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地龍のダンジョン奮闘記!  作者: よっしゃあっ!
第四章 二度目のダンジョン

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6.二度ある事は三度やらかす


 ふぁ~、おはよう。

 なんかこのフレーズを言うのも久しぶりの様な気がする。


 さて、それじゃあ朝食の魔石を食べたら、作業を始めるとしますか。

 俺が最初にやるのは、労働力となるためのゴーレム作りだ。

 ダンジョンの本格的な製作は、多分二~三日後になるだろう。

 

 俺が出したアイディアを元にエリベルが設計図を描いてくれているからだ。

 結構複雑なうえに、それぞれの階層をきちんと作らなければいけないからという事で、エリベルに図面を起こしてもらう事にした。

 向こうも結構乗り気で、二日くらいあれば出来上がると豪語した。


 アレを二日で図面に書き起こせるのかとも思ったが、『戻るぜX』をわずか三日で完成させたエリベルだ。多分できるんだろう。

 ちなみにあの薬、普通の魔術師が作れば完成に数十年はかかる代物らしいとベルクから聞いた。

 そのベルクは多分今頃エリベルにこき使われている事だろう。

 

 まあ、頑張って貰おう。


 さて、それじゃあ久しぶりのゴーレム作りだ。

 と言っても最低限のパーツしかないシンプルな奴なんだけどね。


 当初、俺は今まで通り普通に作れば、一日二十体程が限度だと思っていたが、エリベルに言われた設計図通りに作る事で、作業量をその数倍に増やすことが出来た。


 デッサン人形のような簡素なデザインの人型ゴーレムだ。

 最低限のパーツのみで構成され、作りもシンプル。

 命令も最低限のモノしか聞けない。

 でも、胸の部分に埋め込む魔石は深層で取れた超高純度の魔石だ。

 動力源としては申し分なく、見た目以上の働きをしてくれる。


 彼らの仕事はもっぱら、このダンジョンの修復作業だ。

 アンの子蟻達と共にダンジョン内の壊れた個所や、地割れ部分の修繕に当たって貰っている。

 このダンジョンも、新しいダンジョンの入口兼トラップとして改造するからだ。


 しかし、デッサン人形が道具片手にダンジョン内をうろつく姿は、中々にシュールな光景だ。

 今度、工事のオッチャン達が被ってる帽子でも作ろうかな。

 不気味すぎる。


 『うーん……。簡単なゴーレムすぎて作り甲斐が無いなぁ』


 なんか手を抜いてるみたいな感じがして。

 ゴーレムに対しては結構なこだわりがある俺としては、複雑な気分だ。

 もっといい感じのゴーレムとか作りたいなぁ。


 でも、ダンジョンの完成の方が優先だし、ダンジョン作り終わった後でもっといい感じのゴーレムを作ろう。

 今なら“あのゴーレム”も作れそうな気がする。

 

 あ、そう言えば昨日久々に脱皮した。


 眷属たちと話し合った後、寝る前になんか体が痒いなぁと思ったら、案の定ぺりぺりっと剥けた。

 すっきり。

 身体も少し大きくなった。


 ただ、脱皮した皮や鱗はエリベルに取られた。

 『うっひょう!レア素材げっとー!研究じゃー!』とか言ってた。

 ちくしょう。


 俺が考えてる、あのゴーレム造るのにも、皮や鱗が必要なんだよなぁ。


 まあ、急ぐわけじゃないし、次に脱皮した時でいいか。

 作業はゴーレムと子蟻達に任せ、俺は転移門を潜り移動した。


 

 やってきたのは、トレス達の居る鍾乳洞だ。

 全部回ったが、ここが一番しっくりくる。

 なにより、日の光が当たらないというのがポイント高い。

 暗くてじめっとしたところって、落ち着くわー。


 トレスとぷるるは結構離れたところにいるらしいな。

 そのまま、探索続けてていいよ、と思念通話を送っておく。


 さてと、んじゃ掘りますか。

 掘る掘る掘る。

 掘った土は、とりあえず脇に置いておく。

 

 …………土魔術が使えれば楽だな。

 

 今のところ、俺たちの中で土魔術が使えるのはエリベルとベルクだけだ。

 俺は錬金以外魔術使えないし。

 今度教えてもらおう。


 掘った土を改めて見る。

 

