交換しましょう
「…無双じゃね?」
俺は今、ゴブリンを相手に無双している。たかがゴブリン、されどゴブリンだ。確実に無双できている。
目の前には腹を貫かれ、喉元を切り裂かれたデカゴブリンが転がっている。おそらく、群れのボス的な存在だろう。先ほどのゴブリンズは群れで行動していたが、こいつはしていない。それほどの体格なのにだ。
であれば、俺がさっき殺したのが群れの一員だろう。
これで群れを全滅されたのならば、この辺りでは最強だ。
ふと、足元を見る。
…長いな。
自分の左腕を見る。
こいつは通常のゴブリンよりもでかい。だから腕も通常よりも長い。
今の腕はとても短く、右腕のサソリと比べればさらに短く感じられる。
それに比べ、デカゴブリンの腕は、元の人間の腕ほどではないが、程よく長く、今よりはマシそうだ。
よし、取り替えるか!
さあ、交換〈ドッキング〉タイムだ。
まず、自分の左腕を引き千切る。
ブッチチッチグヂュルルル
よし、肩から上手く外れた。
次にデカゴブリンの左腕を引き千切る。
が、先に自分の左腕を外してしまったのでサソリで肩口から切断する。
うん、こっちの方が使い勝手がいいな。今度からこうやろう。
そして最後にデカゴブリンの腕を自分の肩口に付ける!
ゴリゴリゴリ、ゴキン!
おぉ、長くなったな。
腕をぐるぐる振り回したり、シャドウボクシングをして馴染んだか確認をする。
「うん、いい感じみたいだな。」
先ほどよりは断然使いやすい。パワーもある。交換して正解だったようだ。
ふと奥を見ると、暗い洞窟がまだまだ続いている。
「まだ進まないとダメか。」
俺は出口を探して歩き出す。