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地龍のダンジョン奮闘記!  作者: よっしゃあっ!
第五章 貿易と防衛

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5.ダンジョンの活性化と新たなゴーレム



 さて、トレスの一件から数日が経った。


 俺は再び監視室で表層や入口を眺めていた。


 今日も入口、第一層には、そこそこの冒険者や商人たちが入り込んでいる。

 転移門を通じての、西や東の人々の交流は活発になってきたと言えるだろう。

 このまま順調にいけば、あとひと月くらいで、本格的な交易も始まるんじゃなかろうか。

 そう思えるくらいには、人が増えた。

 映像の音声のボリュームを上げる。


 『―――――そっちの調子はどうだい?』

 『いやー、ぼちぼちかな。あ、良かったらこの品を―――』

 『あ、それハルシャルード産の青鋼鉄かい?』

 『そうなんだよ。質は良いんだが、いかんせん雪山を超えなきゃ――』

 『へぇ~倭の国ではそういうのが流行ってるのか……』

 『おい、見てくれよ。俺の右手。過去の偉大な当主様を真似てパイルバンカーに――』

 『おい、この果物ってこっちでも売ってるのか?』

 『あ、この魔石を売ってくれないか?倭の国じゃ手に入らないんだ!』


 こんな感じで、各エリアの商人たちの交流も深まってきた。

 原始的な物々交換の段階だが、悪くは無い。

 既に貿易の下地は出来上がってきている。

 良い傾向だ。

 

 一方で、第二階層以下のダンジョンに挑む冒険者もぼちぼち出てきた。

 俺は極彩色の球体を操作し、映し出される映像を第二階層以降の映像に切り替える。

 

 映し出された映像には、各エリア三か所のダンジョンで、第二階層以降に挑む冒険者の映像に切り替わった。

 そこには、ソロで攻略に挑む者、パーティーを組んで協力するもの、魔物なんかを使役する冒険者もいた。

 魔物って使役できるんだな……。

 魔術師っぽい女性がスライムやらゴブリンやらを使役して喝を飛ばしている。

 音声オン。

 

 『へぇ、これが新しくできたダンジョンか。けっこーデカいな』

 『くっそ、このゴーレム達ウザいんだよ!さっさと死にやがれええええ!!』

 『おい!宝箱あったぞ!すっげー魔石が入ってる!早く来いよ!』

 『おーい、こっちに下に降りる階段があったぞー』

 『あれ?前来た時、こんな通路あったっけ?』

 『装備たりねーし、一旦上に戻るか』

 『ここが第三層か……』

 『ギルドでマッピングどこまで公開されてたの?』


 ふーむ、賑やかになったものだ。

 防衛の方も順調に機能しているようだ。

 まあ、表層は比較的緩いダンジョンだしな。

 冒険者たちにとっても、そこそこ美味しい狩場になっているだろう。

 現在、表層ダンジョンの冒険者達の到達階層は七階層。

 平均的な攻略スピードだとエリベルは言っていた。


 まあ、表層だけでも二十五層あるからな。


 この分ならば、表層ダンジョンが攻略されるまででも、結構時間が掛かるだろう。

 冒険者達のレベルもそう高くない。

 だいたい平均してD~Cランク程度の冒険者達がほとんどだ。

 今まで来た冒険者の最高ランクはB。

 そのパーティーが第七階層まで到達した。


 ちなみになんでわかるかって言ったら、ウナに調べてもらっているからだ。

 ウナ、ドス、トレスの三人は冒険者ギルドに登録している。

 幸い、以前エルド荒野の際に暴れ回った時も、仮面を被り変装していたおかげで、ウナ達の正体がばれることは無かった。


 なので、再び冒険者として、それぞれの町で情報収取に当たって貰っているのだ。

 特にBランク以上の冒険者達は、そこそこ有名で顔も知られている。

 ウナ達には、それぞれのエリアの名の通った冒険者を調べてもらった。

 その集めた情報と、ダンジョン内での会話などから、冒険者の素性を調べ上げたという事だ。

 

 俺は再び映像を表層と転移門付近に切り替える。

 すると、大変興味深い映像が映り込んできた。


 『――――おぉ、随分デカい商隊が来たな』

 

