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『錆びた刃と、新しい火』  作者: 紺屋灯探


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第3章:夜盗と血の洗礼 ③身体の記憶、一条の光


 森の中を三〇分ほど歩いただろうか。東の空が、わずかにオレンジ色に染まり始めていた。夜が明ける。長い夜が、ようやく終わろうとしている。


 タカシは少し足を引きずるベリスの背中を見ながら、黙々と歩き続けていた。


 ベリスの歩き方が——いつもと違う。明らかに違う。右足を庇っている。一歩ごとに、わずかに身体が傾く。膝が悪い。さっきの戦闘で、さらに痛めたのだ。時々立ち止まる。木に手をついて、膝を押さえる。額に汗が浮かんでいる。夜明け前の冷たい空気の中で、ベリスの息が白く見える。それでも——歩き続ける。弱音を吐かない。


 タカシは何も言えなかった。声をかけるべきなのか。それとも黙っているべきなのか。自分のせいだ。親分を逃がしたのは。もしタカシが戻ってこなければ——ベリスは親分を捕まえられたかもしれない。話を聞けたかもしれない。依頼主が誰か、分かったかもしれない。罪悪感が胸を締め付ける。重い。息が苦しい。


 だが——ベリスは何も言わない。タカシを責めない。ただ黙って、歩き続けている。それが——余計に辛い。


 森の中は静かだった。鳥の声が聞こえる。朝の気配。木々の間から差し込む光が、地面に模様を作っている。でも——平和ではない。ベリスは絶えず周囲を警戒している。立ち止まるたびに、耳を澄ませている。木々の揺れる音、風の音、遠くの川のせせらぎ——すべてに注意を向けている。誰かがいるかもしれない。見えない敵。


 タカシも——周囲に気を配ろうとする。音に。気配に。でも——何も感じない。ただ怖いだけだ。自分には何も分からない。無力感が、また込み上げてくる。



 やがてベリスが立ち止まった。「……っ」膝を押さえる。顔をしかめる。痛そうだ。これまで見たことがないほど。呼吸が荒い。


 タカシは不安になって声をかけた。「ベリス、大丈夫ですか?」


 ベリスは顔を上げて、タカシを見た。その目に、わずかな疲労の色があった。「……少し休む」そして周囲を見回す。警戒を緩めない。


 森の奥に——小さな川が見えた。透明な水がゆっくりと流れている。川底の石が見える。朝日を受けて、水面がキラキラと光っている。美しい。でも——美しさを楽しむ余裕はない。ベリスはその川を見て、素早く周囲の地形を確認した。見通しは良いか。逃げ道はあるか。伏兵が潜める場所はないか。判断する。


「ここで休憩する。少しだけだ」


 タカシは頷いた。「はい」



 二人は川のほとりに荷物を下ろした。川の周囲は開けていて、見通しが良い。木々が少し離れている。敵が近づけば、すぐに分かる。月明かりと、わずかな朝焼けの光が、川面を照らしている。オレンジと青が混ざった、不思議な色。


 ベリスは木に背をもたれて座った。ゆっくりと、慎重に。右脚を伸ばす。「ふう……」深く息を吐く。まるで、ずっと堪えていたものを吐き出すように。


 膝を見る。腫れている。明らかに腫れている。熱を持っている。触れなくても分かる。「思ったより酷いな……」呟くように言った。意識が膝に集中する。ズキズキと脈打つような痛み。痛みが——思考を奪っていく。他のことを考えられなくなる。


 ベリスは目を閉じた。少しだけ——少しだけ休む。親分は——どこに行った? 逃げ続けているのか? それとも——失敗を報告に行ったのか? いや、まだ時間がない。報告に行くには遠すぎる。きっと——森のどこかに潜んでいる。傷を舐めながら。だが——すぐには追ってこないだろう。こちらが本職だと分かったはずだ。そう考えながら——警戒が、わずかに緩む。痛みが、集中力を奪う。


 ベリスはタカシに向かって、静かに言った。「タカシ、顔を洗ってこい」「俺はここで膝を休める」


 タカシは——少し迷った。ベリスを一人にして大丈夫だろうか。でも——断れない。頷いた。「はい」



 タカシは川へ向かった。ベリスから数メートル離れる。でも——ベリスは見える距離にいる。振り返れば、木にもたれて座っているベリスの姿が見える。少し不安だが——大丈夫だろう。


 タカシは川に手を浸した。冷たい。でも心地よい。水が指の間を流れていく。透明な水。綺麗な水。こんな綺麗な水を見るのは——久しぶりだ。召喚されてから、ずっと汚い場所にいた。地下室。実験室。牢屋のような部屋。水も——濁っていた。でもここの水は——綺麗だ。


