第2話 プレイス・イン・ザ・ハート
この話は少しヲタでせどらーな大学生の青春ストーリーを予定しています。
因みに時間軸はコロコロ変わる予定で書いてます。今回は主人公・幸作君とせどりの話。
そもそも俺は中学まではどちらかと言うと地味で目立たないタイプだった。イジメにあった事もある。
生まれてから中学までとにかくメディア系が大好きで、小説・漫画・洋画・邦画・アニメ・洋楽・邦楽・クラッシック・サントラまで世の中の全てのものを1度は見たい・聞きたいという子供で、そういう生活を送っていた。小学校の頃は見たいアニメがあったので友達の遊びの誘いも断った事がある。(本放映で見たいこだわり)
そういう訳でイジメの影響もあり、入学した男子高校では弾けた。高校デビューである。
そもそも当時の俺の頭には相当量の勉強以外の知識があった。大抵の奴の話に合わせ、ディープな会話をする事が出来た。音楽だとメタル好きには古くはマイケルシェンカーとか、ニューミュージック好きならはっぴいえんどからシュガーベイブまで、はては小林克也&ザ・ナンバーワン・バンドまで。
誰のどの話にも大抵受け答えできたので、友達は大勢出来た。男子校だったのでバカも結構やって、それなりに楽しい高校生活だった。
ただ1つの問題点は、これまで女の子と付き合ったことが無かった事だ。
まーそれも、現在大学1年の5月にして彼女が出来たのだが。
あ、今回もその話はしない。作者の予定があるらしい。今回は俺の話だ。
話を戻して、高校時代。パソコンで色々な人のブログを見て歩いていると、<せどり>という言葉に行き当たった。どうやら、新品・中古品を安く見つけて来てはネットで儲けが出るように上乗せして販売するらしい。
俺はこの話を知った時まるで宝物を見つけた様な気分だった。
メディア系大好きな俺の夢は古本屋の親父だった。それがこの年で実店舗を持たずにネットの中で出来るとは、まさに夢の様な話だ。情報は既に大量に頭の中にある。後は基本的な開始までの流れと技術。そう、テクニックを知る事が重要だった。
そして俺はネット中、<せどり>に関する情報をしらみつぶしに調べた。ブックドム(国内最王手の古本チェーン店)の値札の色?レーザー?ランキング10万位以内?家電せどり?カメラせどり? 奥が深かった。
途中お金を取って教えるサイトとかもあったけど、そういうのには興味なかった。近道だったかも知れないが、俺は独学で地道に苦労して覚えたかった。あらまし理解してからはこの前も言ったが親父のクレカでAMIZONに登録して<せどり>を開始した。
資本金は過去のお年玉等の残金50000円。銀行に行って下ろしてきた。
その足で近所のブックドム2軒とブックバーゲン(中堅古本チェーン店)1軒を自転車で回り、DVD20枚・CD20枚・本15冊を買ってきた。全て売れればプラスになるやつだ。総額28500円の買い物。そして見込み売り上げは全て売れて50000円。手数料等引かれても1万円以上は粗利益が出る筈だ。
家に帰ると出品登録作業をし、バーコードシールを貼り、ダンボール箱に商品を詰めた。総数55個の商品をAMIZONに送って売って貰うためだ。予定ではこれで後は勝手に売れてお金が入るという寸法だ。
「それで幾ら儲かった?幾ら売れた?」
「まだ始めて1週間位だから。6点売れて、7000円」
高校2年の時。<せどり>を始めた事を嬉しくて1番仲良かった友達に教えた時の話だ。
「30000円分最初に仕入れてんだろ?1週間で7000円じゃ取り返してないじゃん。-23000円?それってそんなに良い話でもないんじゃね」
「仕入れは28500円」
「だとしても-21500円だろ?それって儲かるの?なんか面倒臭そうだし。俺はやんないなー。大体古本屋巡りなんてのもチョコチョコやるんじゃ見っとも無くね?」
友人がビックリすると思って教えた俺としてはショックだった。今思うとこいつと俺はお金に対する発想と考え方が大きく違かったんだ。
「そんなお金使って、楽しいのかなー?」
友人が興味なさ気に言う。
当時の俺は、
「俺は・・・」
呟いた。
「これで幸せ」
そう言うしかなかった。
つづく
後日談
因みに大学1年の5月現在。俺の預金は80万ある。(笑)
読んで頂いて有難うございます。
忘れてた。次回一変に飛んで第6話目を掲載します。