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地龍のダンジョン奮闘記!  作者: よっしゃあっ!
第二章 外界との接触

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8.そんな時はBボタンを連打しよう

 

 ぷるるが可愛い。

 ここ最近はぷるるの世話ばかり焼いている。

 トレスもぷるるを気に入ってくれたようだ。

 よく二人で遊んでいる。


 非常に和む光景だ。みていてほっこりする。


 今まで迷宮になかった癒しがそこに存在した。


「お父様ーぷるるに餌やっていいですかー?」


 トレスが上目使いで聞いてくる。

 うん、あざと可愛い。

 許す。


 て、餌?

 餌か。そういえばスライムって何食べるんだろう?

 こういう時はエリペディアを検索と………。


 ふむふむ、スライムは雑食で基本何でも食べると。ただ比較的魔素濃度が強いものを好んで食べる、か。


 なるほどね。じゃあ魔石とかでもいいわけか。


 俺はそこら辺の土をほじくる。

 お、出てきた出てきた。


 最近はどこに魔石があるのかもわかるようになってきた。

 感覚鋭くなってきた気がする。


 もはやジャガイモ感覚で魔石を掘り当ててしまう。

 二~三十個もあれば十分かな。

 掘った魔石をトレスの前に置く。


 『よし、トレス。ここに魔石がたくさんあるから、これをぷるるに食べさせてあげなさい』


 「わーい」


 そういってトレスは嬉しそうに魔石を手に取る。

 トレスは見た目中学生くらいのゴーレム・ホムンクルスだ。

 本当はきちんと成体の形で作りたかったんだが、材料が途中で足りなくなってしまい、サイズそのものを小さくした結果、見た目が中学生くらいになってしまった。


 その為か、他の奴らに比べて性格がやや子供っぽい。

 ゴーレムも見た目に性格が左右されるんだろうか?

 ウナは見た目通りのしっかり者だし、ドスは寡黙な感じだしなぁ。


 「ほーら、ぷるるー餌だよー」


 ぽいっとトレスは、ぷるるに魔石を与える。

 ぷるるは嬉しそうに体を揺らして魔石を取り込んだ。

 体内に取り込まれた魔石はしゅうしゅうと音を立てて吸収されてゆく。

 なんか、アレだな。

 お風呂に入れるバ○みたいだ。あれ風呂場でやって楽しかったな。

 一回入れすぎて大変なことになったけど。

 そう言ってる間にもぷるるに取り込まれた魔石はどんどん小さくなり、やがて完全に消えてしまった。

 吸収されたか。


 ふむ、これがスライムの持つ固有魔術“悪食”か。

 エリベルの魔物図鑑に載っていたスライムの特性。

 史上最高の消化器官とも呼ばれ、木でも岩でも死体でも、どんなものでも吸収し、養分にしてしまう力。


 それがスライムの“悪食”だ。


 上位種になればなるほどその特性は強化され、過去最高ランクのスライムは町一つを丸ごと飲み込んでしまうんだとか。


 うーん、そうなったら可愛くねーな。


 ぷるるは今のままが一番かわいいよ。

 もともと癒しとして飼い始めたスライムだ。


 戦力としては期待していない。

 実際、スライムの戦闘力は魔物の中では下級も下級、最下級だ。

 キラーアントよりもかなり弱い。

 なんでも、子供の枝攻撃でも死んでしまう程に貧弱だとか。

 なんて残酷なことをするんだ。許せないな。


 ちなみに、上位種のハイ・スライムで下級の上、さらに上のヒュージスライムで中級、最上級のキングスライムでも中級上位だ。


 さっき言った町ひとつ飲み込んだスライムなんて、記録を見る限り千年に一体現れるかどうかの超激レアケースだしな。

ちなみに災害級個体だったらしい。


 「わー、ぷるるおいしー?」

 

 ぷるるんと体を揺らし、ぷるるは美味しいよーと表現する。

 らぶりー。

 癒されるわー。

 

 「ねーお父様ー、もっとぷるるに餌やっていいー?」

 

 『おー、いいぞー』


 俺はザクザク魔石を掘る。

 トレスは両手に抱えて魔石をぷるるに持っていく。


 ぷるるは再び大量の魔石を取り込む。

 まあ、魔石位ならいくらでもやって構わないだろう。

 それくらいでは、魔物は簡単に進化しないし。


 アンにやった魔石は“進化の魔石”と呼ばれる特別な奴だ。

 エリベルの研究成果で、数も少ない貴重な奴。


 ああいう特殊なヤツさえ与えなければいくらスライムとはいえ、そう簡単に………。


 「ほーら、ぷるるー餌だよー」

 

 そういってトレスは再びぷるるに魔石を与える。


 白色のこぶし大の魔石だ。

 ああ、そうそう。

 アンに与えたヤツもちょうどあんな感じの………。


 ぷるるはじゅうじゅうと音を立てて魔石を吸収する。


 ………て、ちょっと待て!