 タカシは顔を洗った。水が頬を流れる。冷たい水が、頭を少しだけ冷やしてくれる。気持ちいい。生きている。そう感じる。


 タカシは水面に映る自分の顔を見た。疲れている。目の下にクマができている。でも——昨日とは違う。何かが変わった気がする。目に——少しだけ光がある。召喚されてからは——目が死んでいた。何も見ていなかった。ただ——生きているだけ。でも今は——違う。


 昨晩の出来事が蘇る。山賊の襲撃。ベリスの戦闘。死体を見た。死体を運んだ。焼ける肉の臭い。すべてが初めての経験。怖かった。今も怖い。でも——逃げなかった。


 そして——自分の選択。逃げるのではなく、戻ることを選んだ。ベリスに怒られた。命令違反だと言われた。でも——後悔はしていない。あれは——自分で決めたことだ。誰かに言われたからじゃない。自分で——選んだ。これが——「選ぶ」ということ。ベリスが教えてくれた。


 タカシは小さく笑った。自分でも驚くほど、自然に笑えた。まだ弱い。何もできない。戦えない。強くない。でも——昨日とは違う。確かに——違う。


 そう思いながら——タカシは水を手ですくって飲んだ。冷たい。美味しい。喉を通って、胃に落ちていく。生きている。この感覚。生きているという感覚。召喚されてから——ずっと忘れていた。でも今——取り戻しつつある。



 その時——背筋がゾクッとした。気配。何かの——気配。


 タカシは顔を上げた。心臓が早鐘を打つ。振り返る——


 親分がいた。数メートル先に。ナイフを持って。その顔は——怒りと恐怖が混ざっている。血走った目。食いしばった歯。汗まみれの顔。


 タカシは息を呑んだ。動けない。足が震える。膝から力が抜ける。「あ……」声が出ない。喉が締め付けられたように。



 親分はタカシを見た。一人でいる。あの化け物みたいな剣士はいない。木に寄りかかって休んでいる。今なら——このガキを人質にすれば——


 親分の中で考えが巡る。仲間を全員殺された。五人も。あっという間に。失敗した。完全に失敗した。依頼主に報告できない。報告したら——殺されるかもしれない。いや、報告しなくても——追われるかもしれない。せめて——何か持ち帰らないと。このガキを捕まえれば——取引の材料になる。金になる。命が助かるかもしれない。


 親分は決断した。走り出した。タカシに向かって。全速力で。「ガキィ!!」叫びながら。ナイフを構えて。殺す気はない。捕まえるだけだ。人質にするだけだ。



 タカシの脳裏で——時間がスローモーションになった。親分が近づいてくる。一歩、また一歩。地面を蹴る音。荒い息遣い。ナイフが朝日を受けて光る。キラリと。


 逃げなきゃ——でも足が動かない。またか。また——硬直している。何もできない。何も——


 その時——ベリスの声が聞こえた気がした。朝の訓練。あの声。低く、静かな声。


 『敵に背後から腕を掴まれた時、どうする?』『まず最初にすることは——相手の顔を見ることだ』『恐怖に支配されるな。相手を見ろ』『恐怖で目を逸らすな。相手を見ろ。そうすれば——相手の動きが見える』『そして——力を抜け』『力を抜いて、流れに乗れ』


 訓練。少しだけやった。何度もベリスに腕を掴まれた。最初は全然できなかった。身体が硬直して、何もできなかった。でも——だんだんできるようになった。身体が覚えた。


 タカシは——決めた。逃げない。今度は——動く。ベリスが教えてくれた。訓練した。できる——はず。できなきゃいけない。やるしかない。生きるためには。



 親分がタカシの腕を掴んだ。「捕まえたぞ!!」力強く掴む。大人の力。逃げられない力。


 タカシの身体が——硬直する。恐怖が込み上げる。あの時と同じ——召喚された時と同じ——誰かに掴まれる恐怖。誰かに支配される恐怖。身体が——自分のものじゃなくなる。


 でも——タカシは深呼吸した。意識的に。ゆっくりと。息を吸う。肺に空気を入れる。相手を見ろ。ベリスの声が聞こえる。


 タカシは親分の顔を見た。その顔は——怖い。血走った目。荒い息。汗まみれ。でも——ベリスじゃない。あの時の、地下室で実験をしていた人間たちでもない。これは——ただの山賊だ。これは訓練じゃない。本番だ。でも——やることは同じ。


 力を抜け。タカシは肩の力を抜いた。最初は難しい。恐怖で身体が強張る。筋肉が硬直する。でも——意識する。肩の力を抜く。腕の力を抜く。訓練した。何度もやった。身体が覚えている。筋肉が覚えている。


 親分がタカシを引き寄せようとする。グイッと。その力に——タカシは逆らわない。流れに乗る。訓練通りに。力の向きを感じる。親分が引く方向に——身体を預ける。そして——


