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***  作者: 葛西 三四郎
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-探偵-

その響きには不思議な感じがあった。

数々の物語に登場する様々な探偵を思い浮かべる。

知的で豪快な者が多く、刑事が手に負え無い様な難事件を、類稀な観察眼と推理力で解決してしまう。そんなイメージだった。

フィクションのヒーロー的存在の一つであり、憧れの的である、いわゆる”名探偵”には、私も例に漏れず憧憬を抱いた事があった。

少年だった私は推理小説を読んだ後、自分がまるで物語の中に出てくる名探偵であるかのごとく振る舞い、周りの様々なものを観察しては、自分の推理力を発揮すべき難事件を探しに、あても無く、外を駆け回ったりした。

しかし、そんな感情も長くは続かず、その日の夕方には外へ飛び出した理由も忘れて、途中で会った友達と別の遊びに夢中になり、泥だらけになって帰ってくるのが、せいぜいの落ちだった。

私にとって探偵とはフィクションの中の存在でしかなかった。


-しかし今、私がその言葉を聞いたのはフィクションの中ではなく、現実の、しかもハローワークでの転職活動の最中であった。いや、既に仕事を辞めていた私の立場から考えれば転職活動というよりは、再就職活動と言った方が正しいのかもしれない。いずれにせよ、極めて切実な生々しいリアルの最中であるはずの、この瞬間に聞いた、その言葉には、妙に世の中から浮いた違和感のある響きがあった。

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