 「おい、トレス!お前、今やった魔石って………っ!」

 

 俺は懐の魔石を確認する。無い。懐(鱗の隙間)にしまっていたはずの“あれ”がなくなっている。


 「へ?」


 瞬間、ぷるるの体が光りだした。

 

 「うわああああああああああ!目がああああ!目が痛いよー!」

 

 あまりの眩しさにトレスが騒ぎ出す。

 

ちっ、遅かったか。


……しまった。


 うかつに手元に置いておくんじゃなかった。

 今トレスがぷるるに食わせた魔石は間違いなく『進化の魔石』だ。


 在庫が少ない貴重品だから、研究しようと手元に置いておいたのが仇になった。


 進化の魔石は文字通り、魔物を上位種へと進化させる特殊な魔石だ。

 エリベルの研究成果の一つであり、本来は存在しない人工魔石。


 そして、その進化の成功率はわずか一割。


 更に失敗すれば死ぬという、あまりにリスキーな魔石だ。

 エリベルは魔石の成功率を上げようとしていたが、結局彼女は生きてる間にそれを完成させることは出来なかった。

 

 つまり、失敗した瞬間、ぷるるは死んでしまうという事だ。

 何てことだ。

 俺の癒しが……。

 この世界に来て初めて、可愛いと思えた存在が………・


 数秒間続いた発光は次第におさまり、ぷるるの姿が見えてくる。

 ああ、ごめんよ、ぷるる。

 俺がうっかり懐(鱗の隙間)なんかに魔石を入れておくから……。


 ぷるるの魔力が感じられ………て、この魔力は………え?


 「ぷるー」


 この声はぷるるの声だ。

 

 ………生きてる?


 あれ?

 てことは、成功したのか?

 成功率たったの一割なのに?


 「へぁ?ぷるるー?」


 トレスが驚いている。

 そこにいたのは、一匹のスライム。

 ぷるるだ。


 だけど大きさが違う。

 バランスボールくらいだった体は更に一回りほど大きくなり、色が緑色から黒っぽい感じになった。

 ごぽごぽと体内の気泡が音を立て、発せられる魔力の濃度が先ほどまでと比べるまでもないほどに強大になった。

 

 「ぷーぷー」

 「わー、ぷるるがおっきくなったー。しゃべってるー」


 トレスは嬉しそうにぷるるに抱き着いている。

 

 ああ、ぷるるが……愛しのぷるるが、なんかちょっとだけキモくなった。

 その愛らしさは変わらないけど、できれば変わらないでいてほしかった。

 

 ん?でも一体ぷるるは、どんなスライムに進化したんだ?

 感じる魔力の波動は先ほどと比べるまでもない。


 ていうかこの魔力………下手すればアンに匹敵するんじゃないか?

 ここ最近、アンはずいぶん成長してきている。

 渡した剣を自由自在に使いこなしてたし。


 ぷるるの特徴と魔力の波動から該当しそうな魔物を図鑑からピックアップする。

 

 えーっと、これかな?



 グラトニー・ヘル・スライム

 王級指定種

 数千年に一度現れると云われるスライム種の頂点。

 スライムの固有術式“悪食”の頂点ともいわれる固有術式“万物吸収”を所有し、物質だけではなく、魔術、魔素も喰らうことが出来る。

 見た目は通常のスライムとそう変わらないが、内包する魔力は桁外れであり、過去このスライムが現れた際には、万単位での人族が犠牲と――――


 ―――ぱたん。

 俺は途中で説明を読むのをやめた。

 

 もう一度目の前のスライムを見る。


 相も変わらずトレスとじゃれついてる。

 

 …………もどして! 


 こうして俺のダンジョンに新たな戦力が加わってしまった。


 結果だけ見ればすごく順調なのに、俺はどこかやるせない気持ちだった。









主人公「くそうっ!Bボタン(キャンセル)はどこだ!かわ○ずのいしは!?」



ていうか懐(鱗の隙間)って何ぞ?

あ、次回から外に出るお話です

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― 新着の感想 ―
何か面白い小説は無いかと探していたが、ブクマ済みの作者さん(エタラ無い)の他の作品読めば良いじゃん、とこの作品に巡り会いました。 めっちゃ面白いです、一気に読んでしまいそうです(^_^)
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