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TとUの理不尽クイズ

3000倍になる病院<解答編>

作者: フィーカス

「3000倍になる病院」の解答編です。問題編を読まれてない方は先にそちらを先にご覧下さい。

Tがファミレスで午後のひと時を楽しんでいると、突然KからS君の宿題の手伝いをしてもらうように電話がかかる。

 問題は以下の通り。


★もんだい


 びょういんがさんぜんばいいじょうになったところ、べつのたてものになりました。そのたてものはなにでしょう?


~マチコせんせいより


 3000倍以上になると変わってしまう病院。一体、何になってしまうというのだろうか。


「さて鳴探偵Kクン、答えは分かったかな?」

「Tよ、何故泣き喚くメイワクな探偵のように僕の名を呼ぶのかね?」

 まさに泣き喚いているように語り掛けるKの声。

「しかし、駄洒落が得意な僕だったら分かると言っていたな」

「ああ。ところでKよ、自分のことを"僕"なんて言っていただろうか?」

「まあ細かいところは気にするな」

 やれやれ、といった感じでドリンクバーへコーヒーのお替り注ぎに行くT。

「駄洒落なら大得意の大都クンさ。では一つ、私の考えを」

「誰だよ大都クンって。そして一人称変わりすぎな」

 ピッ、とブレンドコーヒーのボタンを押し、しばらくすると、香りのよいコーヒーが出てくる。コーヒーカップに注ぎ終えたのを確認すると、それを片手にTは再び席に戻った。

「まず、3000という数字と、病院というキーワードに注目する。病院で3000……となると、産前さんぜんという言葉が浮かぶわけだ」

「はぁ……」

「ということは、その病院は産婦人科ということになる。3000倍以上ってことだから、例えばその数字が3035倍だったらどうだろうか?」

「……ん、どうなるんだ?」

 なにやらわけ分からないことを話し出したぞ、という感じで、Tはゆっくりと席に着く。妙な答えに噴き出さぬよう、コーヒーにはまだ口をつけていない。

「3035、つまり産前産後(3035)に行くところ、つまり市役所や保育園、というのはどうだろうか?」

 どうだろうか、と言われても言葉に困る。もっと自信をもって言えないのだろうか?

「あるいは、だ。3381倍であればどうだろうか?」

 ため息をつきながらコーヒーに口をつけるT。今度は一体何を言うのだろうか。

「産前参拝(3381)、つまり神社というのはどうだ?」

 Kの迷解答をひとまず全て聞き終え、Tはかたっとコーヒーをコースターに置く。

「全然惨敗だな。もう少し納得できるような解答はできないのか?そんな駄洒落だったら、いくらでも出来そうだが?」

 携帯の向こうから、むぐぐっという声が聞こえてくる。マチコ先生はそこまで凝った駄洒落を考える先生なのだろうか。

「とは言ってもなぁ……」

 と、カタカタという音が携帯の向こう側から聞こえてきた。Kはパソコンでもいじっているのだろうか。

「……Kよ。まさかとは思うが、ネットで答えを募っているわけではないだろうな?」

 何故か土器っ、という謎の祇園祭が携帯の向こうから鳴り響いてくる。

「フッ、な、何を言っているのかな、T君よ。私がそんなことをするはずが……おっ、これは……」

「ふむ、どうやら解答らしいものを見つけたようだな。ではその答えを聞かせてもらおうか」

「よかろ……いやいや、つい先ほど私の脳に解答という名の伝書鳩が飛んで北杜夫なのだよ。ではそのすばらしい解答を聞いてもらおうか」

「船乗りクプクプの冒険は名作だよな。まあいいや、とりあえずその解答を聞かせてもらおうか」

 ようやくまともな答えが聞けるか、とTはコーヒーにスプーンを入れてくるくると回す。

「平穏で静かだった病院。だが突如3000倍という大きさに変貌してしまう。変わり果てた病院、その成れの果てとは……」

「変に引っ張るなら切るぞ」

 容赦なく携帯の電源ボタンに手をかけるT。

「ま、待て、分かった、答える、答えるから」

 妙にあせった声を出すK。答えが分かったならさっさとS君に教えればいいのだが。


「で、病院が3000倍以上……この3000倍以上の数字っていうのは、3600のことなんだ」

 ほう、と相槌を打つT。

「病院の3600倍、びょういんの3600倍……。"びょう"いんの3600倍ってことだ。つまり、秒の3600倍=時ってことだな」

「ふむ」

「となると、"秒"院の3600倍は"時"院、つまり寺院ってことだ」

 一気に言い切ったKは、息が切れているようにも思える。

「うむ、ご名答。やっと答えが出たか」

 カップを片手に、ふぅ、と息を吐くT。外を見ると、青空が少しずつ赤くなっているように見える。

「フッフッフ、この名探偵Kに任せておけば、この程度の謎は余裕のよっちゃんイカなのだよ」

「なるほど、じゃあ今後は俺の出番はないのだな」

「ま、まあ、いいじゃないか。たまにはこういうなぞなぞも」

 まったく、どうせネットで拾った解答を言っただけだろ、とTは一気にコーヒーを飲み干した。



「……さて、あの台詞を言ってもらおうか」

 会計を済ませ、ファミレスの外にでたT。家路を急ぐ車が互いに通過し、その風が髪や衣服をなでる。

「あの台詞?一体何のことだ?」

「おいおい、結局自力では解けなかったのだろう?名探偵クン?そういうときは、君はあの台詞をいつも言ってるんじゃないのか?」

「いやいや、あれは自分が作った謎があっさり解かれたときの台詞で……」

「まあいいじゃないか、自分の謎が解かれたか、他の人の謎が解けなかったかの違いじゃないか。さあ、張り切っていこうか」

 何故か決め台詞?を強要するT。堪忍したのか、携帯の向こうからKの言葉が走る。








「嗚呼、完敗です名探偵 ||| _| ̄|〇 |||」

「よく言えました。まあ、本当に完敗なのはマチコ先生の名を騙っている問題作成者だろうけどな」

<問題正解者>


ツイッターより、「しろむー」さんの解答


答えは寺院ですか?3600倍で...

病院びょういんの「びょう」(秒)を3600倍すると3600秒、つまり1時間に。なんと「びょういん」が「じいん」に変身してしまったではありませんか!問題がひらがなで書かれていることもヒントですよね。




お見事です。次回も挑戦してみてくださいね。


ちなみに登場人物のKさんからは、メッセージで本文通りの解答をしていました。

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