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地龍のダンジョン奮闘記!  作者: よっしゃあっ!
第四章 二度目のダンジョン

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8.失敗から学んでゴーレムを作る

 ユグル大森林の魔物たちが進化したその日、俺は深層に帰って寝た。


 なんか、もう疲れた。

 俺って何回、同じ失敗繰り返せば気が済むんだろう……。

 いや、結果的にはいい方向に転がってるんだけどさ。


 そういえば、前世で俺の職場の上司が言ってたなぁ。

 『失敗をすることは別にいいんだ。そこから学んで、次へ生かせばいい』と。


 ………………うん。生かせてない。


 何だろうか、この何とも言えない感じは……?

 あ、あと進化したやつらが名前を付けてほしいって言ってきた。

 まあ、これからお世話になるし、名前が無いと不便だなという事で、名前をあげた。


 蛇がスー。

 猿がモン。

 犬がフェル。

 蜘蛛がテュラン。


 と、それぞれ名付けた。

 彼らもこれで正式の俺の眷属になった。

 そのせいで魔力が一気に吸われて、だいぶ疲れた。

 

 寝よう。

 寝て、また明日から頑張ろう。

 おやすみー。



 

 そして、次の日。


 おはよう。

 昨日はだいぶやらかしてしまった。


 反省しなくては。

 失敗は生かさなければいけない。

 

 なので、今日は普通にゴーレム作りに専念したいと思う。


 とりあえず、昨日デッサン型ゴーレム達が作った型に、魔石を埋め込む。

 埋め込まれたデッサン型は数秒してから動き出した。

 デッサン型は作りがシンプルな所為か、仕上げ部分だけ、つまり魔石を埋め込む部分だけを、俺が行えばそれで機能する。


 これで更に、作業の効率化が図れる。


 魔石も、デッサン型や子蟻達がある程度掘り起こしておいてくれたので、それを使えばいい。

 あっという間に、全てのデッサン型が動き出した。

 

 『これは楽でいいな』


 また、何十体かのデッサン型ゴーレムに型を作っておくように命じる。

 あと、魔石を掘り起こしておくことも。

 見れば、ダンジョンの修復も、まだ二日しか経ってないのに、かなり進んでいるようだ。

 そりゃそうか。

 人と違ってゴーレム達は疲れるという事を知らない。

 二十四時間フル稼働だ。

 その作業スピードは尋常ではないだろう。

 

 ただ、デッサン型のゴーレムはゴーレム・ホムンクルスと違って、俺からの魔力供給を受けていないし、自分で魔力を取り込むこともできない。

 なので、埋め込まれた魔石の魔力が切れれば、そこで機能を停止する。

 言い方は酷いかもしれないが、彼らは使い捨てのゴーレムだ。

 それでも、エリベルの見立てでは、最大一か月ほどは稼働するらしい。

 廃棄になったデッサン型は再び砕いて、型にして魔石を埋め込めばまた動かすことが出来る。

 

 うん、便利。


 あとは、彼らが使う簡単な工具とかを作っておく。

 魔石を使ってない、普通のツルハシやスコップ、ネコグルマとかだ。


 魔石を使わない分、ゴーレムよりもはるかに早く作る事が出来る。

 作った工具をデッサン型達に渡す。


 これで良し、と。


 後の作業は子蟻達と、デッサン型ゴーレムに任せ俺は転移門を潜って移動した。

 


