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地龍のダンジョン奮闘記!  作者: よっしゃあっ!
第一章 地龍になりまして

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17.主人公は屑!はっきりわかんだね!

 さて、おはよう。

 ああ、喰いたいものを食いたいだけ食べて、寝たい時に好きなだけ眠る。


 最っ高だね!


 社畜時代の心が洗われるようだ。

 洗われるついでに、体がまた大きくなっていた。

 魔術に関する知識を詰め込んだからだろうか?

 一晩どころか数時間(体感で)でこの成長とは………。

 やっぱ龍ってすげー。


 さて、食べるか。


 ぼりん、ぼりぼりぼり。

 ごくん。


 『迷宮とその成り立ちについて』


 次の区画は迷宮に関する知識が描かれていた。

 

 ほう、次はダンジョンについてか……。

 そういえば、アンも迷宮がどうとか言っていたな。

 蟻の話だから聞き流してたけど。

 

 さてでは改めてと。


 この世界には迷宮ダンジョンと呼ばれるものがある。

 そのほとんどは洞窟、洞穴のような形状を取っており、中は魔物がはびこる魔窟となっている。

 だが、その高密度の魔素から形成される魔石は純度が高く、人間の間では高値で取引がされるため、冒険者と呼ばれる者たちはダンジョンに挑み、魔石を採取しているらしい。

 迷宮内には必ず核となるダンジョン・コアと呼ばれる魔石か、迷宮を支配するダンジョンマスターのいずれかないしその両方が存在する。


 ダンジョン・コアは迷宮内で採取される魔石とは違い、迷宮そのものを構成するための魔石である。


 地中深くで大量の魔力をためた結晶が、意志を持ち、ダンジョンを作るのだという。

 へぇー、ただの石が意志を持ちダンジョンを作るのか。

 なかなか興味深い話だな。

 石が意志………へへっ。

 

 迷宮の規模・強さは階層に比例するといわれ、より深く、より多くの階層を有する迷宮はより多くの魔力を有している。

 そのため、魔物の強さも比例して強くなるが、その分冒険者にとってのリターンも大きい。

 迷宮に生息する魔物は、外部から迷宮内に住み着いたものと、迷宮自身が生み出した魔物の二種類が存在する。

 

 ………へぇ、迷宮自身が魔物を生み出すのか。

 

 魔物を生み出す迷宮には必ずダンジョン・コアが存在するらしい。

 ダンジョン・コアの防衛本能のようなものか。

 生み出される魔物はランダムだが、ほぼ例外なく侵入者を迎撃するため襲いかかってくる。

 強さも深層に行けばいくほど強い魔物が生まれるようになる。

 また魔物が作った建物や、洞穴は全て迷宮と呼ばれる。


 つまり俺が作ったこのホームも迷宮に該当するということか。

 そういえばアンが……いや、どうでもいいか。


 迷宮は冒険者にとっての狩場であり、腕試しの格好の場所である。

 年数を経た迷宮はより強く攻略されにくいが、出来たばかりの迷宮は冒険者の格好の獲物であり、そういった迷宮はある程度の力を蓄えるまで、その存在をひた隠しにする。

 

 まるで、迷宮自身が意志を持っているような話だな。

 いや、核となるダンジョン・コアと呼ばれる魔石が意志を持っているのだから、それがそのまま迷宮の意志となるわけか。


 では後者は?

 魔物が作った迷宮はどうなのだろうか?

 例えば俺みたいに、迷宮とかそんなの知らないままただ巣として作っただけだった場合とかは…………。


 もし仮に俺のホームが迷宮と勘違いされて、冒険者とやらが大量に押し寄せてきたら?

