7.そして、物語が動き出す
エリベルさんだけ会話の文字数が桁違いに多い
誰だよ、こんな面倒なキャラ考えたの………
あ、それと投稿して気づけば一か月経ちました。
これからも、よろしくお願いします
やってきました深層。俺の部屋。
なんか久しぶりに戻ってきた気がするな。
とりあえず俺は、エリベル(骨)をそこら辺に置く。
「あ、ちょっと、もう少し丁寧に扱いなさいよ!ヒビが入ったらどうするのよ!今の私って最下級クラスのアンデッドよりも、更に脆いんだから!」
あー、はいはい。分かりました。
そっと、エリベル(骨)を床に置く。
んじゃあ、体を作るか。
とりあえず、土にエリベルの頭以外の骨を混ぜてこねコネコネと。
「……………へぇ……」
その作業をエリベルはじっと見てる。
まあ、今更見られたところで鈍る程俺のゴーレム作りの腕はなまっちゃいない。
とりあえずこねた土を、大雑把な人型にする。
さーて、どんなゴーレムを作ろうかな。
ここ最近は動物型のゴーレム・ホムンクルスばかり作ってたから、人型を作るのは久しぶりだ。
ふふふ、久々に大作に挑戦してやるぜぇ。
どんなのにしようか?
今までの人型で一番の大作は、やはり千手観音ゴーレムだろうな。
ギミック満載で、装備も盛りだくさん。
純粋なゴーレムでアレを超える大作を俺は久しく作っていない。
そういえば、アンが千手観音の様子がおかしいとかって昨日報告に来てたな。
…………後で行ってやるか。
あ、そうだ。
アンに言って上にある俺の皮とか爪を持ってこさせよう。
この前ようやく脱皮して、新素材が手に入ったんだ。
せっかくなので使ってみよう。
そう思って、アンに思念通話を送ろうとしたら、
「待って」
『へ?』
エリベルから声がかかった。
ん、どうしたの?
あ、待ってる間、暇だったとか?
お茶請けの魔石でも食べる?
「それでいいわ」
『え?』
俺はこねていた手を止める。
それでいいって、何がいいの?
「それでいいって言ったの。その状態の土人形を私の体にするわ」
…………は?
え?これでいいって、これで?
素材も何も使ってない、本当にただの土くれだぞ?
せいぜい、お前の骨混ぜて人型にしただけですけど?
『え?いや、でもせっかくだし色々手を加えて、何か凝ったやつを……』
「いいのよ。実は私も試したいことがあってね。本当にシンプルな奴でいいのよ」
えー、せっかくやる気出てきてたのに。
天使みたいに翼生やしたやつとか、めっちゃ筋肉質なマッチョな阿修羅像とか、いろいろ創作意欲もわいてたのになー。
『羽とか、尻尾とか、角とか本当にいいの?腕は?腕は八本くらいあった方がいいだろ?』
「………止めといてよかったわ。ええ、本当にそれで構わないわ」
まあ、本人の希望なら仕方ないか。残念。
とりあえず俺はエリベルの言うとおり、体の頭部部分にエリベルの頭蓋骨をおいた。
すると、エリベルは何やら詠唱をつぶやき、自分と土くれの接続をしたようだ。
ぐにょぐにょぐにょ、と。
先ほどまでただの土だった体が、立派な骨の形になってゆく。
…………て、え?
『なんで骨!?』
ずずずずずと俺のこねた土くれは、あっという間に人体模型の様な人型の骨になった。
すげー、俺のイメージじゃあここまでリアルに再現できないわ。
へぇー肋骨の形ってああいう風にすればいいのか。勉強になる。
流石、賢者。
そのイメージ力はまさに霊王級ということか。
「………なんか今、果てしなく馬鹿にされた気がするわ」
『気のせいだ。んで、なんで骨の形にしたんだ?』
「え、なんでって、そりゃあ、今の私って骨でしょ?だったら体だって骨にした方がいいでしょー。私の頭部に合わせて、土魔術の“錬金”で肉体を骨にしたのよ。まあ、正確には骨の形をした金属って言った方が正しいかしらね」
骨の姿でモデルっぽいポーズをとるエリベル。
おい、それでいいのか?
普通は肉付して、人間っぽい見た目とかにするんじゃないのか?
だが、エリベルは満足そうだ。
「うん。骨も中々悪くないわね。風通しもいいし、美肌っていうの?真っ白でカッコいいじゃないの!」
あ、そっか。
この人、変人だったんだ。
忘れてたわ。
「なんか馬鹿にされてる気がするわ」
『気のせいだ』
「…………よし、これなら大丈夫そうね」
エリベルは一通り体の動きを確かめた後、こちらを向いた。
「ねえ、私の残した“進化の魔石”ってまだ残ってるの?」
『ん?あるぞ。まだあと二~三個は残ってる』
進化の魔石はエリベルの遺跡ではなく、この深層に持ってきてる。
他の奴らが勝手に食べない様に、錬金で作った箱の中にしまっておいたのだ。
俺は箱の中から進化の魔石を取り出しエリベルに渡す。
「ん、オーケー。それと普通の魔石ってまだあるの?普段あなたが食べてるようなヤツがいいわね。出来れば結構多めにほしいわ」
『あるよ。ていうか、この辺り掘ればいくらでも出てくるぞ』
ざっくざっくと魔石を発掘。
はい、出た。
俺はそこら辺を適当に掘って魔石をエリベルに渡す。
二十個位渡した。
「…………こんな簡単に魔石を掘り当てるって……本当に、あんたって化け物ね。それを自覚していないところが特に……」
『は、何がだよ?』
魔石位掘ればいくらでも出てくるだろ?
