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CASE NO.0 【RPG・チュートリアルクエスト 初心者さんでも簡単に作れる! RPGゲーム!】1

何とかいけました。

うっわ~、やる気でね~。これならひげ親父が死んでない可能性が出てきたのはラッキーだったけどやる気でね~。


 何故なら【分類:遊戯型】からはまともな資源が取れないから。食い物の現地調達すらできない。ていうか下手すれば【干渉:生理現象・完全無効化】によって空腹にならないことすらありうる。というかだからこそひげ親父が生きている希望が出てきてはいるんだが……。


 俺はこの手の【領域】がキライだ。食うために生きて仕事をしている俺にとってはマジで死活問題。ここの土は土じゃなく、ここの水は水じゃない。全部そう見せかけられているだけの情報のかたまりである。


 あと何度も言うがめんどくさい。ある程度【領域】のルールに従わないと何もできないこの手の領域は、本当にめんどくさいのだ。


 そう思いながらも落ち込んでてもらちが明かないので、とりあえず凸凹でできた街に入っていく。


 【イセリアン式魔術:下位身体能力向上】


 【イセリアン式魔術:下位気配察知能力向上】


 とりあえず街の入り口をくぐると音楽が流れだし、カチッという音が聞こえたと思ったら凸凹でできた人間もどきが俺に話しかけてきた。


「ようこそ、いらっしゃいました。はじまりの街へ! さぁ勇者様、早くお城へ。王様がお待ちです」


 ……へ~。もう一度、今度はこっちから話しかける。


「えっとさ、こんにちわ。えっとさ、俺の胸元くらいまでの身長のひげのおっさん見なかったかな?」


「ようこそ、いらっしゃいました。はじまりの街へ! さぁ勇者様、早くお城へ。王様がお待ちです」


 あぁ、そういうこと。決まったことしか言えないのね。あと顔が怖いよ、人間の顔まで凸凹してるし、目がね……何にも見てないからすんごい不気味。なまじ普通の諸人類種の姿してるから余計気持ち悪いな、おい。


 気持ち悪いけれど仕方ないので促されるまま、街の中へ。まず城には行かずさっきとは違う人間もどきに話しかける。一応確認。


「あのさ、聞きたいことがあるんだけど」


「あぁ、勇者様。ようこそいらっしゃいました。さぁ王様がお待ちです。お城にどうぞ」


 あぁ、やっぱりこのパターンか。そして目の前の恰幅のいい男の姿をしたこいつもさっきの入り口の奴と同じだ。人間の姿をした何か。


 その後念のため城に入る前に行動可能な場所に関しては一通り確認してみたが、やっぱりひげ親父の影はなかった。どうやらどうしても王様とやらに会わなくちゃならないらしい。


 やたら整っているのに表面が凸凹した橋を渡って城に入る。この城を解体出来たらどれだけの建材が賄えるかと思わず考えてしまうんだが、それができないのが悔しくてならない。


 そうこうしているうちに王様とやらの前に到着する。またカチッという音が聞こえて王様とやらが話しはじめたので一応御託を聞いてみることにした。


「やぁ、よくぞ来た勇者よ、さぁ今からあの山の向こうにいる魔王を倒しに行くのだ」


 ほぉ、初対面の奴にいきなり魔王とやらを倒して来いとな? 意味が分かんねぇな、こいつ。一応今度は俺から話しかける。


 カチッ。


「なぁ、王様のおっさん。一ケ月ほど前に背の低いひげのおっさんが」


 とまで言ったところで、


「何をしている勇者よ。早く山の向こうにいる魔王を倒しに行くのだ」


 とほざきやがったので、確認がてらホルスターから引き抜いた【装備:M&AR 対巨獣徹甲拳銃】の引き金を引いて全六発発射。波の生物なら一発で胴体に風穴があく凶悪な鉛玉を轟音とともにぶちかます。


 さらに、


「術者、ユーディが告げる! 一番から六番! 【爆裂しろ!】」


 弾丸に刻印されていた【エ・ディオスラ刻印魔術:爆裂】を六発立て続けに起動。目の前で全てをなぎ倒すような爆発と爆風が吹き荒れ俺の体をたたいた。


 しばし爆風がはれるのを待ってみる。


 だが数秒後、そこには何事もなかったかのように相も変わらず同じことをだけくちばしっている王様という人間もどきの姿があった。


「何をし……ガガ……ている勇者よ。早……く山の向こうにいる魔王……ガ……を倒しに、……行くのだ」


 一つ違ったのが先ほどと同じ言葉でもノイズ交じりだったこと。


 ふうん。まったく意味がないわけでもない、か。これで最低脱出のめどはついたかな? 