 

 …………考えただけでもぞっとするな。

 俺はただ静かにぐーたら寝て過ごしたいだけだ。

 争いごとなんぞ御免こうむる。

 この知識は今後の方針にかかわるな。

 俺ってかなり人間にとっては美味しい素材みたいだし。

 良いことを知った。

 

 ………どうするか。


 更に説明を読むと、迷宮というのは、そこに存在するだけで魔力を発しているらしい。

 つまり、俺の家、いやダンジョン、か。

 ここも、このままではいずれ冒険者に見つかってしまう可能性が非常に高いという事だ。


 

 うーん。

 何かいい策はないものか?

 

 迷宮、ダンジョンマスター……



 そうだ!

 いい考えがひらめいた!

 低層には確かアンがいたな。

 アイツを囮に使おう!



 アイツをダンジョンマスターに仕立てて、冒険者が来たら撃退してもらおう。

 そして俺はその下で悠々自適に暮らす。

 それでいこう。

 なんか本人もやる気みたいだったし、ちょうどいいだろう。


 割と最低なことを考え付く俺であった。

 

 いや、だってさ。言い訳させて。

 この間、俺が魔石持って行ってやったら、アイツ俺の脱皮した皮被って寝てたんだぞ?

 おまけになんかすげー増えてたんだよ。蟻が。

 もう壁なのか、蟻なのかわからん位に。

 すげー気持ち悪かったんだぞ?

 思わず持ってきた魔石放り投げて、逃げ出したわ!


 と言う訳でアンに頑張ってもらおう。

 うん、そうしよう。



 さて、これでこの遺跡にあった石版や壁画はだいたい食い尽くしたな。


 俺はドームの中を見渡す。

 そして、ある一点を見た。


 あー、いや、そういえば、まだ一つ残ってたか。

 いや、まあ、あえて最後に残しておいたんだけどね。


 それはドームの中央だ。

 そこには台座があった。

 その台座は眩しいくらいに光り輝いている。

 金だ。

 ゴールド、

 この世界で初めて見る金で作られた台座だ。

 そして、その台座の上には極彩色の球体。

 

 何らかの魔術が発動しているのだろうか。極彩色の球体は台座の三十センチほど上にふよふよと浮かんでいる。


 落ちてきたとき最初に見つけたのだが、あからさまに怪しすぎて最後にとっておいたのだ。

 もちろん何かしらの罠である可能性は常に考慮に入れつつ、石版を食べていた。

 しかし、結局何もなかったので警戒心は薄れてたけどな。

 たぶんまあ、罠の類ではないだろう。うん。


 俺は台座に近づく。

 近づいてもなんも反応しないな。

 台座の大きさは、直径一メートルほどの立方体。

 その上にバスケットボール位の大きさの極彩色の球体が浮いている。

 昔の映画でこんなの見たな。

 タイトルなんだったけ?


 とりあえず触ってみるか。

 

 極彩色の球を触ろうとしたその瞬間、極彩色の球体が光りだした。


 うぉぉ!眩しい!


 光ったのは一瞬だ。

 ゆっくりと目を開けると、極彩色の球体から人が浮かびあがってきた。

 ホログラムのようだな。

 

 ホログラムに映し出されているのは女性だった。

 見た目は二十代くらいだろうか。

 黒一色で統一された服装に、プラチナの長い髪。そして赤い瞳。

 まるで吸血鬼のようだと思った。


 そのあまりの人間離れした美しさに思わず見とれてしまった。


 そして、ホログラムの女性の口がゆっくりと開く。


 『あーあーマイクテスト、マイクテスト………あれ?これもう録画始まってるのか?あーちょっとタンマ!今のなし!やり直しやり直し!まだメイクしてないんだし!もう一回やり直そ?え?出来ない?マジで?はぁーじゃあいいや、このまま進めましょ。はぁ~マジ勘弁してよホント………あ、ちょっと、ベルク!今あんた笑ったでしょ!眷属の分際で!』


 一瞬見とれたのが馬鹿らしくなるくらい、残念な美女がそこにいた。




次の話で第一章終了です。

その後に閑話でアンさんのお話を少々。


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