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地龍のダンジョン奮闘記!  作者: よっしゃあっ!
第四章 二度目のダンジョン

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12.癒しを求めて

 ダンジョン作りは非常に順調に進んでいる。


 アンの子蟻も、デッサン型も数を増し、エリベルの改良によって罠の設置速度も捗っている。

 表層部分はほぼ出来上がってきた。

 あと数日もすれば、中層以降の本格的な製作にも取り掛かるだろう。

 俺の安全を左右する本来のダンジョンに。

 あ、それと、深層の地下に作る俺やエリベルのフロアもデッサン型がすでに手をかけている。

 

 見れば今も、割れ目から錬金で作ったロープを伝って下へと降りている。


 どんどん深く掘ってくれている筈だ。

 

 ちなみに以前俺も、割れ目からさらに下の階層へと降りたが、採れる魔石の純度は深層と殆ど変わらなかった。

 魔石の純度はどうやら、この辺りが限界値っぽい。


 残念。


 ただ、魔石のとれる数自体は、やはり下の層の方が断然多い。

 俺が出向いて、数分掘っただけでも、相当な量の魔石が取れた。

 取れた魔石は半分を俺の胃袋に、残りをデッサン型へ運んでもらい、眷属と森の魔物達への御飯として分けた。


 これからも定期的に魔石は与えるとしよう。

 その方が、森の魔物たちの喜びようが半端ないとの事だ。


 この魔石貰うのが、そんなにうれしいのかね?

 俺としては、ご近所へのご飯やおかずの御裾分け位の気持ちなんだけど。

 エリベルの研究室で、極彩色の球体から映し出される映像をたまに見ているが、魔石を食べてる時のあいつらの喜びようは本当に凄い。

 猿の中には泣いて食べてるやつもいた。

 あと、蜘蛛の奴がちゃっかり、二~三個くすねて、巣に持ち帰っていたのも、きちんと見た。

 アイツ結構強かやね。


 まあ、喜んでもらえるのはいいことだ。

 そうしよう。


 最下層の掘削についても、もはやデッサン型に一任だ。

 俺も掘るのを手伝ったが、やはりデッサン型達の方がスピードが速い。

 まあ、当然か。

 数が違うしな。

 俺の一時間に掘る量を百とした場合、デッサン型一体の掘る量は多分三~五位だろう。

 だが、デッサン型はそれを補ってあまりある程に数が違う。

 更に、俺と違い二十四時間休みなく動くのだ。

 そりゃあ掘削も速くなるに決まってる。


 なので俺は、適当に魔石を掘って、残りはすべてデッサン型に丸投げだ。

 そうなると俺の仕事となると、デッサン型の起動と転移門の設置位になってくる。


 あとは、魔力の回廊を作るために、ダンジョンの中をうろつくくらいか。

 まあ、これは転移門の設置と同時進行でやって行けばいいだろう。


 となるとだ。


 当然、俺にも自由時間が増えてくる。


 中層以降の転移門設置はもう少し先だ。

 表層の転移門はだいたい設置し終えたし。


 そこで、現在俺は新たな趣味に挑戦中だ。


 それは、ガーデニング。


 エルド荒野の深層は現在太陽の光が届く縦穴になっている。


 これは最終的に、穴に面している部分は全て埋め立てる。

 エルド荒野の入口は、深さ三百メートル級の完全な縦穴にするつもりなのだ。

 そこに螺旋階段を作り、下へと降りる通路を作る予定だ。


 まあ、勿論、ただ降りるだけじゃ、つまらない。

 階段にはいろいろ仕掛けを施す予定だ。

 滑る階段とか、壁から出てくるゴーレムとか。


 まあ、それは、今は置いておこう。


 ガーデニングの話に戻そうか。


 つまりだ。

 太陽が届くのであれば、この深層でも植物を育てる事が可能じゃないかと思ったわけだ。


 なぜこんなことを思ったか?


 それは緑特有の癒しを求めてだ。

 ユグル大森林に行った時のあの空気の感じ。

 大森林特有の匂いや癒し効果。


 アレは、良いものだ。


 トレスとぷるるの、次に癒されるかもしれない。

 もともと、殺風景なダンジョンだしな。

 以前も、それが嫌でデッサンやゴーレムに拘ったわけだし。

 ダンジョン内の特殊環境の一つに森を作ろうと思ったわけだ。

 主に俺の癒しの為に。


 それなら森に行けば良いんじゃないの?と思われた方。

 それ、間違いです。


 俺は出来る事なら外に出たくはないのだ。

 だって、外出るのメンドイし……。

 家の中で済むなら、それに越した事はないとは思わないかい?