 『うーん、やっぱり良い土だ』


 昨日は魔石の味だけで見てたけど、この鍾乳洞の土もなかなか良いものだ。

 なので、ここの土でも、ゴーレムを作ってみようと思ったわけだ。


 さてと、この土を人型にして、エルド荒野から持ってきた魔石を混ぜてと。


 魔石を埋め込まれた人型はすぐさまゴーレムとなって起き上がる。

 だが、その動きはエルド荒野で作られたゴーレムよりも幾分滑らかに思えた。

 成程、魔石だけでなく土の材質でもゴーレムの性能は差が出るんだな。


 これは嬉しい発見だ。


 『お、来たか』


 後ろを見ると、アンの子蟻達が魔石を持ってやってきた。

 転移門の方はうまく作動しているらしい。

 子蟻達やゴーレム達には、エルド荒野のダンジョンの修復と共に魔石の採掘も頼んでおいた。

 まあ、俺が掘るのよりかは、やっぱり品質や量は劣るけど、それでもこれだけの数があれば問題は無い。


 子蟻達は俺の前に魔石を置くと、すぐさま転移門をくぐりエルド荒野へと戻って行った。


 『さて、ゴーレムをどんどん作るかね』


 俺はアッド山脈の地下空間でひたすらゴーレム作りに勤しんだ。



 そして、三十体くらいのデッサン人形型のゴーレムを作った時、一匹の子蟻が転移門を潜ってやってきた。

 最初はゴーレム作りに夢中で気付かなかったが、後ろ足をガジガジと噛まれてようやく気が付いた。


 どうやらアンからの伝言を頼まれたらしい。

 俺はその伝言を思念通話で受け取る。


 ふむふむ……。


 なんでも、ユグル大森林で戦力になりそうな魔物たちを見つけたが、説得が難航しているようだ。

 そして、向こうが出した条件が、そちらの主を、つまり俺に会わせろという事らしい。


 まあ、確かに顔も見せないやつに従いたいなんて言うやつはいないよな。


 成程、最下級の魔物たちでも結構知恵はあるんだな。

 

 仕方ない、行くか。

 今は、それこそ猫の手も借りたい状況だ。

 レッサーゴブリンだろうが、スライムだろうが会いに行ってやろうじゃないか。


 作ったゴーレム達に、材料となる土を掘り起こしておくよう命令する。

 あと、掘った土を指定した形に整えておくように命令。

 これで、魔石を埋め込めばすぐに次のゴーレム達も起動できる。


 ゴーレム達が作業を始めたのを見て、俺は転移門を潜り、ユグル大森林へと向かった。


 しかし、やっぱり体を動かすのは良いな。

 体中に魔力が漲る感じがするわ。

 脱皮もした所為か、いつもよりも魔力が溢れている気がする。




 転移門を潜り、洞窟の外に出るとすぐそばにアンがいた。

 アンも俺に気付いて近づいてくる。


 『あ、アース様!お手を煩わせてしまい申し訳ありません』

 

 『あー、別にいいよ。ゴーレム作りもひと段落ついたし。それで、交渉してる相手って言うのは?』


 俺は周囲を見渡す。

 それらしい魔物の気配は………気配は………。


 あれ?

 何だ、この大量の魔物気配?

 魔力感知を発動させると、俺の周りを埋め尽くさんばかりの大量の気配。

 姿そのものは見えない。隠れているのか。


 でも、周囲に大量の魔物がいる。


 それも一種類だけじゃない。

 何十種類もの魔物気配がする。

 どういう事?


 『さあ、皆さん出てきて下さい!』


 俺が首をかしげていると、アンが思念通話を発した。

 がさりと、目の前の茂みから何かが出てくる。

 それは四体の魔物だ。

 蛇、犬、猿、蜘蛛の様な魔物が出てくる。

 アンが俺の前に出た。


 『これが私たちの主、アース様です。理解したでしょう、この溢れんばかりの魔力を!貴方達では束になっても勝てないという事を!』


 アンがなんか魔物たちに俺の説明をしてくれてるっぽい。

 誇張表現が含まれているような気がするけど、気にしないことにした。


 ん………なんか、こいつら結構な魔力を感じるな。

 どう見ても最下級の魔物には見えない。

 というか、感じる魔力の波動からして、将級くらいはあるんじゃなかろうか?


 でも、皆一様にびくびくと震えている。

 なにやら全員この世の終わりの様な表情を浮かべている。

 どうしたの?

 風邪でも引いてるのか?


 『アース様。彼らがこの森の“頂点”に君臨する四種族、デッド・スネイク、レッサーフェンリル、レッド・モンキー、グラトニー・スパイダーです』

 

 アンが説明する。

 ほうほう、頂点ね。


 …………………え?


 頂点?

 あの、昨日の話では最下級の魔物って言ってなかった?

 

 『あの……アン?どういう事?昨日、協力するのは多分最下級の魔物だろうって言ってなかった?』


 するとアンは、両手を胸のあたりでぶんぶん振りながら、アンは上機嫌で説明してくれた。


 『はい。ですが、やはりこの森をダンジョンとして活用するならば、先に頭を押さえておけば、あとは芋づる式に手間が省けるかと思いまして』


 …………はい?

