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29. 可愛いお化け

「とりっかとりいと!」

 道の端に置かれていた箱を突き破って、お化けが突然飛び出した。アリソンは驚いた。でも、驚いただけだった。

 そのお化けは、丸くて白くて、目がまん丸で大きくてうるうるとしていて、頬の辺りもなんだか赤くなっていて――つまり、とても可愛かった。

 アリソンは思わず抱きついた。可愛い担当の猫と元可愛い担当の若鳥が、裏切り者を見る目で魔女を見上げる。お化けが戸惑いの声を上げるが、アリソンは構わず抱きしめ続けた。

 それから、可愛いお化けが舌っ足らずに喋るのを口元緩ませて聴いた。別れ際にはお菓子もあげた。最近ちょっと殺伐気味だったので、思わぬ癒やしが心に染みた。たまには誰かを甘やかすのも心の栄養。

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