そこらじゅうにあるんだから。
「……はぁ、何でもないわ」
エリベルは俺が渡した魔石を手の中で転がしながら観察する。
「マジで、とんでもない純度ね、この魔石。エルド鉱山の魔石の生成サイクルは知ってたけど、隣のエルド荒野の地中にもこれ程の魔石があったなんて……」
『その言い方だと、二百年前はそうでもなかったのか?』
「ええ、私が生きてた時は、この辺りの魔素濃度は平均より少し少ないくらいだったわね。なのに、この二百年でこんなに変わるなんて………地脈?いえ、濃度の関係から見て、星脈の方かしら……でも……濃度変換効率はエルド鉱山の方が高いわめ……でもそれなら……」
ぶつぶつと独り言をつぶやくエリベル。
おーい戻ってきて。
「あ、ごめんなさい。ついつい考え事をしてたわ」
ああ、別にいいよ。
その間、俺別の魔石掘ってたし。
俺の夕食用の。
『んで、その魔石と“進化の魔石”をどうする訳?』
「ん?決まってるでしょ、食べるのよ」
『え?』
そう言ってエリベルは俺が渡した魔石をぼりぼりと食べ始めた。
なんだ、お腹が減ってたのか?
そう思ったが、エリベルは魔石を食い続け、最後に“進化の魔石”を口にした。
なぁっ!?
『おい!何やってんだ、アンタ!』
俺はそれを見て驚いてしまった。
当然だろう。進化の魔石の成功率はたったの一割。
十パーセントだ。失敗したら死ぬ。
それは彼女自身が一番よくわかっている筈だ。
何せ、彼女が作ったんだから。
それなのに、どうして?
だが、次の瞬間、さらに驚くべき事態が起こった。
エリベルの体がまばゆい光に包まれたのだ。
『これは………っ!』
この現象を俺は知ってる。
進化だ。
アンやぷるるの時と同じ。
進化が成功した時の光だ。
暫らくした後、光は止み、エリベルは腕を組んで立っていた。
「やっぱり思ったとおりね……」
間違いなく、彼女は進化していた。
先ほどとは感じる魔力の桁が違う。
一体どんな種族に進化したんだ?
「う~ん、この魔力から見て、進化したのはアーク・スケルトンかしら。リッチーじゃなかったわね。それでも、将級指定種か。まあ、復活したてだし、最下級種からの進化ならこの辺りが妥当なところかしらね」
エリベルは自分の身に起こったことをしげしげと観察している。
まるで、こうなることが分かっていたかのような口ぶりだ。
『成功するって分かってたのか?』
「まあね」
なんてことの無い様に彼女は言う。
「そもそも、進化の魔石の原理って、あなた本当に理解してる?私の研究成果見たのよね?」
『………えっと、喰えば魔物が進化するんだろ?成功率一割で』
「そりゃ魔石の効果の話でしょ!どういう原理で進化するかって聞いてるの!」
『えーっと………』
そう言われれば困るな。
いや、理解はしてる。理解はしてるんだよ?
でもそれを改めて説明しろって言われたら、えーっとなんて言えばいいんだろう……。
知識はあるし、意味も分かる。
でもきちんと説明しろって言われたら……う~ん、難しいな。
こういうのが、俺がエリベルにアドバイザーになって貰いたかった理由の一つなんだよね。
悩んでる俺を見かねたエリベルは、ため息をついて語りだした。
「はぁ……。いい?進化の魔石は魔物の肉体構成そのものを“強制的に組み替える”魔石なの。進化ってのは本来、何百世代と時を重ねておこるモノ。それを一世代で強制的に引き起こすのが進化の魔石。ここまではオーケー?」
『はい』
「そして、進化を強制的に促す場合、細胞や魔力の変質には莫大なエネルギーが必要になるわ。死亡率が高いのはこれが原因。簡単に言ってしまえば、進化する際のエネルギーが肉体に足りてないから、燃料不足になり死に至ってしまうの。進化の魔石の効果は、一度始まったら止められないからね。肉体のエネルギーは空なのに、無理にエネルギーを絞り出そうとして、自己崩壊してしまうのよ。それを何とかするために、研究を重ねてたんだけど、結局その方法が見つけられなかったの………あなたの記憶を見るまでね」
『へ、俺の記憶?』
ていうと、あれか。
アンやぷるるが進化したあの時の。
ん、でも、それがどうして今の話に繋がるわけ?
あれは偶然じゃなかったって事か?
