もう一回
無双を決めてから特にすることもないので、少し悩んでいた。
進むべきか、戻るべきか〜、どうしよ
さっきゴブリンに会ったとき、右腕を持って行かれた。別に痛くはないけど、やっぱりないと困る。
それにさっき逃げたとき、体は結構動くから全力で走れば逃げ切れる。
う〜ん、……いくか。
怖いもの見たさが勝った瞬間であった。
あれから歩いて元の場所に戻ってきた。逃げてから時間も経っている。もういないかもしれない。
「…いるか?」
離れたところからそっと覗く。
ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキドキドキドキドキ。
………………ッス。
いたアァアアア!
が、不自然なところがある。
確かにいた。だが複数の緑共は全て倒れていた。
あの化け物が全員うずくまっている。
絶対おかしい。またフェイクじゃないかと思える。
そいつらの中心には僕の腕が落ちていた。手が所々欠けている。
その欠けた所はよく見ると歯型だ。
まさかこいつら、腕食ったから…
いやいや、フェイクかもしれない。
そ〜ッ、ツンツン。トントン。ゆっさゆっさ。
「いよっ。」っぐっしゃあ!
持ち上げてからのスープレックス。
よし、死んでるな。
やはり腕を食ったからだろうか。
そういえば、さっき見たスキルの中に毒って言うのがあったな。あれのせいか。
ふっ、ざまあ。
しかし、腕くっつかねえかな〜。ちくしょう、腕持って行きやがって。アーァ、右腕ちゃん。
もげた腕を取る。
治んないかなぁ、くっつけたら戻らないか?
そっと元あったところにつける。
ピクッ
ん?今取れた腕の根元が動いたような…
グジュッ!
キモっ!やっぱり動いてる!
グジュグジュッ!グジャッ!ゴリゴリゴリ!コキコキッベキ
…治っ…た……のか?
普通に動かせる。
これは吸収のスキルのお陰か。
…吸収って!肉体の吸収か!
肉体を自らの体に取り入れる。そう仮定する。
もしそうだとすれば…
近くに、横たわっているゴブリンを見つめる。
試す価値はあるそうだな。
グギグチャ!
利き腕ではない左腕をもぐ。
そしてゴブリンの腕をもぎ取り取り付ける。
くっついた
…すげえな。バランス悪いけど。
緑の腕はとても短かった。だが、石を持ち上げる程度の腕力はあるだろう。
「ヤベェな、この能力。メチャクチャグロいな。でも使えるからいいか。」
することもなくなった。…歩くか。