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第七話 ランブル・フィッシュ

今回は早めに更新出来ました。

 飯野晃と佐藤可那は公園の駐車場奥のフェンス際に立ち、夜景を眺めていた。

 「ここが一番眺め良いんだ」

 晃の言葉に可那は無言で夜景を眺めていた。

 そもそも可那は幸作以外とはまだまともに話す事が出来なかった。

 「それで・・・なんですか?」

 蚊の鳴く様な小さな声で可那は精一杯言った。

 「ん、佐藤さ、去年俺に告白したろ。あの頃俺部活で忙しかったから、ちゃんと相手してやれなかったんだ。だから今頃だけどこれが俺の答え」

 そう言うと晃は可那の腰に手を掛け自分の方に引き寄せると、もう片方の手を可那の肩口から首に掛け、顔が逃げられない様にして、キスをした。

 「ん」

 可那は唇を離そうとしたが、晃が力をを入れ首が逃げない様にしているので離せない。晃は舌を入れてこようとしたが、それは必死に歯を閉じて応戦して防いだ。

 キスをしたままの体勢から必死に逃げようとする可那と逃がすまいとする晃の攻防は三分以上続いていた。

 歯を開くと晃の舌が入って来るのでその間、「助けて!」と声を出す事も可那は出来なかった。


 一台の車が猛スピードで駐車場に入って来た。

 ライトが奥でキスしている二人を照らす。

 車は二人を目指して走り、三メートル程手前でライトを点けたままで止まった。

 可那の体は明らかに逃げ腰で、晃の腕は明らかに無理やり可那の頭を押さえているのが車の中の二人にも分った。

 「殺す」

 二人のキスシーンを見て、何故か国見が言った。

 車はワゴンR、国見と只野幸作。

 主人公のお出ましである。

 二人はライトを点けたまま車から降りた。

 「可那」

 小さな声で只野が可那に声をかける。

 可那は車のライトの輝きではっきりと見えない人の輪郭の方を見る。

 晃もそれが誰かを察知して、可那の首を押さえていた手を緩めて、キスを止め、車の方を向いた。

 「只野さん」

 相変わらずの聞こえるか聞こえないかの小さな声で可那が言った。

 「やっぱり来た」

 余裕のある声で晃も言った。

 「可那」

 そう言いながら只野は少しづつ二人の方に近づいて行った。

 

 「只野さん、何ですか?邪魔しないでくださいよ。もう関係ないんだから。見たでしょ、キスしてる所。今いい所なんですよ」

 晃はニヤニヤと勝ち誇った様に言った。

 可那は晃に腰に腕をまわされ、晃の横に立っていた。

 「只野さん。佐藤さんの事邪魔だって言いましたよね。面倒臭いって。もう関係ないでしょ」

 晃が続けて言った。

 可那は悲しそうな顔をして下を向いた。

 それを見た只野は二人に一メートル程の所で突然しゃがみこみ、正座をした。

 「おい、只野」

 思わず国見が声を出す。

 只野は片手を挙げ国見を制して、頭を地面にこすり付けて話し出した。

 「可那、あれは全部嘘だ。俺はお前が大好きなんだ。格好付けて、調子に乗って言っただけなんだ。邪魔じゃないし、面倒臭くない。寧ろ一緒にいて楽しい。晃にも謝るよ、あれは嘘だ、本心じゃない。格好付けて済まなかった」

 「土下座してるよ」

 晃が笑いながら言った。

 「この野郎」

 国見がそう言いながら晃の方へ歩き出した。

 「国見」

 只野が自分の横を通ろうとする国見の前に腕を横に出し止める。

 「あ、そうそうこっちも大学生相手だから友達連れて来てるから」

 晃がそう言うと何処に隠れていたのか車のライトの外から横に金属バットをを持った高校生が一人出て来た。晃の友人の相馬剛だ。

 「これで役者が揃ったな」

 笑いながら晃が言う。

 『これでお前は完全な悪役だ』

 土下座しながら只野は思った。

 「だいたいさ、お前ら大学生はウチらの高校の女子に手を出しすぎなんだよ。ふざけんなよ!ウチの高校の女子はウチの物だろ!」

 そう言いながら晃の右手が隣の可那の小ぶりな胸を鷲づかみした。

   ぎゅっ

 「ん」

 可那が苦しそうな表情をして微かに声を出した。

 「あ、柔らかい」

 気持ち良さそうな顔をして晃が言った。

 「あ~~~」

 「あ~~~~~」

 只野と国見が声をあげた。




   つづく

 

 


いつも読んで頂いて有難うございます。

次回は普通に8話、この続きです。

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