転生
俺、大西海斗は一般人だ。
5時に起きて、6時に家を出る。9時から仕事をし、18時に退勤。帰りにいつものコンビニでご飯を買って食べる。そして1時ごろまでゲームをして就寝、という生活を送っている。
風呂キャン界隈の人間なので風呂は週一しか入らないことを除けばごく普通の生活を送っていると言えるだろう。
消極的なのだが、何故か友達は比較的多く、自分では「俺、輝いて見えたりするのかな〜」と勝手に考えて浮かれている。
とにかく、友達は比較的多いため、月に一回ほど大学時代の仲間たちと集まる機会があったりする。
今日はその日だ。
集合場所はラウ○ドワン。10時頃と書かれていた。
途中で高宮くるみという同級生と偶然合流し、一緒に行くことになった。
高宮くるみは当時、その大学のマドンナと呼ばれていた。とにかく可愛く、誰にでも一貫した態度を取り、裏表の一切ない(と思いたい)完璧超人だ。
「おはよう大西くん!」
「おはよう」
「相変わらず元気なさそうだねぇ。今日はなんでラウ○ドワンなんだろう?やっぱボウリングかな?」
「そりゃあそうだろ」
「でもわからんぞ少年。ラウ○ドワンはボウリング以外の施設もあるんだよ」
ドヤられた。そんなの知ってますよ。
「あれ?私の財布がない。どこかに落としちゃったかな?」
スられたんじゃないのか?忘れてきた可能性もあるし、そもそも変なキーホルダーついてたから落としたら音なるからわかるでしょ、うん。と思っていたら
「あ!あった!」
いや、普通に落ちてるんかい。言わなくてよかった〜恥かくところだった。
「私とってくる!」
プーッ
クラクションの音で俺が振り向くと、信号無視をしたトラックがこちらへ向かってきているのが見えた。
「危ない!」
咄嗟に体が動いた。何してんだろ。俺。女の子を突き飛ばしてトラックに跳ねられる、王道のアニメ展開だな。
かっこいいじゃねえか、俺。
ガーンッ
こうして大西海斗の人生は幕を閉じた。
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「オギャー」
「生まれましたよ!男の子です!」
「名前はいかがなさいますか?」
「名前はワード、ワード・ルドルディア」
こうして俺の第二の人生が始まったのであった。