19/31
19. お屋敷のお化け
ベッドは温かいほうがいいのに、シーツは冷たい絹なので、アリソンは理解に苦しんだ。だが、そのお化けは気持ちよさそうに寝そべっている。
「こういうところはね、素敵なものがいっぱいなのよ」
ねっとりとした喋り方に、アリソンは眉を顰めた。見下されているようで、少々不愉快だった。
「贅沢って良いものよ。とにかく気持ちよくなれるから」
だからお金持ちは最高と、お化けは部屋の中を見渡した。ベッド以外にも高いものがたくさん置いてある。ここはお金持ちの家だから。
でも、これはお化けのものではないはず。
「そのうち私のものになるわ。そろそろ人間がお金を巡って争う頃だから」
その隙に奪ってやるのよ。お屋敷のお化けは得意げだった。