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あなたの部屋に私のパンツ干してもいいですか?  作者: さかき原枝都は
はじめましての彼女は可愛いと思った。

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第92話 リセット ACT3

やれるだけの事はやった。

あとは結果を待つのみ……。


今回初の試みとして行われた社内コンテスト。


各部門の業務特色を最大限に生かせるコンテスト内容だった。

私のいるシステム部は既存のシステムの応用から、新たなシステム開発のコアとなるベースシステムの開発に至るまで、自由度の高い内容だった。おかげで私は自分で今後コアベースとして生かせるシステムコアの開発に挑んだ。


結果発表はもうまじかだ。何となく落ち着かない時間を過ごしている。


ちらっと先輩の方に視線を向けてみる。


先輩の元彼女が亡くなったことは知っている。

あれから、先輩は人が変わったかのように以前より業務に勤しむようになった。

と、言いたいところだが、特別変わったところはない。

悲しみからくるクレイジーワーキングは来なかった。


部長からも少し様子を見てちょうだいと、それとなく言われていたけど、何も変化がない先輩を見て、なんか残念な気分になる。

でも相変わらず、難題に当たると眉間に深い皺をよせながら「う―ウー」とうなり声を上げながらディスプレイを見ながら格闘している姿はいつもと同じだ。


昼食タイムまじかに、先輩のディスク前で足を止め


「先輩、今日もお昼は、繭ちゃんお手製のお弁当ですか?」

「あん? 今日は弁当じゃねぇけど」


「あれぇ! 珍しい。さては喧嘩でもしましたか? 繭ちゃんと」


「いやぁ、してねぇよ。たまたまだよ。彼奴も今日は有菜ちゃんと学食で食べるって言ってたから弁当作らなっただけだ」

「ふぅ―ン、そうなんだ。あ、そうだよかったら私と一緒にどうですか? たまには」


ちらっと長野さんのディスクの方に視線を送ったけど、すでに長野さんの姿はなかった。


実は長野さん、来年の春に総務課の町村友理奈(まちむらゆりな)さんと結婚することになったのだ。

この話題は社内を騒然とさせた。


最もこれはあの事件が引き金になっているのは、当事者しか分からない極秘事項だ。

先輩が人事部の中井真理子(なかいまりこ)さんを泣かせたと言う噂が広まったことだ。実際は長野さんが中井さんとの別れ話をこじらせてしまい、先輩にその中に入ってもらったという経緯らしい。


そのことが引き金となり、長野さんと町村さんは、ずっと人目を避けるような交際を続けていたが、その後二人は交際を社内に公表した。


まぁ、正確には中井さんが仕返しかどうかは分からいが、噂をそれとなく流したらしい。こうなればもうどうしようもない状態になってしまった長野さんは、逆に交際を表ざたにして、二人が付き合っていることをアピールしたのだ。そして、来春には結婚の約束をしていることも上司である部長に報告をしていた。


