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地龍のダンジョン奮闘記!  作者: よっしゃあっ!
第四章 二度目のダンジョン

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9.新しいダンジョン

 おはよう。


 さて、今日からいよいよ本格的なダンジョン作りスタートだ。


 とりあえずは眷属の皆に号令をかけて深層へ召集。


 今回の席には新たにユグル大森林の四匹も話し合いに加わっている。

 既に自己紹介は済ませている。

 蛇、猿、犬、蜘蛛の四匹だ。

 席はアンの隣に順に座っている。

 何か誰がアンの隣に座るかでもめていた。

 そしてなぜかアンが『ち、違いますからね、アース様!そう言うのではありませんから!』としきりに言ってきたが、何の事だろうか?

 まあ、いいか。


 『それじゃあ、今日から本格的なダンジョン製作に入ろうと思う。エリベル、映像頼めるか?』


 「おっけー」


 そう言ってエリベルはテーブルの中心にある極彩色の球体を操作し、映像を映し出す。

 遺跡にあったヤツと同じだな。


 その映像には昨日エリベルに見せてもらった、俺のダンジョンの設計図が3D映像の様に映し出されている。


 どこからともなく、おぉという声が漏れる。

 映像の技術とダンジョンの設計図、両方に驚いている感じだな。

 特に新しく加わったユグル大森林の長たちの反応は凄い。

 全員もれなく口を開けてポカーンとしている。

 猿に至っては素で「マジかよ……」って言ってた。


 エリベルが映像を操作しながら説明を始める。


 「各エリアの階層はそれぞれ二十五層、それが十か所だから全部合わせれば、二百五十層の超巨大なダンジョンになるわね。ダンジョンの魔力回廊は転移門を通じて循環させるわ。それに、私たちの各エリアの移動も、転移門を使う事になるわね」


 眷属全員にどよめきが起こる。

 まあ、こんだけデカくなるのは予想外だっただろう。

 それに俺が補足する。


 『それに加えて、ここエルド荒野のダンジョンも、入口兼ダンジョンとしても機能させるから、実質三百層近くなるな』


 うーん、改めて言葉にすると凄い。

 全階層合わせて三百層近くになる超大規模ダンジョン。

 単純規模でエリベルの転移ダンジョンの三倍以上の規模だ。

 俺が前にエルド荒野に造ったダンジョンの十倍以上の規模になる。


 「お父様、質問宜しいですか?」


 手を挙げたのはウナだ。


 『どうした?』


 「レーナ湿原とアッド雪原にはダンジョンを作らないのですか?この二つエリアにも転移門は設置されてますが?」


 ああ、その事か。

 確かに説明してなかったな。


 『レーナ湿原とアッド雪原にはダンジョンは作らない。というか、作る事が出来ないんだ』


 エリベルは更に補足する。


 「泥と雪だからね。仮に、その地下にダンジョンを作るとなれば、手間がかかりすぎる上、維持にも相当手間と技術が必要になるの。だから、この二か所は“入口”への通過点として活用することにしたわ」


 「あれ?ダンジョンの入口ってエルド荒野だけじゃないのー?」

 「ぷるー?」


 トレスとぷるるも疑問を口にする。

 考える姿も可愛い。

 ダブルでラブリーだ。

 だぶりー。


 『入口は全部で四か所に設置する。エルド荒野、ユグル大森林、アッド山脈の麓、そしてグオル火山の麓。この四か所だな。それ以外のエリアは、純粋に地下内部にダンジョンだけを製作する』


 『……入口を複数作るのは、侵入者を一箇所に集中させないため……ですか?』


 そう言ったのはアンだ。

 流石に鋭いな。

 俺は頷く。


 『そうだ。これは“ダンジョン破壊”対策も兼ねている。加えて、エリベルが言うには、ある程度冒険者に認知されるために、入口を何箇所か作る必要があるんだそうだ』


 『冒険者に………成程、そういう事ですか』


 え、アン?

 お前今の説明だけで理解したの?

 俺、エリベルに五回くらい説明してもらってようやく理解したんだけど……。


 アンはエリベルの方を見る。


 『エリベルさん、確認しておきたいのですが、ダンジョンの表層に当たる部分は、それほど強い防衛を敷かないようにするのですね?加えて、魔石などの撒き餌も考えているのではないですか?』


 「……流石アンちゃん。理解が早くて助かるわ」


 エリベルは満足そうに頷く。

 見れば、他の眷属たちはあまり理解していないようだ。

 ウナに至っては、頭から煙が出ている。

 あ、良かった。俺だけじゃなかった。


 「……ん、宣伝と、破壊防止」


 ぽつりとドスが呟く。

 ドスも、どういう事か察したらしい。


 「見たところ、理解してるのは、アンちゃんとドッスンの二人だけみたいね。んじゃ、説明するわ」


 全員を見て、エリベルが説明を始める。

 ところで、ドスの呼び名はドッスンなのね。


 「まず、皆“八大ダンジョン”については、知ってるわよね?」


 八大ダンジョン。

 何百年もの間難攻不落とされ、未だに攻略されていない八つのダンジョンだ。

 エリベルのダンジョンも数に入っているが、八大ダンジョンの中では新参らしい。

 それこそ一番古いダンジョンは、何千年も前から存在しているという。

 

 「結論から言うとね、八大ダンジョンは、そのどれもが、何らかの理由で“ダンジョン破壊”が出来ないダンジョンなのよ」


 「“破壊不可能”……という、事ですか?」


 ウナが質問するが、エリベルは首を横に振る。


 「正確にはちょっと違うわね。分かりやすい例が、私の造った転移ダンジョン。前にも言った通り、完全に“破壊”をするには、各階層毎に八十八回ぶっ壊さなきゃいけない」


 現実的に不可能でしょ、とエリベルは言う。

 