 タカシは親分の引く力を利用して——身体を回転させた。クルリと。親分の手から——腕が抜ける。スルリと。


「あ、抜けた……!?」タカシ自身が驚いた。本当に抜けた。できた。訓練通りにできた。


 親分は——さらに驚いていた。「なっ!?」親分は自分の手を見る。空っぽの手。ガキが——逃げた? どうやって? なんで? 親分が硬直している。理解が追いつかない。その一瞬——



 ベリスは木にもたれて座っていた。膝に意識が集中していた。痛い。ズキズキと痛い。でも——その時。タカシの声——いや、何かの音が聞こえた。叫び声。親分の声。


「タカシ!?」ベリスははっとして顔を上げた。川を見る。タカシがいる。そして——親分がいる。親分がナイフを持っている。タカシが——腕を抜いた?


 ベリスは驚いた。よく抜けたな……! 訓練の成果だ。でも——親分はまだ動ける。タカシは無防備だ。次の瞬間、親分は再び襲いかかるだろう。


 距離は——約10メートル。ベリスは立ち上がろうとした——膝に激痛。「っ……!」顔が歪む。走れない。膝が動かない。でも——届く。投げナイフなら届く。


 ベリスは腰のナイフを抜いた。投擲用の小さなナイフ。バランスが取れている。何度も使った。狙いを定める。親分の動きを予測する。次の瞬間、親分はタカシに再び襲いかかる。襲いかかるその時——急所を狙う。心臓か。喉か。一撃で仕留める。話は聞けない。だが——タカシを守る。それが最優先だ。


 ベリスはナイフを投げた。腕だけで投げる。膝は使えない。体重も乗せられない。でも——正確に。長年の経験。身体が覚えている。ナイフが一直線に飛ぶ。朝日を受けて、刃が光る。一条の光。



 親分が再びタカシに向かおうとした——その瞬間。ナイフが親分の喉に突き刺さった。


「ぐ……っ!?」親分の目が見開かれる。喉を押さえる。血が噴き出す。よろめく。そして——倒れる。地面に倒れ込む。ドサッ——動かない。


 タカシは呆然と立ち尽くした。親分が——倒れている。血が流れている。死んだ——ベリスが——助けてくれた。



 ベリスが膝を引きずりながら近づいてきた。「タカシ、無事か?」


 タカシは——ようやく我に返った。「……はい」声が震えている。


 ベリスはタカシの身体を確認する。「怪我は?」「ないです」「そうか」


 ベリスは親分の死体を見た。舌打ちする。「ちっ……急所を狙いすぎたか」呟く。話を聞けなくなった。情報が抜けない。でも——タカシは無事だ。それでいい。


 ベリスはタカシに向かって言った。「よく腕を抜けたな」


 タカシは——顔を上げた。「ベリスが……教えてくれたから」


 ベリスは小さく笑った。「訓練の成果だ」「身体が覚えてたんだな」


 タカシは——少しだけ誇らしかった。できた。自分の力で。でも——まだ怖い。足が震えている。



 ベリスは親分の死体を調べ始めた。「タカシ、いいか」タカシは頷く。


 ベリスは説明するように言った。「山賊には懸賞金がかかっていることがある」「特に親分クラスは、そこそこの金になる」「こいつくらいなら——銀貨5枚から10枚ってところか」


 タカシは——聞いた。「懸賞金……」


「ああ。だが死体を持っていくのは無理だ」「重すぎる。腐る。匂いも出る」「だから——首だけ持っていく」


 タカシは顔が青ざめた。「首……」


 ベリスは剣を抜いた。親分の首に刃を当てる。冷たい目で、淡々と。「向こうを向いてろ」「これも仕事だ」


 タカシは——向こうを向いた。


 背後で——音が聞こえる。ザクッ、ザクッという音。肉を切る音。骨を断つ音。首を切る音。


 タカシは目を閉じた。吐き気がする。胃の中のものが込み上げてくる。でも——堪える。歯を食いしばって、堪える。これがプロの仕事。これが——冒険者という仕事。綺麗事じゃない。


 やがて音が止んだ。ベリスが言った。「終わった」


 タカシはゆっくりと振り返った。ベリスは親分の首を川に浸け——血を抜いている。血が川の流れに広がっていく。できるだけ軽くするため。腐敗を遅らせるため。プロの手際。無駄がない。


 ベリスは親分の服を破って——首を包んだ。血の付いていない部分を選んで。それを袋に入れる。荷物に吊るす。「これで懸賞金は確保だ」「村に着いたら、ギルドに持っていく」



 ベリスは親分の身体を調べた。ポケットから——金のネックレスを取り出す。「おっ、これは」ネックレスには指輪が数個通されている。


 ベリスは指輪を見た。一つ一つ確認する。「盗品だろうな」「質は良くないが、石が大きい。でもリングは金だ」でも——金にはなりそうだ。売れば——幾らかにはなる。「これだけでも足しにはなる」


