほとんど何を言ってるのか聞こえないくらいになった
レミリアの言葉を聞いて、みんな大笑いする
予想外の反応にキョトンとしてしまう
「な、何がおかしいのよっ!」
「だって、レミィにそんなこと言われるとは……くくっ……ゲハッ!」
「あぁ~パチュリー様!喘息なのにそんな大笑いするから……」
吐血したパチュリーの背中をさする小悪魔
皆に笑われてるが不思議と嫌な気分ではないレミリア、ふっと息を吐いて口を開いた
「今日は紅魔館≪ここ≫だけのお祭りよ、楽しみましょう」
みんなの笑い声はすぐに他愛のない会話をする、いつもの何気ないものになって行った
不知火と申します、普段は『幻想昔神紀』を書いてるへっぽこ作者でございます。
私の作品はオリ主が幻想郷で起きる異変に介入する話みたいになってます(成り行きでそうなった)オリ主最強ものです。
もし検索で見つけたりしたら見てやってくださいm(_ _)m