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06. 丸いお化け
坂道をボールがころころ転がって、アリソンの足にぶつかった。黒猫が足でそっと触ると、ひとりでにポンポン跳ねだした。細い目がある。口がある。ボールじゃない。丸いお化けだ。
黒猫が遠慮なくボールを叩いて、お化けはキャッキャと跳ねる。ヒヨコは羨ましそうだけど、猫が怖くて入れない。ふたりは黒猫が遊び飽きるまで待っていた。
やがて、黒猫がアリソンたちのもとへ丸いお化けを押してやってくる。
「もういいの?」
黒猫は地面に寝そべり、あくびをした。お化けはどうするのだろう。見るとお化けは自分でからだを転がして、また坂を下りていく。
「また遊ぼうね~」
玉から小さな手が生える。黒猫が尻尾を揺らす。
どうやら友達になったらしい。