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地龍のダンジョン奮闘記!  作者: よっしゃあっ!
第二章 外界との接触

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9.地龍動く (※ただし出るとは言っていない)

 ダンジョンを増築し始めて、数か月後のことだ。


 それはこんな会話から始まった。


 『外に出たい?』


 「はい。」


 俺は現在最下層である二十三層でウナと話し合っていた。

 

 「お父様はご自身の安寧のために、我々にダンジョンの強化を御命じに成られました。しかし、我々が自分たちを強化しようとも、敵の情報がわからないままではどうにも……」

 

 うーん、確かにそうだ。

 俺は冒険者が怖くて引き籠ることを決めた。


 地面の下に籠っていれば、白飛龍やアクレト・クロウの脅威は避けられるかもしれない。

 白飛龍は基本的にこちらから手を加えなければ、無害な魔物だし、アクレト・クロウだってわざわざダンジョンを破壊してまで土の中に入ってきたりはしないだろう。


 でも冒険者、人族は別だ。

 彼らは積極的にダンジョンを見つけ、魔物たちを狩りに来る。

 

 この世界に来てから俺は人に会ったことがない。

 確かに情報だけは保有しているけど、それもいつの情報かわからないしな。

 エリベルの知識は貴重だけど、それが果たしてどれくらい通用するのかと聞かれれば答えるのは難しい。


 少なくともあの遺跡から、この世界がどれくらい経過しているのかだけでも知りたい。

 仮に数百年以上たっていれば、当時の知識なんてほとんどあてにならないだろう。

 古文だけ勉強して現代文を解けって言ってるようなもんだ。

 

 ………ダンジョンもだいぶ広がってきた。

 階層ごとの特色も出てきたし、防衛用の軍隊蟻やゴーレムにハイ・ゴーレム、ゴーレムホムンクルス達も充実してきた。



 一年くらいはこうしていようと思ったが、ここらで動いてみるのもありかもしれないな。


 「それにアン様との戦闘訓練により、私たちの力もある程度は増しているかと思います。今ならば、外に出たとしても、最悪逃げ切る程度の力は有しているかと」


 うーん。確かに感じる魔力の波動は、そこそこ増している。

 それに、アンと戦闘訓練してたのか。

 確かにアイツは、個体でも準王級の強さだしな。

 アクレト・クロウや白飛龍と遭遇したとしても、勝てはしなくとも、逃げ切るくらいの力は有しているだろう。


 『わかった。ただし出るのは少数精鋭だ。周辺の情報を集め、一定時間が来たらすぐに帰還する。また、出る際に必ず入り口を塞ぎ、周囲に悟られないこと。これでどうだ?』

 

 「それでよろしいかと。では次に人選なのですが………」


 俺とウナは外に出る具体案を練っていった。


 



 『では人選を発表する』


 いまおれの目の前には迷宮の主要メンバーが勢ぞろいしていた。

 俺、ゴーレム・ホムンクルスたち、アン、ぷるる、そして動物型の中でも高い知能を有するゴーレム達。


 『メンバーは三名、スリーマンセルでパーティーを組んでもらい、エルド荒野およびその周辺を探索してもらう』

 

 といっても出ていくのはゴーレム・ホムンクルスたちだけだけどな。


 パーティーメンバーは当然唯一の人型である三人のゴーレム・ホムンクルスたちだ。

 ウナ、ドス、トレス。


 パッと見どころか、どこからどう見ても生身の人間にしか見えない。

 人間の中に溶け込むならば、最適だろう。


 しかしドスも付いていくと言い出したのは意外だった。

 本当はウナとトレスの二人にしようと思ったほどだ。

 てっきりそういうのに全く興味がないと思ったからな。

 

 「……………外界、見たい」


 と言ってきたので入れることにした。

 トレスはぷるるも連れて行こうとしたがさすがにそれは許可できなかった。


 俺の癒し、もといぷるるはすでに王級指定種に進化している。

 他の奴らに見つかれば厄介だ。


 今回の目的は主に三つ。

 

 一、周辺地域の把握

 二、周辺人族の把握

 三、出来るのであれば人族と交渉し、外界の情報を持ち帰る


 まあ、こんなところか。

 まあ、細かい指示は各自に出しておいたしね。

 もし何かあれば“コレ”を通じて会話することもできるし、危なくなったらすぐに逃げればいい。



 『これを渡しておく』


 俺は三人にピンポン玉サイズの魔石を渡す。


 「父上、これは?」


 『通信魔石っていうもんだ。魔力を込めれば互いに会話することが出来る』


 異世界版携帯電話だな。エリベルの遺跡の隠し部屋にあった。

エリベルさんマジ有能。


 これで、何かあったときには直ぐに連絡を取ることが出来る。

 思念通話だと個人によって効果範囲が異なるしな。

 ちなみに俺は半径百メートルくらいが限界だ。


 まあ、ダンジョン内なら例外的にどこでも思念通話を飛ばすことが出来るけど。

 眷属であるアンも同様にダンジョン内なら低層から深層まで自由に思念通話を飛ばすことが出来る。


 ただ、それはダンジョン内に限った話だ。

 外では先ほどの様に範囲が限定される。

 でも、この通信魔石なら、魔力のあるところなら、どこであろうと会話することが出来るのだ。

 あと、ついでに予備の魔石も渡しておく。

 何かあった時の回復薬代わりだ。


 「成るほど、わかりました。それではお父様行って参ります」


 『ああ、気を付けてな』

 

 「ええ、勿論です」

 「そんじゃ行ってくるねーお父様ー」

 「………」(ぺこり)

 

 ドスは無言で頭を下げた。

 俺あいつが喋ってるとこ、ほとんど見たことないな。

 多分、無口な奴なんだろう。

 見た目が座敷童みたいなやつだから、合ってるっちゃ合ってるけど。

 でも、男性型なんだよなー。

 

 こうして、三体のゴーレム・ホムンクルス達がダンジョンの外に出た。

 


 え?俺?

 俺は出ないよ。お外怖いし。


 それに俺が外に出なくても、ウナ達と視覚を共有化して、外の景色を見ることが出来る。


 だから、俺は外に出ないで、テレビを見てるような感覚で外の情報をゲットできるのだぜ。

 

 


 さて、久々にみる外の景色はどんなだろうかね。


 俺は柄にもなくわくわくしながら、ウナ達の見るであろう景色を期待していた。



補足

アンさんはすでに兵隊アリを通じてエルド荒野内の地形調査を終了させています。

主人公にも報告しましたが、こいつ馬鹿なんで聞き流してました

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