第十一話 楽しいことは人それぞれ
短いです、魔物と戦わせたくて、間を接ぐために書きました。今回は詰まんないです。
レグルスが、『次遇ったときこそは、多分本当に倒してやる』と言って、木々の間に消えていってから、春牧は、大体十分置きくらいに、孫の手を地面に立てて、倒れた方向に進む、と言うのを繰り返して、森の奥を目指していた。
「ほぉぉ〜、はぁぁ〜、向こうに倒れ、あ」
春牧が、まるで、気でも送ろうとするかのように、地面に立てた孫の手に向けて、怪しく手を動かすが、健闘むなしく、孫の手は、春牧の方に倒れてきた。春牧は、それを拾い上げ、片手で頭を掻く、
「ん〜、またこっちか、しょうがない、また戻るか」
「戻らなくていいわよ!!もう、さっきから、五回くらい行ったり来たりしてるだけじゃないの!?」
あまりにも適当すぎる春牧に、サイフェリアが蹴りを入れる、
「しかしだな、これが倒れたほうに歩く、というルールだぞ」
春牧は、孫の手をゆっくり振りながら言った、
「アンタが勝手に言ってるだけでしょうが!?もういいから、さっさと進みなさいよ!」
春牧の肩の上で、顔の皮を引っ張ってつねりながら、本当にキレ気味の声で、サイフェリアが喚き立てる。どうやら、蹴り以上に有効な攻撃手段を得たようだ、爪が食い込んで痛い。
「しょうがない、そんなに言うんだったら、次は君がやるといい」
サイフェリアが求めているものとは全然違うのだが、春牧は孫の手を、肩のサイフェリアに押し付ける。
「え?ちょっ、ちょっと、重っ!」
サイフェリアが反射的に手を伸ばすが、なにぶん身体が小さいので、孫の手は重すぎて、支えることも出来なかった。
「ん、右斜め前か」
春牧が、落ちた孫の手を見てつぶやく。
「じゃあ、次はあっちだな」
孫の手を拾い上げて、ぽんぽん、と肩を叩く春牧に、サイフェリアは、既に何を言う気力もなくしていた、というか開き直って、まぁ、もうとりあえず、あっちでいいか、となっていた。
魔物も何も出ず、よほど暇だったのか、それから一時間もすると、春牧はなぜか腹這いになり、『暇だなぁ〜』とか言いながら、茂みをかき分け匍匐前進で進んでいった。
「アンタこの状況で魔物にでも襲われたらどうするのよ?」
春牧の頭の上で、偉そうに足を組んで座っているサイフェリアが、春牧の頭を、コツコツ、と踵で叩きながら言った。
「頭上の警戒は任せた。安心しろ、いざ戦闘になったら、僕の力でグチャグチャにしてやる」
「いや、グチャグチャって・・・・・・孫の手じゃ無理だと思うけど」
春牧の頭の中はどうなっているのかと、サイフェリアが呆れながら、聞いていないことを承知で、つぶやく。
春牧は、しばらくしてようやく、匍匐前進では進みづらい、と判断したのか、何の前触れも無く立ち上がった。
「ちょっと!?危ないじゃない!」
春牧の頭に乗っていたサイフェリアは、春牧がいきなり立ち上がったためバランスを崩して、落ちそうになり、春牧の髪を掴んで勢いを殺し、そのまま定位置である左肩にスルスルと降りてきた。
「ん?なんだ、もう出口が見えてるじゃないか」
「えっ?ホントッ!?」
よほど森から出たかったのか、サイフェリアが顔を輝かせて、前方を見る。春牧達から、五十メートルほど離れた辺りから、木がなくなり、光が差し込んでいる。
「やったー、これで森とはオサラバね!森ん中で野宿とかしなくてすんだわ!」
サイフェリアが嬉しそうに身をくねらせているのに対して、
「なんだ、詰まらん。魔物も何も出てこないじゃないか。出会ったものといえば、変なバカだけだったし、・・・・・・暇つぶしにあれを倒して居ればよかったかな」
