episode 0 chapter 3
というわけで三話目。
ギルドに荷物をあずけ、いざ食事である。もはや俺を止められる奴は誰もいない。阿呆のウティスとかギルドの連中とかが「これどうすんのよ!?」とか「報告書! 報告書出して!」とかわけのわからんことをいっていようが何だろうが、今俺は角を三つ曲がったところにある行きつけのひげ親父とおねえさんが作る煮込みをがっつくことしか考えられないのである。
そこの店は、俺たちの先輩でもある元【職業:探索者】のひげ親父が、功績をあげ始めた店でこの辺りの【職業:探索者】の行きつけの飯屋なのだ。しかしあんまり店が大きくないし、席が少ない。ついでにもうすぐ昼時だから、急がないとやべぇのだ。
だから足早に、そして足早かつ急いでいるせいで万が一にも誰かにぶつからないように移動するため、
【イセリアン式魔術:下位身体能力向上】
【イセリアン式魔術:下位気配察知能力向上】
を発動し一つめの角を曲がる。
さらに待ちきれないので、余計に腹が減るが、
【イセリアン式魔術:下位身体能力部分強化・嗅覚】
を追加し、煮込みの匂いが至近距離で嗅いでいるかのようにすきっ腹にどすんときやがった。さらに歩く速度を上げ二つ目の角を曲がるとなぜか騒がしい物音と声が聞こえてきて、それが何やら聞きなれた女性の悲鳴のようにも聞こえたので、何事かと思いさらに、
【イセリアン式魔術:下位身体能力部分強化・聴覚】
も追加すると、
『嫌です! やめてください!』
『俺たちはそれはもう大変な探索帰りで身も心もクタクタなんだよ。お前も女なら俺たちのようなえらい探索者様にこうやってかまってもらえて満足だろう?』
なんていう会話が聞こえてきたので、さらに角を曲がりざま急加速し、
【イセリアン式魔術:下位身体能力部分強化・跳躍力】
を発動させて踏み切る。
その勢いのまま並び家三軒分の距離を一気に跳んで俺が愛する(料理を作る)おねえさんの手を無礼にもこぎたない手でなでまわしている自称【職業:探索者】のこぎたない男の側頭部に飛び蹴りを一発。着地と同時に地面と俺の足の裏でサンドイッチしておき、俺はそのままおねえさんに、
「おねえさん、煮込みとりあえず十人前。あとパンは五人前、あと腸詰めとピクルスの盛り合わせもとりあえず五人前、よろしく」
と注文をしてから周りを見渡した。目の前には阿呆が三匹。
「何か文句でも?」
そういった俺に仲間だったらしい三匹のこぎたない阿呆がわけのわからないことをいいながら突っかかってきたので、すぐに全員物理的に縦に並べてみた。積み上げたともいう。ここの通りはあんまり広くないからこういう気遣いは大切なのだ。
そんな雑事を済ませている間、おねえさんの気配がまったく動いていないので、はて? なぜだろうと思い、後ろを振り返るとやはり先ほどの状態のままでなぜか固まっているおねえさんがいたので、
「あ、注文早口で聞き取れませんでした? 申し訳ない。えっと、煮込みとりあえず十五人前。あとパンは十人前、あと腸詰めとピクルスの盛り合わせもとりあえず十人前、よろしく」
とゆっくり注文したら、首をカクカク縦にふって頷いてくれたので、これで注文は大丈夫だろう。そう思って俺はお気に入りの厨房が見える席に座って料理を待つことにした。
……ところでさっきからこの辺りの皆さんにやたら見られているんだが、どうしてだろうか?
♦♦♦♦♦♦♦♦
【職業:探索者】とは。
【職業:探索者】とは我々諸人類種の生存のために日夜、危険な【領域】へと最初に侵入し、その【領域】にある資源がどのようなものであるのか、またその【領域】の危険度がどの程度であるか調査し、そしてどのように【領域】から有用な資源を獲得するのか必要な計画を決定する、我ら諸人類種の生存の先駆けたる偉大な職業である。
無論、未調査の【領域】はその【領域】がどれほどの【悪意】を内包しているかは侵入してみないと分からない為、その過酷さはいうまでもない。
【組織:ラディウエス諸人類種合同会議】発行【文書:諸人類種の少年少女の将来の仕事】より抜粋。
感想気が向いたらください。
何とか次まではいける。