 なんか、すっげー段階飛ばしたよ、この蟻。


 『なので、子蟻達と共にこの森の生態系を調べまして、頂点に君臨する四種族を見つけ、説得を試みました』


 ふむふむ。


 『それで、この四種族を見つけ、それぞれのボスと一騎打ちで戦いましたが………皆一様に手応えが無く、あっさり勝ってしまいまして』


 へぇ……やっぱ、アンは相当強くなってるんだな。

 見れば怪我一つ負ってないもん。

 ていうか、え、戦ったの?

 それって、武力交渉じゃ……?


 『そしたら、どの種族も負けを認めず、しまいにはアース様を出せと言う話になりまして………いっその事、全滅させてしまおうかとも思いましたが、これからの事を考えると殺すのは惜しいという結論になりまして』


 『それで、俺に連絡したと言う訳か』


 物騒な単語が聞こえたけどスルーする。

 確かに、顔も知らない相手に協力なんてできないもんな。

 ましてや、いきなり現れて、暴力に訴える相手に対してだ。


 こりゃ、協力は難しいかもな……。

 最悪ココはダンジョンから外すしか――――


 『やはり、アース様のお力は偉大です。見てください、アース様がこの地に来た瞬間、皆一様にアース様に忠誠を誓いました』


 『え、そうなの?』


 そう言われて、もう一度目の前の魔物たちを見る。

 全員頭を下げているので表情は見えないが、皆体が震えている。


 え、これ良いの?

 確認してみるか。


 『えっと、俺達のダンジョンに協力して貰えますか……?』


 この辺り一帯に聞こえるように思念通話を発する。

 その瞬間、魔物たちは覚悟を決めたかのように、ゆっくりと頷いた。


 本当だ。

 でも………成程、そういう事か。

 俺は、理解した。


 ………………こいつ等も緊張してるんだな、と。


 考えてみれば、こいつらが平和に暮らしてるところにいきなりやって来て、ダンジョン作りに協力しろ、なんて言っても納得なんて出来る筈が無い。

 俺がこれだけ緊張しているんだ。

 向こうだって緊張してるんだろう。


 とりあえず………こういう時は、食い物だな。

 うん。


 食べ物外交だ。


 俺は子蟻達に命じて、エルド荒野のダンジョンから魔石を持ってこさせる。

 深層の超高純度魔石だ。

 いくつか掘り起こしておいてよかった。


 そして、その魔石を目の前の魔物たちに渡した。

 魔物たちは驚いたような表情を浮かべる。


 『えっと、俺達が用意できるのはこの魔石位なんだ……。それでも、何とか協力して貰えないか?』


 魔物たちはゆっくりと、その魔石を口にする。

 ぼりぼりと咀嚼し、飲み込んだ。


 次の瞬間、彼らは、ばっと俺の方を見た。


 そして何やらお互いを見て、何かを話し合っている。

 暫らくした後、四種の魔物はお互いの顔を見て頷きあい、再びこちらを見た。


 『『『『bぃcfbzsbvZLSIefchaniuyhsv』』』』


 ぬおおおおおおおおおおおおお!!!

 なんか凄い量の思念通話が送られてきた。

 痛い!

 頭痛い!

 ていうか、この感じ……なんかデジャヴ。

 あ、そうだ。確かアンとはじめてあった時もこんな感じだったような…。


 『『『『これ………で……通じ………』』』』


 ん?

 なんか、声が四つくらい被って聞こえる。


 『地龍様、我らの声が聞こえていますか?』


 目の前の猿っぽいやつが、一歩前に出てくる。

 これって、もしかしてこの声って、目の前のこいつ等か?


 『あー、うん。聞こえてる聞こえてる』


 俺も思念通話で返す。

 すると、猿を始め、森の魔物たちは一斉に跪いた。

 うん?


 『『『『偉大なる地龍様、どうか我らをお導き下さい』』』』


 ……………………………はい?

 

 更に茂みに隠れていた他の魔物たちも一斉に現れて跪く。


 え、なに?どういう事?


 と、とりあえず、協力してくれるって事で良いんだよな?

 アンがなんか感極まった感じで俺を見ている。

 うん?


 えっと、良いのかこれ?

 大丈夫なのか?


 

 こうして俺は、ダンジョン製作一日目にして、ユグル大森林を手に入れてしまった。


 ……うん、多分順調だ。





 アースは “威圧(無意識)”を つかった!

 もりの まものは おびえている!

 アースは 餌(超高純度魔石)を あたえた!

 もりの まものは ちゅうせいを ちかった!


 ユグル大森林を 手に入れた!


 飴と鞭は交渉の基本。

 ただし、無自覚。


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[良い点] 毎回本編読んでニヤニヤしてるとこにあとがきでとどめ刺されて吹き出しちゃうw [一言] 今後も応援しております。
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