モフりは正義ですか、そうですか
「リーファ・ストリーム‼︎君を愛している‼︎
結婚してくれ‼︎‼︎」
構内に響き渡る絶叫。
大勢の人に注目される事が苦手な私。
この人バカなんですか?
リーファがこの世の史上と思い、お世話する至玉の
存在のリアーナ公爵令嬢の前で言うに事欠くなんて‼︎!
お嬢様は、にこやかに微笑まれています。
構内は静まり返り、は?
何それ美味しいんですか??
私の発言待ちですか!
何て事⁉︎
栗色の癖毛が肩まで。
浅く日焼けした健康的な肌。
ソバカスだって見えます。
中肉中背。これと言って取り柄なんてありません。
人より勝る事は、お嬢様への愛、忠誠でしょうか。
ごくっ。
「お断りします!」
上擦りますが、精一杯の声で返します。
願わくば、私の目の前から消えて下さいませ。
空気の読めないお嬢様の恋人、レオンハルト様。
これが伯爵家の次男です。
世も末です。
戦慄します‼︎!
「リーファ、健やかなる時も病める時も君を愛でよう。」
ゾワ…モフッ
バカは堂々と歩き、人を掻き分け近付いて来ます。
ひいっ…モフッ
話が通じないなんて、私は未知の恐怖を味わいます。
ざわざわ…モフ
「レオンハルト。いくら愛しいあなたの為でもリーファはあげられないわ。私のものですもの。」
お嬢様‼︎!
泣いてもいいですか‼︎
私のものだなんて嬉しすぎます。
あぁ、生きてて良かった!
もふもふもふ
目の前にやって来るバカ…もといお嬢様の婚約者
レオンハルト・ヴァルナード伯爵家次男坊。
構内、暖かな眼差しに満ちます。
「人化が解けていてよ?」
ハッ⁉︎⁉︎⁉︎
そこには全身もふもふの大きなリスの獣人。
はい、これ私です。
「一生君をモフりながら生きていたい…。」
恍惚と肌を上気させ
手を伸ばすレオンハルト様
いやぁぁぁぁあたしの貞操‼︎!‼︎
「モフりは正義よ。」
お、お嬢様??
レオンハルト様とがっつり握手を交わすお嬢様。
「君と結婚したらモフりがつくんだな。」
目をキラキラさせていますね!
「そうよ。譲れないけれど一緒に、この毛並みを守りましょう。」
「ああ!」
お、お嬢様??
モッフリとした尻尾が小刻みに揺れます。
はい、私の動揺の現れですね。
「っ。」
頬を赤くし目を潤ませレオンハルト様は
「これが私のものに…。」
ならないっなりませんよ?
話、聞いてましたっ⁉︎
「時々触らせてあげるわ。」
お嬢様…泣いてもいいですか。
可憐に笑むお嬢様にふわりと抱き締められます。
「お前は私のものよ。」
リスの獣人リーファは、大好きなお嬢様とオマケと
幸せに暮らしましたとさ。