 ベリスは他のポケットも探る。銀貨が一枚。銅貨が数枚。ボロボロのスキットル——空だ。ボロボロのナイフ——使い物にならない。それだけだった。


 ベリスはタカシに向かって言った。「いいか、タカシ」「冒険者は、常に金を稼がなきゃいけない」「依頼の報酬だけじゃ足りない」「宿代、食費、武器の手入れ、薬草、包帯——全部金がかかる」「だから——」


 ベリスは金のネックレスを見せた。「懸賞金、盗賊から奪った金品、すべて収入源だ」「戦って勝ったら——敵の持ち物を漁る」「使えるものは使う。売れるものは売る」「それが——この仕事だ」


 タカシは——頷いた。「……はい」


 これが——プロの仕事。綺麗事じゃない。生きるための戦い。死体から金品を奪う。懸賞金のために首を切る。タカシはその現実を——理解し始めていた。冒険者という仕事の厳しさ。それを、現実を——受け入れなければいけない。


 ベリスは続けた。「召喚されて、使い潰されて——お前は、何も持ってない」「俺が面倒を見ているから、今は食えている」「だが——いつか一人で生きていかなきゃいけない」「その時——金がなきゃ死ぬ」「だから覚えておけ。稼げる時に稼ぐ。拾えるものは拾う」


 タカシは——真剣な顔で頷いた。「はい」


 ベリスの言葉が——胸に刺さる。一人で生きていく。それが——いつか来る。その時のために——今、学ばなければいけない。



 ベリスは立ち上がった。膝を押さえる。「っ……」痛そうだ。さっきより——さらに悪化している。顔色も悪い。額の汗が、さっきより増えている。


 でも——表情を消す。弱みを見せない。タカシに向かって言った。「さあ、行くぞ」「ここにいると、また誰か来るかもしれない」


 タカシは——疑問が浮かんだ。さっき、五人の山賊を燃やした。痕跡を消すために。でも——今回は燃やさない。なぜ? 聞くべきだろうか? でも——ベリスの顔を見る。辛そうだ。膝が痛そうだ。今は——聞かない方がいい。後で聞こう。


 タカシは頷いた。「はい」


 二人は川を離れた。親分の死体を——そのまま残して。首だけを持って。金のネックレスをポケットに入れて。荷物を背負って。森の中へ。


 タカシの胸に——小さな疑問が残った。なぜ燃やさなかったのか。ベリスは「痕跡を消す」と言っていた。でも——今回は違う。理由があるはずだ。後で——聞いてみよう。



 朝日が木々の間から差し込んでいる。明るくなってきた。でも——安全ではない。見えない敵がいるかもしれない。依頼主がいるかもしれない。


 タカシは——少しだけ成長した気がした。訓練が実を結んだ。考えるより先に身体が動いた。腕を抜けた。ベリスの教えが——自分の中に残っている。でもまだ——吐き気を催す。首を切る音が、耳に残っている。血の臭いが、鼻に残っている。親分の顔が——目に焼き付いている。死んだ顔。まだまだ弱い。まだまだ——できないことだらけ。でも——昨日とは違う。確かに——違う。


 タカシはベリスの背中を見ながら、歩き続けた。森の中を。次の場所へ。


 ベリスの膝は——まだ痛そうだった。時々立ち止まる。木に手をつく。膝を押さえる。息が荒い。でも——歩き続ける。守ってくれる。タカシを。文句も言わない。


 タカシは思った。ベリスは——本当に強い。膝が痛くても。疲れていても。歩き続ける。守ってくれる。そして——教えてくれる。生きる方法を。戦う方法を。選ぶ方法を。


 タカシは——そんなベリスについていく。自分にできることは、まだ少ない。でも——やれることをやる。ベリスが教えてくれたように。選ぶ。自分で。自分の意志で。


 タカシは拳を握った。これから——どんなことが待っているのか。分からない。また戦いがあるかもしれない。もっと怖いことがあるかもしれない。親分を倒した。でも——依頼主はまだいる。見えない敵。でも——逃げない。前を向いて歩く。ベリスと一緒に。


 タカシは——ベリスの背中を見つめた。膝を引きずりながら歩くその背中を。傷だらけのその背中を。あの背中は——まだ遠い。自分は——まだ遠く届かない。ベリスのようには——戦えない。ベリスのようには——強くなれない。でも——いつか。いつか——少しでも近づきたい。


 そう思いながら——タカシは歩き続けた。一歩、また一歩。森の中を。前に向かって。


 そして——胸に残る小さな疑問。なぜ親分の遺体を燃やさなかったのか。ベリスに——聞いてみよう。落ち着いたら。



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