 「では、八大ダンジョンは全てが転移系のダンジョンだという事ですか?」


 「いいえ、転移系のダンジョンは、私のダンジョンを含め三つだけよ」


 「え?では、どういう………?」


 「そこで、二つ目の理由。“破壊する事”が人間達にとっての不利益になる場合よ」


 エリベルは指を二本立てる。


 「わかりやすい例が、『ファーブニル』ね。ハザン帝国の領内にあるんだけど、あのダンジョンは、金銀財宝に加えて、魔石も大量に入手できるの。国の重要な資源としても活用されてるわ。軍自らダンジョンに潜ることも多いのよ」


 ダンジョンが一種の経済資源になってるってわけだ。


 「成程、破壊してしまえば、返って人間達が被害を被る、と言う訳ですか」


 「そう、経済的にね。冒険者達だって、自分たちの飯の種を、自分から破壊するなんて馬鹿な真似はしないでしょ?まあ、それに加えてファーブニルはダンジョンの上に王都が成り立ってるから、もしダンジョン破壊なんてしたら王都ごと崩壊しちゃうわ。そんな事するなんて、余程の馬鹿か狂人くらいのもんでしょう」


 これが二つ目の理由。


 「そして、これをこのダンジョンにも、応用しようってわけ」


 「ああ、成程。ようやく、私にも分かりました。ゴブリ……冒険者どもに、餌を撒いて、このダンジョンを破壊するのは、惜しいと思わせるわけですか」


 「そういう事。どのみち、ダンジョンってのは、必ず人や魔物を呼び寄せてしまうからね。隠し通すことは出来ないわ。それなら、こっちも冒険者達を利用してやろうってわけよ。幸い魔石や、お宝なら大量にあるしね」


 まあ、それでも確実とは言えないけどな。

 気休め程度にはなる。

 この間の様に、問答無用で“ダンジョン破壊”を使う輩もいるかもしれない。

 ホント、あのクソ龍殺しは死ねばいい。


 それに、アンの様な災害指定種を、討伐するための軍が派遣されるかもしれない。


 ―――――その時は、中層以降の“本当のダンジョン”の出番だ。


 四か所の入り口から入る表層部分のダンジョンは、冒険者の撒き餌用に甘い作りになっている。

 だが、そこから転移して向かう、中層以降のダンジョンは、俺とエリベルの悪知恵が存分に働いた地獄のような作りになる予定だ。


 ああ、早く作りたいなー。

 以前エルド荒野のダンジョンを作っていた時もそうだが、こういうダンジョン作りってのは、それだけで結構楽しい。

 やっぱ、俺ゴーレムもそうだけど、モノ作るのが大好きだしな。


 ましてや、今回は人手も専門知識もばっちり備わっている。

 それに、俺も自分の安全が掛かってるんだ。

 手を抜くつもりは全く無い。


 次に、俺とエリベルは、各エリアのダンジョンの構造等について、みんなに説明した。

 

 「―――というわけで、今回のダンジョンは構造上、いくつかのフロアを、全く同じ形に作らなければいけないわ。今までよりも、より精巧に各階層を作らなくちゃいけないわね」


 『それについては、デッサン型ゴーレムで何とかなるだろ。あいつ等、単純作業が得意だし』


 与えられた仕事しかしない、単純なゴーレムだが、その分、与えられた仕事はまるで機械の様に正確無比にこなす。

 設計図を頭に叩き込ませて、仕事を命じておけば、問題ないだろう。

 便利だな、デッサン型。


 『あの、アース様、質問宜しいでしょうか?』


 手を挙げたのはアンだ。


 『どうした?』

 

 『ダンジョンの構成や特性は理解できました。それで、一体どこが、アース様の住む深層になるのでしょうか?』


 『ん、ああ、そうか。言ってなかったな』

 

 そう言って俺は、“そこ”を指差す。


 『ここ』


 設計図の一部ではなく、俺が今座っている場所。


 地面を。


 『え?』


 アンが驚く。

 

 『俺の住むフロアは、ここにする予定だ』


 その場所を見た眷属の皆には先ほどよりもどよめきが走った。


 まあ、そうだろうな。


 『え、でもアース様……ここは』


 『うん、その通り』

 

 俺のフロアの建設予定地。


 それは―――――ここ。


 “エルド荒野の深層”――――――その更に、下。


 深層部分をダンジョンの入口にし、その遥か下に俺の居るフロアやエリベルの研究所を作る。


 それが俺とエリベルの考えた最奥フロアだ。

 これには、流石に皆ぽかーんとしてるな。

 その反応に気を良くしたエリベルが、上機嫌で説明する。


 「入り口部分と最下層フロアには、魔力的な回廊は直接繋がってはいないわ。仮に入口を破壊しようとしても、最下層までは被害が及ばない様にする予定よ。物理的にも、魔術的にも、ね。ふふふ、腕が鳴るわぁ……骨だけに」


 本当に楽しそうにエリベルは語る。


 入口とゴールが同じ場所にある。

 本当、エリベルって性格悪いわ。


 あ、勿論、褒めてるんだよ。


 それじゃあ、ダンジョンを作ろうか。






 全三百層になる超大規模転移ダンジョンについての説明を聞いた森の魔物達の反応


 蛇「……とんでもない奴の下に就いちゃったなぁ」


 犬「素晴らしい。この様な御方の群れに加われるとは……っ!」


 猿「………えっと?つまり、どういう事だってばよ?」


 蜘蛛「(お腹空いたなぁ……)」



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