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09. 短いお化け

「Good」

 出会い頭に言われて、アリソンは首を傾げた。何か良いことをした覚えはない。すると、目の前のお化けはキリリと目を吊り上げる。

「挨拶しろよ。無礼な奴め」

 挨拶された覚えはないが、仕方なく頭を下げる。Good eveningと。

 それでも、お化けは不服そう。

「ちんたらして! しかもだらだらと」

 叱られるが、アリソンたちには何がなんだか分からない。お化けはひとりでプリプリ怒っている。

「俺の時間は貴重! 挨拶ももっと短く!」

 顔を顰めて、真っ赤にさせて、悪態吐きながらお化けはアリソンたちの横を通り過ぎた。

 Good eveningでさえ、あのお化けには長かったのだとようやく気付いた。Goodって挨拶だったのか。

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