 今日、俺はウナが調査に来ている湿地帯にやってきた。


 レーナ湿原と言うらしい。


 位置的にはユグル大森林のほぼ隣。

 見渡す限り、一面の湿原が広がっている。

 なかなか穏やかな気候だ。


 『うーん、良い景色。これで霧とかが出てれば、雰囲気最高だろうな』


 転移門の場所は、湿地帯の中にある無数の岩場の中でも大きめのサイズの岩の上。

 湿地帯故にダンジョンを作るには適さなかったため、転移門を作ったまま、放置していたそうだ。

 まあ、泥だもんな。掘るには向かないか。


 魔物の気配も少ない。

 ウナに調べてもらったが、魔物は強くても中級程度の魔物しかいないという。

 それと渡り鳥っぽいのが数体居たそうだ。


 『さて、ウナはどこかな………?』


 魔力感知を発動する。

 あれ、結構近くにいるな。

 周囲を見るが、それらしい人影はない。

 ここは視界を遮るような障害物も少ないし。



 …………ん?ああ、そうか水の中か。


 潜ってるのか。

 思念通話でウナに呼びかける。


 『おーい、ウナ。すまんが、出てきてくれー!』


 すると、俺が座っている岩場の直ぐそばの水がぼこぼこぼこと泡立った。

 そこからウナが姿を現す。


 「ぷはぁっ!……お父様!?いらしていたのですか?」


 『ああ』


 「す、すいません!本来ならこちらから出迎えなければいけませんでしたのに……」


 謝罪の言葉を述べながら、ウナが近寄ってくる。

 だが、俺の傍による前に自分の状態に気づいたのか、ぴたりと止まった。


 今のウナは、ずぶ濡れの状態だ。


 水の中に潜っていたせいで、アオザイの服が体のラインにぴっちりと張り付いている。

 ウナは元々スタイルがいいから、濡れて服が張り付くと、尚更体の凹凸がはっきりと浮き出る。

 下着もつけてないみたいだし。

 肌に張りついた金髪の髪が、艶めかしい色香の様なものを漂わせている。


 「あ……。お、お父様少々お待ちください。す、直ぐに服を乾かしますので……っ!」


 そう言ってウナは、自身に浄化の魔術を掛ける。

 更に、水属性の魔術で自分の服から水分を排出し乾かす。

 気のせいか、その顔が少し赤い。

 俺はその様子をじっと眺めていた。

 水でぴっちりと張り付いて見えるウナのボディライン。

 そんなのを見て、考える事なんて一つしかない。


 うーん……、もう少しボディバランスをしっかり考えて作ればよかったなぁ。


 腰から尻にかけてのラインや、頭身のバランスがまだまだ甘い。

 当時は最高傑作だと思ったけど、今の俺ならもう少しうまく作れそうだ。


 いや、別にウナ自身に不満があるわけじゃない。

 愛着もあるし、今では大切な眷属だ。

 なんだけど、どうしても今ならもっとうまく作れるぞって、思っちゃうんだよなぁ。

 より良いものを、もっと上手く。ついそう考えてしまう。

 そう考えているうちに、ウナは服を乾かし終えたようだ。


 「すいませんお父様、お待たせしました」


 『大丈夫だ。ところでなんで水の中に?』


 「水深と、水棲生物の調査をしていました。この湿原は魔物の種類は少ないですが、昆虫や植物、微生物の類は相当な数が生息していますので」


 『ああ、成程』


 ウナは記憶送信で調べた生物や植物のデータを送ってくれた。

 うわっ……とんでもない数だな。

 あとでエリベルに渡しておこう。


 「ところで、お父様はどうしてこちらに?エリベルさんの設計図が完成したんですか?」


 『いや、設計図は明日出来るって言ってた。今日は別件だな』


 「別件ですか?」


 『ああ』


 ちょっと試してみたいことがあったのだ。

 これは俺一人ではできない。

 ウナの力が必要なのだ。


 『実はな、この湿原の“泥”でゴーレムを作れないかなと思ってな』


 俺の発言にウナは首をかしげる。


 「泥で、ですか?」


 『そう』


 レーナ湿原は魔物の数が少ない。

 その為、ダンジョンに利用するのであれば、こちらで防衛用の戦力を用意しなければいけない。


 だが、いきなりアンの子蟻達やダンジョンで作ったゴーレム達を配置しても意味が無い。

 かえって目立ってしまい、逆に違和感が出てしまうだろう。


 なので、俺はこの湿原の泥を使ってゴーレムを作れないかと考えたわけだ。


 泥ならば不定形で普段は湿原の中に隠れていられるし、必要な時だけ出現するように出来るだろう。

 この湿原にも違和感なく溶け込めると思ったのだ。


 ただ、これは俺一人ではできない。

 何せ俺には、泥を人型に留めて置く為の魔術が使えないのだ。

 ここの泥は水分が多く、人型にしようとしても、直ぐに流れてしまう。

 逆に固めようと水分を飛ばして作れば、稼働してから水に溶けてしまう。

 

 泥のままで作る事が出来ないのだ。


 そこで、水魔術が使えるウナに頼んで、その泥を水魔術で固定してもらおうと思ったのだ。

 それをウナに説明する。


 「わかりました。では私は、この泥を人型に押しとどめればいいのですね?」


 『ああ、出来るか?』


 「勿論です。泥でしたら、私の水魔術で操作可能です」


 そう言ってウナは泥に魔力を込め、それを少しずつ人型にしていく。


 その間、俺は思念通話でウナにゴーレムの形や、大きさを細かく指示。

 ウナがその指示に従って泥を動かす。

 

