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episode 0 chapter 5

胸糞設定2がちょろっとだけ出ます。注意!

 【法律:子株法】とはおよそ今から4000年前に成立した無秩序な人口増加に対する抑制のための法律だ。簡単にいえば、『役に立つ人間にのみ子供を産む権利を与える』という糞そのものの法律である。まぁ確かに仕方のない部分もあるのは認める。今から4000年も前なら今よりも社会はさらに崖っぷちだったであろうし、諸資源の獲得に対するノウハウの蓄積もままならなかったはずだ。


 そんな中そうして優秀な人間の子孫を残し続けることで諸人類種全体の延命を図った意図は理解できるとお師匠も昔俺に話していたからな。


 但し、既に完全に悪法化しており壁の中の糞まみれの特権階級どもならばともかく、一般の人間、つまり【職業:料理人(下町)】ではその権利はみとめられない。


 【権利:子株】を獲得するには一定の諸人類種への貢献、つまり【職業:探索者】や【職業:戦士】などの仕事で実績を残す必要がある。もしくはその貢献を代わりに誰かがあげて【権利:子株】を譲るかである。考えれば考えるほど糞だな、おい。これは優秀な【職業:戦士】を安定的に増やすために、優秀な『種』を『畑』の意思など完全に無視して生産しつづけるもう一つの、そして最悪の悪法【法律:戦士供給法】と並ぶこの世界の代表的な悪法による社会問題である。


 つまり親父さんは彼女が子供を産む権利を獲得するために現役復帰したわけだ。あの人ホントに子煩悩だな。


「……で? もう一回言ってくれる?」


「だから親父さんを助けてくるから、さっさとどこに行ったか教えろ。あと店の前に生ゴミが四匹ばかり転がってるからどこぞの【領域】にでも放り込んどけ。【資源:土】くらいならあいつらでも取ってこれるとこもあるだろ」


「は? あんた自分が持って帰ってきたあの案件の重要さわかってんの? 親父さんとエリルちゃんのことは可哀想だとは思うけれど、それはそれこれはこれよ。あと生ゴミどもの件に関してはりょ~かい。この私たちのギルドの目と鼻の先で『探索者』を(かた)ったことを後悔させてやるから。お望み通りしっかり『貢献』させてやるわ」


「可哀想とかど~でもいい。俺は俺が気分よく飯を食うために行きつけの店にはいつも通りでいてほしいだけだ。あと今回の岩塩が出た【領域:名称未設定】の件なら、どっちみち次は三次探索だぞ? 俺一人でどうにかなるもんじゃないし、少なくとも使えるやつを四、五人集めておいてくれ。危険レベルはそうだな……、【評価:チィス】、真ん中くらいかな。あとそれならあの阿呆どもの件は任せる。もしもダメならうちの連中に声を……」


「それはダメ、やめて。あの子たちあんたの言うことならホントバカみたいに暴走するし、事をおさめるのに私たちが苦労する羽目に決まってるから、お願いだからやめて。次に評価の件はわかった。あんたが『チィス』っていうことは、『ベルー』ね。上から二番目にしとくわ。あんたの評価ほどある意味あてにならないものはないんだから、いい加減自覚しなさい。最後に『グラーブ亭』の親父さんの件だけどこういったらなんだけどもう一か月でしょ? あんたみたいな例外中の例外ならならともかく一か月なんの音沙汰もない時点で、ほとんどダメなのはあんたのほうがよくわかってるでしょ?」


 ウティスのくせに正論言いやがる。そう、普通ある程度の経験のある【職業:探索者】なら初回探索が一か月もかかることはあり得ない。初回探索はそれこそ外からでは分かりにくい【領域】の状況の確認のために行く探索であり、それによってその【領域】がどういう世界の【領域】であるか、さらにそれぞれの自然環境・特性などの下調べをしてさっさと切り上げるのが普通であるため、そんなに時間のかかるものじゃないし、かけるものじゃない。


 ……まぁ、そう考えるのが普通だよな。ウティスの奴がいっているのは全くの正論。もっというといくら娘のためとはいえ現役を退いて長い元【職業:探索者】が、いきなり【領域】に行くとか自殺行為以外の何物でもない。どれほど装備がよくなっても、教育体制が整っても新人の【職業:探索者】の就業からの10年生存率は3%を上回ったことがなく、初回探索における【領域】からの生還率は10%を超えない。つまり続ければほぼ死ぬ鉄砲玉こそが【職業:探索者】の実態だ。


 とはいえ。


「ウティス。ぐだぐだいうな、さっさと出せ。親父さんはどこの【領域:名称未設定】に行ったんだ?」


「……本気? 元とはいえ6級探索者が帰ってこれないような【領域】よ? いくらあんたといえど」


 不安そうに俺を見下してくるデカ女を上目遣いで俺はにらみつける。コイツ、忘れてやがる。俺の名前を。


「……なぁ、ウティス。俺の名前をいってみろよ」


「え?」


「だから名前」


「……ユーディ」


 そう、親の顔も知らず、名前もなく、ただ飯を食いたいがため、生きるためにいきなり押しかけて無理やり弟子入りした俺を拾ってくれたお師匠がつけてくれた俺の名前は、


「そう、UD(ユーディ)。だからUnDead(俺は死なない)


♦♦♦♦♦♦♦♦


 【領域】の危険度と【職業:探索者】のランクについて


 【領域】の危険度は五段階評価で上から、


 【評価:アーダ】


 【評価:ベルー】


 【評価:チィス】


 【評価:ディー】


 【評価:エーセウ】となり、上に行くほど危険性が高い。


 【職業:探索者】のランクは上から、【ランク:特級】から【ランク:10級】まであり、数字が少なくなるほどランクが高い。


 ちなみに駆け出しを含めると現在百万人程度の【職業:探索者】が存在するが、8級以上の【職業:探索者】は全体の5%に満たない。


もうちょい行けそう。

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