♦♦♦♦♦♦♦♦


 【干渉】について


 【干渉】とは、【領域】に侵入した異物である諸人類種に対して【領域】そのものが課してくる制限のことである。


 基本的にその【領域】自体の持つ特性と違う出自の【技術:魔法・魔術】といったものに対して何らかの【干渉】を行うことが多い。


 また大多数の【領域】が、この【干渉】を侵入者に強いてくるが中にはこれを行わない【領域】も存在する。


 しかし我らの先祖の尊い努力と犠牲によって蓄積された経験は、そういった【干渉】を行わない【領域】にこそより大きな危険があることを教えてくれている。


 【組織:ラディウエス諸人類種合同会議】発行【文書:領域に関する基礎知識】より抜粋。


♦♦♦♦♦♦♦♦


 とりあえずひげ親父を見つけないと何も始まらない。街を後にした俺は足取りを追うため山の向こうを目指して歩き出した。とたんに街の中とは違う音楽が流れだす。代わりに普通の【領域】であればどこでも聞こえる風の音、水の音、生き物が動く音、そんな世界そのものが生きている音が何も聞こえない。


 この【分類:遊戯型】というのはどこまでも異質だ。塗りつぶした青い空に、浮かぶ凸凹の雲。遠めには自然の緑のように見えるその全てが人工的で作り物だった。


 いったい何を考えてこの【領域】の元となった世界を、捨てた神は創ったのだろう。いったい何の目的で、こんな何も生きていない世界を創ったのだろうと歩きながら考えてしまう。そうして歩いているうちに、急を告げる音が流れ出し何かがあらわれる気配がしたので、その気配に向かって右肩にぶら下げていた【装備:MKA-44・アサルトライフル】を構える。


 現れたのは、醜悪な顔つきの緑色の小人が二体。見た目は【種族:ディビグラ人】に似ているが彼らはもっとつるっとした顔だし、ここまで顔が醜くない。そしてぼろ布でできた腰みのだけでこんな【領域】にうろつくわけもない。


 ――ゴブリン が に たい あらわれた! 


 また頭に妙な言葉が流れたのをきっかけに俺は【装備:MKA-44・アサルトライフル】を斉射。厚さ2アイメルの鉄板すら楽々と貫通するその弾丸は容赦なく【存在:ゴブリン?】とやらに襲い掛かり、期待通りの結果とそうでない結果をもたらした。


 ――〇〇〇〇はどうする?


 ――ガ、ガガ、エラーが発生…………


 ――ゴブリン たちを たおした!


 城の中で王様という名の人間もどきに挨拶してやった時と同じように世界にノイズが走ったが、その後また何もなかったかのように音楽が流れ出す。


 いったい何なんだろうか? このチグハグ感。ここは本当に【分類:遊戯型】か? 俺の知りうる限り【分類:遊戯型】の最たる特徴は二つ。


 一つはほとんど強制に等しい【干渉】の異常な強力さ。以前修行中に放り込まれた【分類:遊戯型】に属する【領域:コンピューターゲーム】の場合、『だんじょん』なるところに侵入して、宝をとって脱出するといった設定? のげーむ? だったらしいが、これが厄介で自分が一歩動くと相手も一歩動くというおかしなルールを強制された。


この厄介なルールにもお師匠が『ローグライクRPGとか懐かしいな、おい』といいながら悠々とルールに適応して進んで、さらに俺を置き去りにさっさと外に出て行ったことは今も忘れられない俺の修業時代の思い出である。阿呆のお師匠め、いつかあの時の恨みをはらしてやる、覚えてろ。


 そしてもう一つがその【領域】自身がそのルールに縛られるということ。だから普通の【領域】と違い、【領域】に侵入者がいるのを気づいているにもかかわらず【悪意】をぶつけてくることがない。正しくは【悪意】をぶつけてくるのだが、そのぶつけ方もルールから逸脱することができないのだ。


 それに比べると、この【領域:名称未設定】はおかしい。強制力が弱すぎる。俺が好き勝手でき過ぎているのだ。おそらく本来あの王様とやらには攻撃できないし、さっきの【存在:ゴブリン?】への攻撃の後、頭に声が響いたのもおかしい。順番が違う。おそらくあの声が響く→俺が攻撃するっていうのが正しい順番のはず。


 だから本来なら俺は全部無視してあんな風に自由に攻撃できなかったはずだ。


 そんなことを考えながら、【存在:ゴブリン?】が落とした【物質?:金貨】を二枚拾い上げる。妙にキンキラキンで金にしては軽すぎる。


 一応【アネイオン科学魔法:物質判定】を発動するも、【鑑定不可】との結果が。案の定物質ですらない金貨のような何かというわけである。一応、背中のリュックに放り込み再び歩きはじめた。


 しばらくしてまたさっき【存在:ゴブリン?】が現れるが、その都度さっさと片付けて歩く。歩く。もちろんひげ親父の痕跡がないか探りながらだ。


 そうして何の手がかりもないまま街から山までおよそ俺の感覚で2時間ほど。やがて緑の草原を抜け、山裾へ。目の前の小高い山を越えたら魔王とやらがいるらしい。


 俺の考え通りならその魔王とやらを倒せばこの【領域:名称未設定】から脱出できるはずなんだが……。


 そう思い山を登って頂きにたどり着いたところで、思わず声が出た。


「……こいつは、何だ?」


 目の前に広がっていたのは、魔王とやらの住処ではなかった。何もないただ真っ黒な空間がただただ広がっているだけだった。


 まじかよ、魔王どこいった。


今日から一本づつ0時に。


一日でも長く頑張る方向で(建前)


たぶん明日までかな?(本音)


感想気が向いたらください。

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