 なので、出来ればダンジョン内に作ることは出来ないかと考えたわけだ。

 その為なら、手間は惜しまない。

 癒しは大事だ。

 食事と保身の次位に大事だ。


 エリベルに相談したら、可能との事。

 

 ただ「……どんな結果になっても知らないわよ?」とだけ言われた。

 ただ植物を植えるだけだというのに。

 そんなに警戒する必要なんてないだろうに。


 まあ、とりあえずそのテストとして、この深層部分で試してみようと思ったわけだ。


 これで成功すれば、何れ出来上がる最下層でのガーデニングも視野に入れる。


 目の前にあるのはユグル大森林から持ってきた植物。


 種類は分からないけど、とりあえず何かの植物だ。


 ユグル大森林の洞窟の近くに生えていたのを適当に拝借してきた。

 環境が変わっても大丈夫なように、なるべく小さい、苗を持ってきた。


 すでに三日前にこれを深層の、日の当たるところに植えて、育てている。

 さすが異世界の植物。

 ぐんぐん育っている。

 三日前に持ってきたときは、数センチほどの小さな苗だったのに、今では二メートル近い木に成長している。

 いいね。

 やっぱり育つんじゃん。


 やっぱり緑があると、癒される。


 同じように植えた数十本の苗も同じように成長している。

 ちょっとした、公園みたいだな。

 木の下には、苔みたいなのも生えてるし。


 うーん。緑の癒し効果は素晴らしい。


 ちなみにエリベルは三日前から留守だ。

 アッド山脈に作るダンジョンのトラップの詳細を煮詰めに、現地に向かっている。


 多分、あと数日は戻らないだろう。

 

 つまり、その間は俺の自由。

 久しぶりに、のんびりとした休暇というわけだ


 まあ、何かあったら、思念通話で伝えればいいし。

 

 さてと、それじゃあガーデニングにも一工夫を。

 肥料に砕いた魔石を与えてみよう。

 魔物達はこの魔石が大好物みたいだし、多分植物にも良い栄養になるんじゃないかな?

 魔石を砕いて、ばらばらーと適当に蒔く。


 あ、水どうしようか?

 ウナに頼んで転移門で水運べないか頼んでみるか。

 レーナ湿原なら水源としてもちょうどいいだろうし。


 ちょっと連絡をしてみよう…………。

 ウナに思念通話を送る。


 『………』


 即行で作りますって返信が来た。

 ありがたいね。


 でも、最下層にこれと同じようなのを作る場合はどうすれば良いんだろうか?

 光魔石とかを改良すれば、太陽の代わりになるかな?

 日の当たらないところにちょっと植えて、光魔石を当てて育ててみるか。


 今度エリベルに相談してみよう。


 こうして俺は新たな趣味に勤しむのだった。

 あ、勿論他の事もちゃんとやってるよ?

 あくまで趣味ですよ、趣味。


 

 そして一か月後――――


 深層は豊かな“森”へと、その姿を変えていた。


 巨大な木々が大地に根を生やし、その存在を誇示している。

 木々が根を張る地面には、草花が生い茂りまるでここが地の底だという事を忘れてしまうような光景だ。

 鳥型のゴーレム・ホムンクルス達が、木に留まり、さらにゴーレムでない、本物の鳥も交じっているように見える。


 見ていて実に微笑ましい。


 それだけではない。

 壁面部にも、豊かな木々が生い茂っている。


 中には見たことの無い様な木の実をたわわに実らせた木もある。


 それらは全て、縦穴の側面部に根を張り、太陽の照らす地上へ向けて真っ直ぐに成長している。

 びっしりと、苔も生え、褐色色だった深層は、今や緑の楽園へとその姿を変貌させた。


 日差しが当たらない部分も、光魔石の効果もあってばっちりと成長している。


 劇的すぎる変化だ。


 うーん…………流石にこれは。


 『ちょっと、違和感があるな』


 これだけの森になると、癒しとしては………。


 

 あ、そうか。

 そこで、俺は気が付いた。


 『後は、温泉があればいいのか!』


 「気づくべきはそこじゃないでしょっ!」


 ゴフッ!?

 後頭部にエリベルの蹴りが炸裂した。


 ……え………違……うの?


 ガクッ………。


 



 深層に出来た森は、ナ○シカの腐海をイメージして頂ければ

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