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地龍のダンジョン奮闘記!  作者: よっしゃあっ!
閑章 アンのダンジョン防衛記! その2

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5.VSアクレト・クロウ その出会いは突然に訪れる


アンさん視点のお話になります。

と言っての前話のすぐ後のお話です。多分これも四話くらいになりそう。



 ふぅ……、何とか始末できた。

 私は深呼吸をしながら気分を落ち着かせる。


 土蟲とは何度も戦ったが、冒険者を相手にしたのはこれが初めてだ。

 子蟻たちから信号を受け取った時は、かなりドキドキしたが、何とかなった。


 ……正直、弱いやつらで助かった。


 仕掛けもうまく作動したようだし、何とか倒すことが出来た。

 落とし穴も、擬態も中々に上手くいった。

 でも、それでも多くの子蟻たちを死なせてしまった。

 死んだ蟻たちのほとんどは、私が進化する前、すなわち強化される前の通常のキラーアント達だ。

 正直、群れとしての損害で言えば、ほぼゼロに近い。

 それでも、私が産んだ子であることに変わりはないんだ。

 それも私が地龍様にお仕えしてから、ずっと一緒だった子達だ。


 ………ごめんなさい。

 

 私は心の中で死んだ子蟻たちに謝罪した。

 地龍様は眠っておられるようだし、報告は起きてからにしよう。


 ………無理に起こして、嫌われたくないし。


 地龍様はどう反応なさるだろう?

 褒めてくれるかな?

 それとも、子蟻たちを死なせてしまったことを責められるかな。


 「無事に始末できたようですね」


 柱の陰からウナがぴょこっと姿を現した。

 金髪の髪に、地龍様曰く、アオザイと言う衣装を身にまとった美女だ。

 と言っても人間ではなく、ゴーレム・ホムンクルスと言う、地龍様の皮から作られた、いわば地龍様の娘と言うべき存在だ。

 種族が違う私から見ても、本当に目を見張るほどの美貌だ。

 何より、その笑顔が眩しい。


 相変わらず、可愛いなぁ。


 『ええ、ウナ。貴方のおかげで助かりました。最後のあの一瞬の硬直、アレは貴方の仕業でしょう?』


 そう言われて、ウナはどことなくばつの悪い顔を浮かべる。

 おや、どうしたの?


 「はい。その……アンさんには不要かと思いましたが、つい手が出てしまいました。申し訳ありません!」


 がばっ、とウナは頭を下げた。

 え、ちょっと!何をしてるのあなたは!?

 なんか、この子は妙に私に敬意を払ってる。

 もっと、こう、気さくな感じに接してくれても構わないのに。


 『い、良いですよ!助かりました。頭を上げてください!』


 そういうとウナは、どこか照れた表情を浮かべる。

 うーん。こういった表情は、年相応に見える。


 「そう言って頂ければ幸いです」


 私は頷く。


 『それで、この冒険者たちの始末ですが』


 そう言って私たちは、冒険者の死体を見つめる。

 全部で四体か。


 「汚らしいですが……装備品は使えそうですね」


 『ええ、肉は子蟻たちに与えるとして、装備品は何かあった時の為に、とっておきましょう。特にこの剣は………』


 そう言って私は、女の冒険者が持っていた剣を手に取る。


 「その剣……!」


 ウナも気が付いたようだ。

 やはりそうだ。これは地龍の骨と鱗で作られている。

 だが、地龍様とは違う龍だろう。


 でも、冒険者がこの剣を抜いた時には、つい動揺してしまった。

 例え地龍様ではないとわかっていても、怒りが込み上げてしまった。


 まだまだ修行不足だ。


 うーん、私が使ってもいいかなぁ。


 でも一応、地龍様に伺いを立てよう。起きた時に。


 「……うぅ……」


 『ん?今の声は?』


 声のした方を見る。

 そこには、もう一人の女冒険者が倒れていた。

 この女、確か魔術師だったか。

 まだ生きていたのか。

 おそらく先ほど、男の冒険者がかけていた謎の液体。

 それのおかげで、一命を取り留めたというところか。


 「………息がありますね。止めを刺します」


 ウナが右手を垂直に構える。


 『いえ、ちょっと待って下さい』


 私は止めを刺そうとする、ウナを止める。


 「え?なぜです、アンさん?」


 『どうせ殺すんです。せっかくだし、有効活用しましょう』


 そう言って私は、千手観音ゴーレム(地龍様命名)を呼び寄せる。

 ゴーレムは『なーにー?』と言った表情?でこちらを見ている。

 いや、ゴーレムだから表情は無いんだけど。


 『千手、これを取り込みなさい』


 「え!?」

 

 この発言にウナは驚いた様子だ。


 『え、そんなに驚くことですか?』


 「驚きますよ!どういう事ですか!?」


 『どうするも何も、千手にこの冒険者を取り込んでもらうんですよ。といっても、魔力と魂だけですけどね』


 「出来るんですか!?」


 『普通に出来ますよ?』


 というか、ウナは知らなかったの?