「超高純度の魔石を大量に摂取することで、必要なエネルギーを外部から補う。正直、机上の空論だと思ってたんだけどね。まさか、実践するバカが居るとは思わなかったわ」
大量の魔石の摂取?
あ、そういえば確かにアンもぷるるも進化の魔石を食う前に大量の魔石を食べてたな。
「それに加えて、眷属と主のバイパスを通じて、更に不足だった場合の魔力の肩代わりを行うか……成程ね。睡眠や異常な食欲はそれが原因か……いや、それ以外にもあるか。あんた本当に面白いわね。普通だったら絶対できない方法だわ。そもそも、こんな高純度の魔石も、あんたみたいにバカみたいな魔力量を持った主も、そうそう居る筈が無いしね。少なくとも私の生きてた時代には無かった。まさに、例外的な方法ね。まあ、研究データとしてはかなり有意義だわ」
『あ、はい。そうですか』
「……あなたアレ意識してやってなかったのね」
エリベルはあきれ顔だ。
………正直、何言ってるかあんまりわかんなかったけど、とりあえずエリベルは進化した。
うん。とりあえず、それでいいじゃないか。
「あ、あんた今考えることを放棄したわね?」
ばれてらっしゃる!
鋭い。流石、賢者鋭い。
「考えることを放棄することは、最も愚かな行いよ。考えること、悩むこと、後悔すること、これは思考する者に与えられた義務であり幸福なんだからね。勿体ないじゃないの」
『おお、なんかまともな事を言ってるっぽい。流石、賢者』
「ふっ、よせやい。照れるわ」
あ、賢者ちょろい。
「ま、とりあえず私も十分な体も手に入れたことだし、それじゃあ改めて今後について話しましょうか?」
あ、ようやくそこか。
ていうか、体はやっぱりそれでいいのか……。
久々に熱入ってたんだけどなぁ。
石像シリーズ。
うん、せっかくだし後で作ろう。個人的に。
「それじゃあ、とりあえず私が協力する報酬ね」
『お、おう。いきなり、そこか』
エリベルは俺の前に指を三本立てる。
「報酬は三つ」
『三つ?なによ、あんまりむちゃなのは無理だぞ?』
「別にそうたいしたことじゃないわよ。一つ目、とりあえずあなたを解剖させて」
大したことじゃねーか!
死ぬわ!
『すいません、無理です』
「ダメか。生きてる地龍の個体なんて見たの初めてだし、色々有意義なデータが取れると思ったんだけどなぁ」
わきわきと手を動かしながら語るエリベル。
あ、ヤバい。この人、本当にヤバい。
アレは完全に殺る気の眼だ。
『あの、解剖はさすがに無理なんで、せめて鱗とか皮とかで我慢してもらえませんか?』
「………眼球とか、内臓とかは?あと脳みそ」
『勘弁してください』
即、土下座。
だから、死ぬって!
「ふーん、まあ、今はそれでいいか」
今は?今はってどういう事?
ねえ、どういう事?
「んじゃ、次に二つ目。このダンジョンに私専用の研究室を作る事」
『研究室って言うと、お前がいたあの部屋みたいなやつか?』
「そう、機材とかは錬金でなんとかするから。とりあえず一室、と言うか階層丸ごとひとつ位欲しいわね。出来る?」
まあ、それくらいなら問題ないだろう。
俺は首を縦に振る。
「よし、おっけ。んじゃあ、最後。三つ目ね」
『ああ』
「三つ目は、まあこれは私の個人的な理由なんだけどね。ちょっと手伝ってほしい事があるのよ」
『手伝ってほしい事?』
「そう」
そう言ったエリベルの体から、黒いオーラがにじみ出る。
なんだ?
………これは、怒りか?
「………二百年前の“後始末”。それだけは、どうしてもつけなくちゃいけなくてね。そもそもそれが、私が“不死化”しようとした理由の一つでもあるんだけど」
先ほどとは打って変わった別人のような声音だ。
『それってどういう―――――――』
俺が訊ねようとした瞬間だった。
通信が入った。
傍に置いていた通信魔石が光る。
………これは、ウナか?
俺は通信魔石を手に取る。
『お父様!ウナです!今宜しいでしょうか!』
ウナの声は、随分慌てていた。
『どうしたんだ?ウナ、そんなに慌てて?』
『お父様!緊急事態です!軍が………』
『え?』
『軍が……人間達の軍隊が、お父様のいるエルド荒野に向けて進軍しています!』
…………………………はい?
訂正と謝罪文
前回のあとがきにザ・ヒロインズと書きましたが、感想欄にて「ベルクが入ってないじゃないか」というコメントを多数頂き確認したところ、4ゴーレム(おっさん)という項目が抜けているという重大な過失が発覚致しました。
これに対し、賢者エリベルさんからも「あってはならない事。誠に遺憾だ」とのコメントを頂いており、すぐさま訂正すると共に、読者の皆様に多大不信感を与えた事をここに謝罪いたします。
今後とも「地龍のダンジョン奮闘記!」をよろしくお願いします。
あ、次回から戦争です
地龍「……………はぁ?」