森に入っても、レグルス以外に何も出会わなかったからだろうか、春牧はどうやらご機嫌斜めのようだ。出会っていたら出会っていたで、機嫌が悪くなるどころか、既に肉の塊に成り下がっていたかもしれないが。
「はぁ〜、まぁ出口を見つけたものはしょうがない、とりあえず、出るとするか」
「しょうがないって何よ、そもそも、アンタの頭がまともに働いてたら、こんなことになってなかったのよ」
「はいはい」
ここまで来てしまったのなら、もう出ないと始まらない、と春牧がサイフェリアに髪を引っ張られながら歩き出す。
森を抜け、道から大きく外れたため、時間が掛かってしまったが、どうにか何事も無く町らしき場所に付くことが出来た。町は、前回訪れたものより、いくらか規模が小さい。
辺りは既に夕焼け色だ。
「まずどうする、やっぱり金か?」
春牧の問いに、既に鞄の中に納まったサイフェリアが、くぐもった声で返事をする。
「私は疲れたから、とりあえず泊まるところを探しなさいよ」
「妖精は人の肩で寛いでるだけで疲れるのか。フッ、弱いな」
「揺れが酷くて、座ってるだけでも疲れるの!アンタのせいよ」
「そうか、泊まるところか」
サイフェリアの声を無視して、春牧がつぶやく。サイフェリアは不満そうに鞄の中でもぞもぞと動くが、わざわざこれ以上話を脱線させないために何も言わない。
「とりあえず、勘で探すか」
「ちょっと待って、私が看板を見て探すから、鞄を傾けといて」
再び勘に頼ろうとする春牧を、前回求人仲介所を探したときに学習したサイフェリアが引き止める。
「ん、まぁいいが、出来るだけ安そうな所でな」
そう言いながら、鞄を傾ける春牧に、生返事を返しながら、鞄の中から宿屋らしき建物を探す。
宿屋は、町の入口の近くに建っており、意外とすぐに見つかった。見たところ、大して綺麗でもないが、そこまで汚れてもいない、という、丁度いい感じの宿屋だった。
その宿屋の前で、春牧は腕を組んで仁王立ちになり、偉そうに頷いた。
「そて、とりあえずチェックインだな」
宿屋の戸を開けて、今日の寝床を確保するべく、異世界で初めての宿屋に春牧は足を踏み入れた。しかし、五分も経たずに宿屋から出てきた。
そこの宿屋は、朝食付きで一人15イクス、二人で泊まろうとすれば、30イクスかかるらしい。現在の所持金では5イクス足りない。
宿屋から出た二人は、しばらく入口に背を向け立ち尽くしていた。
「誤算だったわ、こんなことならあの武器屋のところにもう一泊して、金を稼ぐべきだったわ」
サイフェリアが悔しそうに鞄の中でもぞもぞと動く、
「仕方ない、今から仕事をするか。求人仲介所とやらを探そう、この町にもあるんだろう?」
特に気落ちした様子も無く、寧ろどこと無く嬉しそうに春牧が、サイフェリアに問いかける、
「そりゃあ、あると思うけど、こんな時間から仕事なんて出来ないわよ?」
鞄の中で呆れているらしいサイフェリアに、春牧は楽しそうな声音を隠そうともせずに言った、
「あるじゃないか、今からでも出来るのが。・・・・・・例えば、そう魔物の討伐とかやってみたくないか!?」
「やってみたくないわ」
春牧の後半のセリフは元から用意してあったものらしく、芝居がかっていた。
次回、二回目?の戦闘です。春牧は基本孫の手を振り回しながら避けてるだけです。キノコのようにはいきません。
我ながら、ちょっと色々はしょりすぎじゃないかと思います。でも苦手なんです、細かく書くの。しかし、これから、直していかないといけませんね。なので、そう言うことに関するアドバイスとか助言とかあればお願いします。丁寧に書くのって難しいですね。
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