 そこに映し出されていたのは、今までとは全く規模の異なる大きな商隊。

 あの紋章は………北のハルシャルード聖王国の人達か。

 連結した荷車を引かせ、貨物列車の様に積荷を運んでいる。

 その周囲には大量の冒険者。

 護衛に雇っている冒険者の数だけでも、二十人以上はくだらない。

 そんな彼らは転移門を潜り、次々に別のエリアへと移動を始めた。


 「雪の国ハルシャルード聖王国――――彼らは、このダンジョンを正規の交易ルートとして認めたようね」


 後ろから声がした。

 エリベルだ。

 その傍にはベルクが控えている。


 「良い傾向ね。これならこのダンジョンが、各国の交易拠点になる日もそう遠くないかもしれないわね」


 満足そうなエリベルの声。

 俺も頷く。


 『ああ、少なくとも三か所のうち一つは、これで目標達成だ』


 二か所も、時間の問題だろう。

 それぞれの入り口付近の主要な町や村に放っている鳥型のゴーレムの報告によれば、各村での、商隊の動きも活発になっているとの事。


 多分そう遠くない内に、他の二か国、西の魔術都市エンデュミオンと、東の倭の国ヤマトザクラでも、本格的にこのダンジョンを貿易ルートとして使用するはずだ。


 それにユグル大森林の魔物達にも、ダンジョンに入る者達には攻撃するなと厳命してある。

 森そのものに入った奴らは好きにしていいと伝えてあるが。


 うまく転がってくれることを祈ろう。


 「―――ところで、アース。頼んでいたものは出来てるかしら?」


 それまで映像を見ていたエリベルが、話題を切り替えて、俺の方を見る。

 

 『ああ、“アレ”か。ついさっき出来上がったよ』


 というか、映像見ながら作ってたしな。

 完成したそれは、すぐわきに置いてある。

 

 「あら、本当?流石、ゴーレム作りだけは本当に仕事が早いわね」


 だけって言うな、だけって。

 何だよ。

 その言い方じゃ、まるで俺がゴーレム作り以外まるで出来ないみたいな言い方じゃないか。

 

 『……でも、エリベル。お前本当にコレ使う気か?』


 そう言って俺は、傍に置いてあった“ソレ”を指差す。


 「ええ、勿論よ。やっとこさ、準備が終わったのよ。そろそろ、私も動かせてもらうわ」


 そう言って、エリベルは骨の指を鳴らす。

 俺はもう一度“ソレ”を見る。


 ここ最近作り上げた、俺の自信作。

 新たな機能を備えたゴーレム。

 のっぺりとした、デッサン型の様なゴーレムだが、その本質はデッサン型とは全くの別物。


 その名も――――憑代ゴーレム。


 このゴーレム自身は意志を持たず、動く事もなく、使用者と魔力回廊を接続させ、遠隔操作で動かすタイプのゴーレムなのだ。


 だが、当然それだけではない。


 ただ遠隔操作するだけの、つまらないゴーレムなど、俺が作る筈が無い。

 このゴーレムは受ける刺激、すなわち視覚情報などを使用者がリアルに感じながら遠隔操作できるように作られている。

 簡単に言えば、術者の意識や五感だけをゴーレムにリンクさせ、遠隔操作することが出来るという代物だ。

 術者の思った動作をリアルタイムでこなし、ある程度までなら魔術の再現も可能。

 魔術の行使は、内蔵された魔石に依存するが、そこはエルド荒野産の超高純度魔石だ。

 上級くらいまでなら十分に行使することが可能だ。


 以前ゴーレム達やウナ達の視覚情報を鏡に投影した技術を応用して作り上げた。

 さらに魔術を流し込むことにより、このゴーレムは術者の意のままにその姿を変えることが出来る。

 魔物のドッペルゲンガーに近い性質だな。


 まあ、術式に大部分はエリベルが組んだし、俺はそれに従ってゴーレムを作っただけだ。

 それでも製作に結構時間が掛かった。

 何せ作るのに一週間も掛かった自信作なんだから。

 性能が性能だけに、結構な魔力を使った。

 だが、その分性能はかなり良くなったはずだ。


 エリベルは、これを使って、ダンジョンの外へ――今のファウードの様子を見に行くつもりらしい。

 一応ベルクの分と、予備を含めて三体造っておいた。

  

 『あんまし、無茶すんなよ?外はこえーしな』


 外の世界は危険が一杯だ。

 人様のダンジョンをぶっ壊すクソ野郎や、パンクなファッションをする冒険者だっている危険な世界だ。

 俺は出たくない。

 ダンジョンでのんびりしたい。


 映像で見るけど、何かお土産とか頼もうかな。


 『あ、そうだ。お土産だけどさ―――』


 何がいいかなーと、俺がのんびり考えているとエリベルがとんでもない事を云った。


 「へ、何言ってんのよ?アンタも一緒に出るのよ?」


 『は?』


 思わず、俺は素っ頓狂な声が出る。


 何を言ってるのか分からなかったからだ。


 「だから、この憑代ゴーレムを使って、アンタも外に出るの。おーけー?」




 …………………はい?





 次回、ついにアースさんが外へ………

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