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準備

あの試験から一ヶ月が経った。この一ヶ月の間、いろいろとやってきた。1つ目は信用できる仲間を増やすこと。特に前の試験で同じ組だったやつらだ。あれからあいつらに積極的に話しかけるようにした。最初は仲良くなるなんて無理だと思っていたが意外と早く仲良くなれて、今となっては信用できる仲間とまではいかないが友達くらいにはなれたと思っている。

でも、このままじゃダメだとも思っている。なぜかというと、あいつらの中に異質な魔力を持っている人がいるからだ。その人物だけは信用できる仲間にしたい。そのひとの名はシレアなんとかさん。

積極的に話しかけるようにはしてるんだけど、いまいち距離が縮まらない。もっと有効な手を打てないものか。まあ仲間作りはこんなところだ。

2つ目、裏切り者の調査。これは全然進んでいない。でも別のことならわかった。もしかしたら裏切り者にも関係していることだ。

学校や本屋にある色々な歴史的文書を読んでいたところ、様々な事件や事故についてどうにも腑に落ちない点が多かったので自分なりに調査をしてみた。地魔術の応用で変装をし、貴族の書庫などに潜入して調査を行ったところ、学校や本屋にある本の腑に落ちない点の真実がわかった。それは何か、表舞台に出回っている本には事件の裏にある組織があることをうまく避けて書かれていたということだ。その組織の名は漆黒の牙。その目的は七人の神であるうちの一人である魔神を呼び出すことだ。呼び出してどうするのかは不明だが。

魔神は1000年ほど前に人界に現れ、無差別に人を殺した存在だという。俺はこの行為には絶対に目的があると思っている。文には無差別に人を殺したと書いてあるが、表舞台を嫌がりそうな神という存在がわざわざ表舞台に出てきたんだ。何か目的があるに違いない。

当然、この世界の人間もバカじゃない。魔神に何らかの目的があったことくらいは大体わかっている。だが魔神に目的があったことを大体わかっているのに1000年もの間この真相が明かされていないのにはやはり違和感がある。まあでも本当に魔神にしかわからないことかもしれない。その可能性もなくはないが、俺が睨んでいるのは二つ目の可能性、漆黒の牙の妨害だ。漆黒の牙の目的は魔神を呼び出すことだ。もし魔神が隠している秘密が魔神を呼び出すことと何か関係があることならば、漆黒の牙が妨害するのにも納得がいく。

これから一週間後に漆黒の牙が目をつけるであろう祭りが開催される。その名は魔封祭。新たにできた祭りだ。この祭りは年に一度、魔力を完全に封じて剣術だけの勝負をしようという剣術が魔術より下とされているこの世界で唯一、剣術が上になる祭りだ。勿論魔術師も希望したものだけだが参加できる。不正をなくすため、参加するものと観客は皆、魔力は全て魔吸石という魔道具によって吸われる仕組みだ。もちろん祭りが終わったら返してもらえるが。

ここで俺が目をつけたのは魔吸石だ。この石の中に観客と参加者全員の魔力が吸収されることになるため、これを悪用して魔神を呼び出そうという輩が出てくると思っている。

だから俺は魔術学校の魔法陣訓練場で犯人を待ってみることにした。なぜ魔術学校に来るとわかるかというと、神と言われるほどの膨大な力を持っているものを呼び出すには膨大な魔力と膨大な大きさの魔法陣が必要なはずだからだ。

魔法陣は四隅に陣石という石をはめないと作動しない。漆黒の牙全体で動かれたら流石にお手上げだが、そうならないようにナイリス王国という北方の方にある小国付近に魔神らしきものが現れたというフェイクニュースを流しておいた。国民はフェイクだと思っていないのでリアルさが出て、漆黒の牙はそっちに多くの人員を導入するだろう。なぜ国民はフェイクだと思っていないのかというと俺が魔神(想像)に変装して山を一つ焼き払ったからである。あれは大変だった。

ともかく、ナイリス王国に出たという魔神の調査に資金を費やしたい漆黒の牙は魔封祭からは手を引くだろう。何せこれからこの祭りは年に一回行われる上に、本当に呼び出せるのかどうかもわからないからな。

だが、漆黒の牙全員が魔封祭から手を引こうと考えているわけがない。魔封祭で行動を起こそうと考えているものも少なからずいるはずだ。でももし仮に魔力を回収できたとしても、魔法陣を作るスペースと金がないだろう。そうなると魔法陣が費用なしで使用できるところが必要だ。それができる場所は魔術学校くらいだ。魔術学校には裏切り者(漆黒の牙かはわからない)もいるしな。

要するに、もし魔封祭で行動を起こすならほぼ必ずと言っていいほど学校に来るということだ。

そしてもし学校に漆黒の牙が来た場合、それは例の裏切り者が漆黒の牙の組織員である可能性か、もう一人学園側に裏切り者が潜んでいる可能性だけだ。成功した場合かなり美味しい。魔封祭ではこの計画で行こう。

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