ただ付き合っているだけの公表であれば、多分他の男性社員からの嫌がらせが長野さんに集中砲火されていただろう。

だが、もう結婚の約束いわば婚約をしているという事を、表ざたにしたおかげで、数多くの男性社員が毎晩業務終了後、居酒屋で酔いつぶれていたという事だけで済んでいた。


「長野は、町村さんとか。ああ、いいよ社食でいいか?」


「え、社食ですかぁ? 今日は私バーガーステーキが食べたいです」

「おい、バーガーステーキってこの前オープンしたての所じゃねぇか。すげぇこんでんじゃねぇのか」


「だから今から行くんです」


「おい俺はまだやんなきゃいけねことが残ってるんだ。今すぐはいけねぇぞ」

「今やっても後でやっても大差はないんでしょ。どうせまた眉間に皺寄せて唸っているだけなんですから」


「うっ……」

ほうら返す言葉がないでしょ。


「さ、行きましょ先輩」

「仕方ねぇな」

ちらっと部長の方を見て「昼行ってきます」といい、パソコンをスリーブモードに落とした。


「今の時間行っても行列出来てんじゃねぇのか」

「それならその行列に並びますよ」

「待ち時間で食う時間なんかあるのかよ」


「さぁ、どうでしょうかね。でもこういう時って私意外と運がいいんですよ」

「はぁ、運ねぇ」と先輩は言いながら、お目当てのお店に行くとなんと行列はまだで来ていなかった。


「ほぉらね、言ったでしょ。すんなりと、しかも席も選び放題。私の運に感謝してください。せ・ん・ぱ・い」


「さぁて何にしようかなぁ」楽しそうにメニューを見つめる水瀬。

「あ、私サーロインの250gバーガーにします。それとサラダバーとドリンクバーセットで。先輩はどうします?」


にっこりとしながら、がっつりと250gステーキをサンドしたバーガーを注文するとは。俺はついていけねぇ。


「俺はこのヒレステーキ80gバーガーとサラダバーとドリンクバーセットで」

「あれぁ、先輩意外とあっさり系で行きますねぇ。もっとがっつり行くかと思っていましたよ」


「無理言うなよ、今からそんだけ食ったら、満腹すぎて眠気に襲われそうだ」

「じゃ、寝てたらいいじゃないですか。それでも仕事は難なく進むんですから」

「馬鹿か、そう言う訳には行かねぇだろ」


そんなことを話ながら、水瀬は「あ、ここにしませんか?」とガラス張りの外の景色が見えるカウンター席に座った。


「ここ、外から丸見えじゃねぇのか」

「大丈夫ですよ。外からは中が見えない様になっているガラスらしいですから」と横の壁に貼られている座席案内版を指さした。


「ふぅーんそうなんだ。でもなんだか落ち着かねぇな」

「何言ってるんですか、繭ちゃんとこう言うところにも、たまには一緒に行ってみたらどうですか? ほとんど二人だと外食なんてしないんでしょうから」


「まぁ確かにな。それに俺はあんまりこう言う店には詳しくねぇからな」

「だから連れて来たんですよ」

呆れたように水瀬は言う。まぁ確かに俺一人じゃ入りずれぇもんな。


「ところで先輩。コンテストの結果そろそろですけど、何か聞いていませんか?」


「はぁ、コンテストって、あの社内コンテストの事か?」


「そうですよ。ほかに何があるんですか」

「ははぁんなるほど、今日俺を外に誘ったのはその情報を探るためだったか」

「そ、そんなことありません……けど」


「残念でした。俺みてぇな中途半端な役職は、今回は審査側には参加できねぇんだ。だから何にも情報なんか入ってこねぇよ」

「ええ、なぁんだそうなんですか」がっくりと肩を落とす水瀬。よっぽど結果を気にしているようだ。


「そんなに気にして、かなり自信がありそうだな」


「そ、そんなことないですよ。ただエントリーしたから、その結果が気になるだけです」

「それで、水瀬はどんなツールを作成したんだ」

「ツールと言うか……システムコアです」


「おいおい、お前がシステムコアを作っただと! まさかなぁ。汎用性のある物なのか?」

「も、もちろんです。案件用途に合わせカスタマイズ可能な領域を多くとっていますから汎用性は高いと思いますけど……」

「マジかぁ、俺には出来ねぇなそんな高等なことは」


「そんなことないですよ。先輩ほどの能力があれば私の作ったものより数倍実用的なコアを作り上げることが出るんじゃないですか」

「ああ、無理無理。俺は今あるベースでたたき上げて来た人間だから、システムが変われば、それだけでもうパニックだ。まだお前の方が柔軟に対応できるんじゃねぇのか」


「それって私はもう先輩を超えたという事ですか?」


「ああ、技術的にはな。もう俺の領域を超えているよ水瀬は」


言わせてしまった。先輩に……。

私の目標の人。そしてあこがれの先輩に、私はあなたを超えてしまったと。


水瀬愛理。それでもあなたは、先輩を……いいえ。


山田浩太と言う人を愛せるんですか?


私の求めていた愛とはいったい……。何だったんだろう。

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