 それからしばらくして、大きさが約七メートル程のゴーレムが出来上がった。


 『よし、あとは魔石を埋め込めば完成だ』


 「無事に動きますかね?」


 『多分、大丈夫だろ』


 俺はエルド荒野で掘った超高純度の魔石を、ゴーレムの胸元目がけて投げる。

 魔石は見事ゴーレムの胸元に命中し、そのまま、ずぶずぶと中へ入ってゆく。

 そして、魔力を込める。


 数秒の後、ゴーレムが動き出した。


 『よし、成功だ』


 「やりましたね、お父様!」


 自分も頑張ったせいか、ウナの声も弾んでいる。


 『よし、それじゃあ、泥ゴーレム!お前の仕事はこの湿原の防衛だ!敵意をもった冒険者や魔物がこの湿原に現れた際には、そいつらを撃退してくれ!あ、それと普段は湿原と同化して目立たない様にな!』


 ゴーレムはゆっくりと頷いたのち、その体を湿原へと同化させてゆく。

 

 『さてと、一体だけじゃ戦力としては不十分だし、もう少し作るか』


 「はい!」


 こうして、俺とウナは夜が更けるまで、泥ゴーレム作りに励んだ。

 その結果、この日一日で十三体の泥ゴーレムを作る事が出来た。

 ウナも勝手が分かってきたらしく、最後の方は俺がアシストしなくても、自分で泥ゴーレムを作れるようになっていた。

 

 『ウナ、それじゃあ明日からもここの防衛用のゴーレム製作を頼んだぞ』


 「はい!お任せください、お父様!」


 ウナは元気よく返事をする。


 さて、それじゃあ、明日は別の場所に行くか。

 今回のヤツを応用すれば色々なゴーレムが作れるな。

 雪山の頂上付近なら雪ゴーレムが作れるし、火山の火口付近なら熔岩ゴーレムが作れる。


 せっかくだ。明日もいろいろ作ろう。

 雪は何とかなりそうだけど、熔岩はトレスの協力が必要だな。

 

 「ところでお父様」


 『どうした?』


 「ふと、思ったのですが、最初にお父様の錬金で鋳型を作って、そこに泥を流し込んでも良かったのではないですか?」


 あ。




 そして、次の日。

 俺は朝から晩まで、さまざまなゴーレムを作り続けた。

 いやぁ、やっぱゴーレム作りは楽しい。

 夢中になれるものがあるのはいい。

 気分転換に最高だ。


 そうして、夜遅くにエルド荒野へ戻ると、深層にエリベルがいた。

 その隣には、ボロボロになったベルク。


 「あら、遅かったわね」


 『ああ、防衛用のゴーレムを造ってた』


 「へぇ、そりゃいいわね。さて、アース。良いお知らせよ。ダンジョンの設計図が完成したわ!」


 『おおっ!』

 

 その言葉に俺は思わず胸が高鳴る。

 俺の反応が良かったのか、エリベルはにやりと笑う。


 「見なさい!これがアンタの新しいダンジョンよ!」


 そう言ってエリベルは、手に持った極彩色の球体を掲げる。

 極彩色の球体が光り輝く。

 アレって確か、遺跡にあった映像を映し出す球だったっけ?

 その極彩色の球体から3D映像の様に映し出されるダンジョンの見取り図。


 そこには俺のイメージ通りのダンジョンが描かれていた。


 『凄いな……、細部まで正確に描かれてる。これならゴーレム達への指示もずっと楽になる』


 「ふふん、当たり前よ。何といっても、天才であるこの私がデザインしたんだからね。素晴らしい出来栄えになるのは当然よ!」


 『ああ、凄い。流石、賢者。超天才!ニクいね、この!』


 「はっはっは、もっと褒めなさい!もっと褒めなさい!」


 上機嫌でハイタッチを交わす俺とエリベル。

 二人とも夜中でテンションがおかしくなっていた。


 よし。それじゃあ、明日からは、本格的な階層作りに入るか!


 魔石を食べて、期待に胸を膨らませながら俺は眠りについた。







 泥ゴーレム

 レーナ湿原の泥によって作られたゴーレム。

 体長は七メートルと巨体だが、他の泥ゴーレムと合体し、さらに巨大化することも出来る(合体制限数無し)。

 普段は湿原と同化している為、近づかなければ気づかないし、害も加えない。

 肉体が泥で出来てるため、殴られたり斬られても直ぐに再生する。

 核である魔石を砕かない限り、何度でも再生可能。

 ただし、魔石は体内を常に流動的に動いているため、狙いをつけるのは困難(これはベルクの戦闘形態を参考にした模様)。

 アースからの魔力供給が無くとも、レーナ湿原の魔力を吸収している為、半永久的に活動が可能。意外と低燃費なエコゴーレム。

 アースは他にも熔岩や雪でも同じタイプのゴーレムを作り、各エリアに配置した。 



 レーナ湿原の泥ゴーレムは、現地の生物からは守り神として受けが宜しいらしい


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