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04. 緑のお化け
水溜まりにはまってしまった。これだから歩くのは嫌 なのだ。お気に入りの黒いブーツが汚れて落ち込んでいると、水溜まりから何かがむっくり盛り上がった。
「痛いなぁ。気を付けてよ」
まるで溶けたチーズのような緑のお化けが、眠い目をこすって抗議する。
何故そんなところにいるの、とアリソンも文句を言った。
「水の中は気持ちいいからさ」
水溜まりはお化けと同じ緑色。綺麗じゃない。アリソンは共感できない。お化けは〝綺麗〟に関心なくて、ふたりの意見は平行線 。
「なら他にいいところあるの?」
お化けの挑発に、
「探してみましょう」
アリソンは意地になる。
再会の約束の後、お化けは再び水に溶けた。
ブーツの汚れは、なかなか落ちなかった。