 地龍様が中層整理(在庫処理)の為に表層へと、私たちに運ばせたゴーレム達。

 彼らの一部は装飾などに大量の魔石を使われ、疑似的だが意志の様なモノを持ってる。


 本来のゴーレムではありえないが、地龍様のお創りになったゴーレムだ。

 そういう事もあるだろう。

 

 そして、彼らの動力源になっているのは魔石だ。

 普通に動く分にはダンジョン内に満ちている地龍様の魔力で十分だが、千手を始め何体かのゴーレムは、自分から土蟲などを狩り、積極的に魔物の魔力や魂を取り込んでいた。


 だから、きっと冒険者の魂や魔力も取り込むことが出来るだろう。

 ただし、魂は生きている個体に限られるけど。


 雑魚とはいえ、少しは足しになる筈だ。


 千手は無数の手を冒険者にかざし、その魂と魔力を吸い取り始めた。


 「………ぅぁあ………あぁぁぁあああああ………」


 何やら冒険者が呻いているが、まあ問題ないだろう。

 ウナも驚いた様子で見ていた。


 「………すごいです。こんなことが出来るなんて……」


 『多分、地龍様の肉体を分けられたウナ達には出来ない事でしょう。すでに貴方達には魂や自我と呼べるものがありますしね。自我や魂が薄いゴーレムだからこそ出来る芸当とも言えますね』


 そう言っている間に、千手は“食事”を終えたようだ。

 心なしか肌がつやつやしている気がする。石なのに。

 あ、げっぷした。

 足元にはカサカサになった冒険者だったものが転がっている。


 うん、どうやら成功したみたいだ。

 

 満腹になった千手は定位置へと戻っていった。

 へぇ、今回のポーズは面白いな。

 身体の側面を強調するように、手を組み、右足を前に出している。

 何だっけ?なんか、筋肉を強調するようなポーズだ。

 見てくれる人も少ないのに、あの子もよくやるなー………。

 千切れたり、切られた腕は数日もあれば、ダンジョンに満ちる地龍様の魔力で治るだろう。


 さて、あとは片付けと……ああ、そうだ。崩れたフロアを直さなくては。

 効果的な仕掛けだが、再び設置するのが中々に手間だ。


 この辺りは、もう一度検討してみよう。



 『さて、それでは――――』


 私は次の指示を子蟻たちに出そうとした。


 次の瞬間だった。


 ドゴオオオオオオオオオンンンン!!!


 まるで何かが爆発するような音が、表層に響いた。


 「なっ!?」


 ウナも驚いた様子だった。

 一体何が!?

 まさか、先ほどの冒険者の援軍?

 

 そう思った直後、子蟻たちから念話が届いた。

 一体何が起こったというの!?

 子蟻たちの信号を受信する。


 『――――――――――――』


 そして、私はその内容に目を見開いた。


 「………アンさん、どうしたんですか?」


 ウナは慌てた様子で、私に質問する。

 ちょっと待って。私も混乱してるの。


 どういう事?


 もう一度、子蟻たちからの信号を確認する。

 だが、返答は同じだった。


 いや、でも。


 そんな、バカな……。


 『………が攻めてきました』


 「え?」


 『………アクレト・クロウ』


 私はもう一度言葉に出して言う。


 『アクレト・クロウが攻めてきたと…………』


 「え………?」


 予想はしていた。


 でも、まさかこんなに早く来るなんて……。


 『ウナ!貴方は中層の警備を!私は上に向かいます!』


 「えっ!?ちょっと、アンさん!アンさーん!?」

 

 ウナに中層を守るように伝え、私は直ぐに、上層へ向けて走り出した。







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― 新着の感想 ―
こういう小説だったかぁ、人間と共存系かと思ったらバチバチにやり合いそうだなぁ
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